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ハンカチにキス
しおりを挟む第二皇子と別れシャーロット達の元へ戻ると、腫れている俺の目を見て何があったのか問いただされた。
「いや、別に何も....」
それをなんとか誤魔化していると、試合が始まる合図である笛の音が会場中に響き渡り、出場する騎士科の生徒達が入場してきた。
そして大勢の生徒達の中に一際美しく目立つ俺の恋人が、真剣な面持ちで歩いてる姿が見える。
(殿下....)
その姿をジッと見つめていると.....
「!!!」
第二皇子と目が合った。
(.....あれ?何か取りだした....て、あっ!!)
俺と目が合い、第二皇子がポケットから取りだしたのは、俺が刺繍を入れたあのハンカチだ。
第二皇子はそのハンカチを唇に近付けて......
チュッ____
ハンカチに優しくキスをし、俺を見つめながら優しく微笑んだ。
「っ!!?」
「「「「きゃーーー!!!」」」」
俺の周りの女生徒達が甲高い叫び声を上げ、顔を赤くしている。
どうやら皆、あの第二皇子の微笑みに心を奪われてしまったようだ。
(あ、あんな....あんな笑顔っ......)
周りの女生徒達が会場中に響くほどの甲高い声を出している事も気にならないほど、俺の頭の中は先ほどの第二皇子の微笑みに支配されている。
「あんな笑顔....ずるい......」
そう小さく呟き、真っ赤になった顔を隠すように頭を下げた。
そして俺が第二皇子の事で頭がいっぱいになっている間に開会式がすべて終わり、気が付けば大会の一回戦目が始まっていた。
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