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前世の話
しおりを挟む出会いは高校時代。
ゴミを捨てようと校舎裏のゴミ捨て場に行くと、そこにはボロボロの真白が蹲りながら静かに泣いていた。
「...なんで泣いてんの?」
ゴミ箱の隣で泣いてる人を無視する事ができず話し掛けると、声に反応して真白は顔を上げる。
その顔は服と同じで顔を傷だらけ。殴られたのか、左目が青黒くアザになっていた。
「な...なんでもない...です...」
怯えながらそう答える真白の姿に、弱々しい動物を虐めているような気分になる。
「...それ、昔流行ってたヒーローだよな。」
真白が怖がらないように大切そうに握っている人形の話を振りながら、俺は真白の隣に腰掛けた。
「...知ってるの?」
「俺も好きだし。」
そう言うと、真白は嬉しそうに笑顔になる。
「このヒーロー好きな人、初めて会った!」
急に大きな声を出され驚いていると、真白はハッとしてまた蹲り、申し訳なさそうに俺を見つめた。
「ご、ごめん。大声だして...」
「びっくりしたけど大丈夫。」
「...嫌でしょ?僕と話すの。」
「なんで?」
「だって...君も僕の事、知ってるよね?」
「....」
学校で真白は噂に疎い俺でも知ってる有名人。容姿端麗眉目秀麗な人気者。そして、そんな真白の事が気に入らない金持ち坊ちゃんに虐められ、人気者から一転、孤独になった可哀想人間。というのが俺の真白への認識だった。
「...だから?」
「え?」
「虐められてるから何?」
「僕と仲良くなんてしてたら、君もアイツに虐められるよ。」
「別にいい。俺は話したい人と話すだけだから。」
「....」
「俺は一年の織田晴人。」
「...神木真白。」
「真白か。よろしくな。」
こうして俺と真白は、前世での出会いを果たした。
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