俺はモブなので。

バニラアイス

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卒業に向けて

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最後のテストも終わり、少しはのんびりできるかもと思ってた俺が間違ってた。


(疲れた...)

卒業パーティーに向けての礼儀作法、ダンスの授業が詰まっていて、寮に帰る頃には疲れ果て生ける屍状態だ。

俺の場合は男役だけではなく第二皇子と踊る為に女役の練習もしてるから、練習量も他の人達より多く、平均体力の俺には相当キツい。でも第二皇子の為だと思うと力が湧いて、その時は頑張れる。


「殿下に会いたい...」

お互い忙しくなり、なかなか会えなくなるんだろうなと分かってはいたが、会いたい。第二皇子の胸に飛び込んで、強く抱き締めたい。

そんな事を考えていると、突然扉からノック音が聞こえた。

「....」

疲れてるし、こんな遅い時間に出たくないと居留守を使ったが、扉をしつこくノックされる。

「はぁ...」

あまりのしつこさに仕方なく扉を開けた。

    
「一体どちら様...殿下?」

そこには会いたかった第二皇子が立っていて、俺はすぐに自分の部屋の中へと第二皇子を迎え入れる。

「こんな時間にすまない。」

「大丈夫です!」

第二皇子が目に映った瞬間、久しぶりに会えた喜びで先程までの疲労が一瞬で消えたから、来てくれてありがたいくらいだ。


「どうしても今日、渡したい物があってな。」

第二皇子に一つの包装された大きめの箱を差し出され、俺は渡された箱をその場で開く。

「これ...!」

中には深緑色の豪華な刺繍がされた礼服と、それに合う装飾品が入っていた。

「今日やっと出来上がったんだ。これを着て卒業パーティーに一緒に行ってくれるか?」

「っ...」

そう言って微笑む第二皇子の姿があまりにも愛おしくて、俺はプレゼントを置いて第二皇子に抱きつく。

「はい!」

(すごく嬉しい...)

そして第二皇子の両頬を包み込み、整ったその唇へと軽く口付ける。

「レイ、大好き...」

大好きだと伝えると第二皇子は顔を少し赤らめ、それを隠すように俺の唇に食いついた。

「ん...ふっ....」

久しぶりの口付けにいつもより感じてしまい、身体が反応してしまう。

「はぁっ...」

気持ちよすぎて足に力が入らない俺を、第二皇子が支えてくれる。そして俺を抱き上げると、優しくベットに下ろした。


「疲れた顔をしている。今日はもう寝ろ。」

「ん...一緒に...」

帰ってほしくなくて服を掴むと第二皇子はベットの中に入り込み、抱き締めながら俺の頭を撫でる。

「おやすみ、クレノ。」

「おやすみなさい...」

そして俺は第二皇子の体温と優しく撫でるその手が気持ちよくて、そのまま意識を手放したのだった。
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