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ハンスさんの正体
しおりを挟む「よっ、クレノ。久しぶりだな。」
いつものように俺に話し掛けてくるハンスさんに、驚きすぎて言葉が出てこない。
「ふはっ!本当にクレノは分かりやすくて、可愛いなぁ...」
「...おい。」
俺の頬を突くハンスさんの手をレイが払い除けた。
「カエサル...?」
皇帝陛下の声が聞こえ謁見の間だという事を思い出し玉座へと視線を向けると、皇帝陛下も皇后陛下も目を見開き、驚きの表情を浮かべている。
「お久しぶりです。....兄上。」
(...え?あにうえ....?兄上...え!?どういう事?兄上って...え?)
「カエサル!!!」
皇帝陛下は玉座から降り、ハンスさんを強く抱き締めた。
「カエサル...カエサルっ...」
「いたたた...痛いですよ、兄上。折れる。骨折れるから。」
ハンスさんを抱き締めながら涙を流す皇帝陛下と、苦しそうに皇帝陛下の背中を叩くハンスさんの姿を目の当たりにして、俺はさらに唖然としてしまう。
「クレノ。」
唖然としている俺の腰をレイが抱き寄せる。
「れ、レイ...ハンスさんが...こ、皇帝陛下が...え?何?どういう事なの...?な、なんで...」
「落ち着け。」
「だ、だって...ハンスさん...」
「奴のハンスという名は偽名だ。本名はカエサル・スティード。私の叔父であり、この国の王弟だ。」
「えぇ!!?」
(王弟殿下?ハンスさんが!?)
「カエサル...この十年の間、一体どこにいたんだっ...!」
「あー...いや、話すと長くなるんだけどさ...」
頬をかき、困ったような表情をしながらハンスさんは話し始めた。
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