俺はモブなので。

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サイドストーリー③皇太子の復讐7

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「兄上!」

レイの声に目を開けるが身体中の痛みに意識が朦朧とし、声も上手く出す事ができない。

「た...のむ...クレノ...くんを...、助け...」

(頼むから...僕の親友を助けてくれ!

僕はこの先どうなっても構わないから、どうか晴人だけは...!)

「...言われなくても、必ず助け出しますよ。」

呂律が上手く回らず聞き取りずらかったであろう言葉に、レイはすぐさま馬に乗り走り出した。きっと晴人を探しに向かうのだろう。


(身体中が痛い...声も出せない。)


そして身体中の痛みに耐えきれずまた気を失った僕が次に目覚めた時には、質素な窓もない部屋へと入れられていた。

人の出入りは給仕の時のみ。晴人が無事かを聞いても答えてはくれない。

治療の後がある自分の体を無理矢理起き上がらせ、地面に膝をついて晴人が無事な事を願う事しか自分にできる事はないと、必死に神様に祈り続けた。

そして祈りが届いたのか、給仕の時間以外で初めて扉が開かれるとそこには無事を願っていた親友が不機嫌そうな顔で立っていた。


「...やぁ。また会ったね、クレノくん。」

ずっと会いたかった人に突然会えた事に驚きながら必死に冷静な振りをして声を絞り出すと、晴人は顔を歪める。

「何がクレノくんだ。」

(前と口調が違う。

それはつまり、そういう事なのだろう。)


「この世界ではクレノ・シアくんだろう?」

「その話し方もやめろ。」

「...気付いたんだ。」

(やっと、僕に気付いたんだね。)

「当たり前だろ。」

「前世の事、ほとんど覚えてなかったくせに。」

「お前に拉致されたから全部思い出したんだよ。」

「...じゃあ、俺に殺された事も...」

(思い出したのか?本当に全部?)


「あぁ。思い出したな。」

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