Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組

瑞多美音

文字の大きさ
上 下
7 / 85

7 寝床げっと? 

しおりを挟む

 野菜たっぷりのスープと香草ステーキ、サラダ、温かいパン……うわーゲームとは思えないほどリアルだ。

 もぐもぐ……

 何この野菜!バーバラさんの料理の腕をのぞいても美味しすぎっ!

 「すっごく美味しいです!」
 「そうか?」
 「はい!野菜もバーバラさんの料理もすっごく美味しいです!」
 「あらあら……」
 「で、リリー……どうしてわしの畑にいたんじゃ?」
 「わたし今日がはじめてだったんですけど、職業を農家にすると畑と小屋が貸し出されるってナビさんに聞いたんです」
 「ナビさん?」
 「ああ、最初にいろいろ教えてくれた……いわば案内人ですかね?」
 「そうなのね……」
 「うむ、確かに農家にそのような仕組みはあるぞ……あまり利用されていないが」

 へー、グランツさんも知ってることなんだ。あまり利用されてないってことは農家を選んだプレイヤーはみんな苦労して農地を自力でゲットしてるのかぁ。もしくは農家自体が少ないのかなぁ……

 「で、ですねー……ナビさんに送り出されたら畑の真ん中だったんです」
 「ふむ……そうか」
 「はい。とりあえず歩こうって頑張ってたら遠くに人影が見えてですねー……人だと思って案山子さんに話しかけちゃったんですよー」
 「あら……」
 「ほう」

 うわっ、このジュース美味ー……

 「で、休憩がてら案山子さんを鑑定させてもらったら……ぐるぐるした後追い出されるってなってたんで追い出されたら人に会えるかなーって」
 「まぁ、面白い子ね」
 「うむ……」
 「職業は農家見習いなんですけど……いずれはお洋服も作りたくてー……でもまずは畑を探さないと……農家としては何もできませんね」
 「そうか」

 グランツさんバーバラさんとなんやかんや話していると外はすっかり暗くなっていた。どうしよう……そこらへんでログアウトしたらいいのかな?多分、街中だし……セーフティエリアだよね?

 「そうだわ、リリーちゃん今日は泊まっていきなさい」
 「でも……」
 「いいのよ、どうせ離れは空いてるし……」

 どうも本来はグランツさんの弟子になる人用の離れらしいけど、キツくて逃げ出す人も多いとかで今は空いているらしい。

 「そうじゃな……リリーは農家見習いなんじゃろう?今後も畑を手伝うなら家に泊めてやろう」
 「いいんですか?」
 「ふむ。わしの畑に来たのも何かの縁じゃ……ただし甘くないぞ?」
 「はい!わたし、初心者ですが……色々とよろしくお願いします!」

 というわけで寝床げっとだ!わーい!

 「じゃあ、ついてきて……」
 「あっ、バーバラさん待って!お片づけしてないから……」
 「そうだったわね……じゃあお願いしようかしら」
 「はい!」

 わからないことはバーバラさんに聞きつつお皿を下げ、食器を洗いテーブルを拭いた。

 「リリーちゃんこのくらいでいいわ。ありがとう」
 「ふむ……これからもそうやって手伝うならまかない付きにしてやるのもありかの?」
 「ええ、そうね」
 
 毎日美味しいご飯が食べられるの?……じゅるり

 「ありがとうございますっ」
 「それじゃあ、今度こそ離れに案内するわね」
 「はい!」

 案内された離れは小さいけれどベットもタンスもテーブル、椅子もある綺麗な部屋だった。

 「この部屋はリリーちゃんの好きに使ってちょうだい。外の井戸も使って構わないけど、落ちないように気をつけてね?」
 「はい、ありがとうございますっ」

 あとで井戸の水を水袋に入れておこう。バーバラさんが部屋から出て行くと……

ピコン!
 〈グランツの農場(離れ)をホームに設定しますか?Yes or No〉

 「ん……ホームって?」

 宿屋だとログアウトしますかって出るんじゃないの?
 ん?ということは……グランツさんの農場はナビさんの言ってた最初に農地と簡単な小屋が貸し出され、いずれ買い取ったり改装が可能ってやつなの?
 さすがに買取はできないだろうけど……今も借りられたからそうなのかも。でもさぁ、それにしても豪華すぎだよね?納屋みたいな小屋がもらえると思ってたんだけど……んー、それもランダムになってるのかなー?
 そういえば、小屋をホームに設定するとログアウトやリスポーン地点に登録できるってナビさんも言ってたなぁ……この部屋をホームに設定していいのかな?

 「ま、いっかー。できなかったらシステムに弾かれるでしょ……多分」

 決して考えるのがめんどうになったわけじゃ……ない、よ?
 とりあえずYesを選択してみる。

 〈グランツの農場(離れ)をホームに設定しました。この登録はいつでも変更できます。ホームをリスポーン地点に登録する場合はメニューより設定してください〉

 「おおー、なんか出来たっぽい……リスポーン地点ってなんだっけ?確か……死に戻りした時、普通は教会で復活するのをホームでできるとかそんなやつだよね?」

 そもそも教会の場所知らないし、迷子になって戻れなくなったら困るからここをリスポーン地点に登録しておく。

 「よし、できた!」

 ちょうどタイマーをセットした時間だったので、ベッドに横になりログアウトを選択すると視界が暗転し自分の部屋に戻っていた。

 「月曜日、茉由ちゃんに報告しよーっと」


◆ ◆ ◆

名前:リリー
種族:人間
性別:女性
状態:正常
種族レベル:Lv1
HP:40/40 
MP:40/40
STR:5(+2)
VIT:5
INT:5
AGI:5
DEX:80
LUC:777(固定)
ステータスポイント:0ポイント
職業:農家見習い Lv1
スキル:鑑定Lv1、裁縫Lv1、採取Lv1、栽培Lv1、投擲Lv1
スキルポイント:45ポイント
称号:遅咲きのラッキースター
所持金:8777G
装備:見習いのシャツ、見習いのズボン、見習いのブーツ、初心者用投擲ナイフ×3
持ち物:初級ハイポーション×5、初級マナポーション×5、初心者用裁縫セット、ロープ、水袋、火打ち石

◆ ◆ ◆


 
しおりを挟む
感想 106

あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。 怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。 最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。 その要因は手に持つ箱。 ゲーム、Anotherfantasia 体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。 「このゲームがなんぼのもんよ!!!」 怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。 「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」 ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。 それは、翠の想像を上回った。 「これが………ゲーム………?」 現実離れした世界観。 でも、確かに感じるのは現実だった。 初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。 楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。 【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】 翠は、柔らかく笑うのだった。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜

FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio 通称、【GKM】 これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。 世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。 その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。 この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。 その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

処理中です...