9 / 85
9 初クエスト その1
しおりを挟む朝ご飯を食べてトイレをすませたら軽くストレッチ、あとはペットボトルを用意してログイン……
「おはようございます」
「「おはよう、リリー(ちゃん)」」
グランツさんとバーバラさんはすでにひと仕事済ませていたみたい。ログインした時にはゲーム内時間ですでに丸1日が過ぎていたけど、どうやらその辺りはふたりとも不思議に思ったりしないみたい。よかった。
「約束ですし、畑のお手伝いしますね!」
「そうかの?では、まずはギルドへ行って登録を済ませてきておくれ。この手紙を受付に渡せば簡単にすむはずじゃ」
ピコン!
〈クエストが発生しました。クエストを受けますか?Yes or No 〉
ウインドウにクエストの詳細が出現した。
*****
クエスト
内容:農業ギルドへ行って登録しよう!
報酬:農地(ひと区画)、作物の種or苗
期限:今日中
*****
Yesを選ぶ。
「わかりましたっ!……で、グランツさん、農業ギルドってどこにあるんでしょうか?」
「おお、そうじゃったな……リリーにはこれをあげよう。農業ギルドまでの地図じゃ」
「ありがとうございますっ」
「農業ギルドには印をつけておいたから迷うことはないはずじゃぞ」
グランツさんにもらった地図は全体がグレーがかっている。歩いたら自動的に色がつく仕組みらしい。アイテムボックスに入れるとウィンドウにも表示できるみたい。多分、街全体の地図じゃなくて街の地図の拡大図みたいな感じだと思う。
「ありがとうございます。助かりますっ」
「気をつけてね」
「うむ、しっかりな」
「はい!行ってきます!」
地図を頼りに歩くどんどん地図に色がついていく……楽しい。地図埋めに夢中になって若干迷子になりかけたけど、グランツさんが印をつけてくれたおかげでなんとかたどり着けた。地図を見過ぎで時々人にぶつかりそうになったのは内緒だよ?
「おおー、ここが農業ギルドかぁ」
周りより大きな建物に長靴とクワの看板が掲げてある。うん、わかりやすいね!
ギルドへはいるとカウンターが目に入る。受付かな?受付にはベテランぽいお姉さんと気弱そうな男の人がいた。空いている方へ進む。
「すいませーん。ここって受付で合ってます?」
「はい、そうです」
「あ、よかった!えっと、登録お願いします。あとこれを見せると簡単に済むって聞いたんですけど……」
アイテムボックスからグランツさんの手紙を取り出し受付のお姉さんに渡す。
「……これは……失礼ですが、異界の旅人の方でしょうか?」
「はい」
「ギルドカードはお持ちですか?」
「ギルドカード……持ってないです」
「わかりました。紹介状があるのでギルドへの登録料が1000Gですね」
あれ、紹介状だったんだー……
「はい、これでお願いします……ちなみに紹介状がないとどうなったんですか?」
「紹介者のランクにもよりますが、通常は登録料に3000Gいただいてます」
「へー」
すっごくお得に済んじゃった。グランツさん様々だねー。
「では、手をこの板に乗せてください」
「はい」
手を乗せると板が光った。
「はい、結構です。お名前はリリー様でよろしいですか?」
「はい!………ってなんで名前知ってるんですかっ?」
「先ほど板に手を乗せていただいた時に自動的に読み込まれました。あ、もちろんこれは異界の旅人のみで、わたくしたちはたくさんの申請書類が必要です」
へー、こんなところにもNPCとの違いがあるんだ……
「そうだったんですね……」
「ええ……ですので偽名での登録や同じギルドへの重複登録などはできない仕組みになっているそうです」
「へー……」
「はい、これで登録完了です。こちらはギルドカードになります」
「ありがとうございますっ」
渡されたギルドカードはよくあるポイントカードと同じサイズで半透明なカードだ。見る角度によって色が違う。
「リリー様はFランクスタートとなります。これはギルドでのクエストや貢献度などでランクアップが可能です。ランクアップすれば買える種や苗の種類が増えたり、品質の高い農具などが買えるようになります」
「おおー」
「このカードは他のギルドでも使えますので無くさないよう気をつけてくださいね……紛失した場合は再発行にお金がかかります。それとこのギルドカードを使ってギルドへお金を預けたり引き出すことも可能です。他の街のギルドでも使えますし、本人以外出し入れはできない仕組みですので安心してくださいね」
銀行みたいな感じかな?ギルドにお金を預けておけばデスペナに怯えなくていいってことだね!
「はい!わかりましたっ」
「カードに触れると氏名、所属ギルドのランクやギルドでのクエスト状況などもわかりますので……クエストはあちらの掲示板にございます。売店はそちらに……買い取りや相談は受付にお願いしますね」
「はい、ありがとうございます」
あ、ちなみにギルドカードをアイテムボックスに入れたらウィンドウ上からでも簡単に氏名、所属ギルドのランクが確認できたよ。取り出さなくていいから無くす可能性がグッと下がったね。
売店は農作業に必要なものに特化してるみたい。ほとんどが農具や種、苗、肥料だった。案山子さんは売ってなかったよ……ランクが上がったら買えるようになるのかな?
掲示板のクエストはわざわざ受付にいかなくてもその場で受けますか?の選択肢が出現した。全部が農業に関係するクエストだね。できるものがないのでひとまずスルー。
どうやら、受けますか?のウィンドウが出現するのはプレイヤーだけみたい。NPCっぽい人は受付に紙を持っていってるから……ここでも違いがあるみたいだね。
「さて、帰るかー……」
16
お気に入りに追加
1,701
あなたにおすすめの小説
現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する
にがりの少なかった豆腐
ファンタジー
この作品は 旧題:金運に恵まれたが人運に恵まれなかった俺は、現実逃避するためにフルダイブVRゲームの世界に逃げ込んだ
の内容を一部変更し修正加筆したものになります。
宝くじにより大金を手に入れた主人公だったが、それを皮切りに周囲の人間関係が悪化し、色々あった結果、現実の生活に見切りを付け、溜まっていた鬱憤をVRゲームの世界で好き勝手やって晴らすことを決めた。
そして、課金したりかわいいテイムモンスターといちゃいちゃしたり、なんて事をしている内にダンジョンを手に入れたりする主人公の物語。
※ 異世界転移や転生、ログアウト不可物の話ではありません ※
※修正前から主人公の性別が変わっているので注意。
※男主人公バージョンはカクヨムにあります
モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件
こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。
だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。
好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。
これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。
※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ
Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~
NotWay
SF
20xx年、世に数多くのゲームが排出され数多くの名作が見つかる。しかしどれほどの名作が出ても未だに名作VRMMOは発表されていなかった。
「父さんな、ゲーム作ってみたんだ」
完全没入型VRMMOの発表に世界中は訝、それよりも大きく期待を寄せた。専用ハードの少数販売、そして抽選式のβテストの両方が叶った幸運なプレイヤーはゲームに入り……いずれもが夜明けまでプレイをやめることはなかった。
「第二の現実だ」とまで言わしめた世界。
Bless for Travel
そんな世界に降り立った開発者の息子は……病弱だった。
最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
VRMMOで神様の使徒、始めました。
一 八重
SF
真崎宵が高校に進学して3ヶ月が経過した頃、彼は自分がクラスメイトから避けられている事に気がついた。その原因に全く心当たりのなかった彼は幼馴染である夏間藍香に恥を忍んで相談する。
「週末に発売される"Continued in Legend"を買うのはどうかしら」
これは幼馴染からクラスメイトとの共通の話題を作るために新作ゲームを勧められたことで、再びゲームの世界へと戻ることになった元動画配信者の青年のお話。
「人間にはクリア不可能になってるって話じゃなかった?」
「彼、クリアしちゃったんですよね……」
あるいは彼に振り回される運営やプレイヤーのお話。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
ーOnly Life Onlineーで生産職中心に遊んでたらトッププレイヤーの仲間入り
星月 ライド
ファンタジー
親友の勧めで遊び、マイペースに進めていたら何故かトッププレイヤーになっていた!?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
注意事項
※主人公リアルチート
暴力・流血表現
VRMMO
一応ファンタジー
もふもふにご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる