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刺繍は貴族女性の嗜み
しおりを挟む「ちょっと!何よその手!!」
「あはは......」
次の日、絆創膏だらけの俺の手を見たシャーロットが叫んだ。
「自分の不器用さに泣きたくなったよ。」
「しかも何、この怪物達は。」
シャーロットは、俺が何十回も縫った刺繍達を見てそう言った。
「一応、オオカミと猫のつもりです....」
「ド下手ね。」
「ヴッ.....」
はっきりとそう言われて結構ショックなのだが、事実なので何も言い返せない。
「どうしよう....こんなんじゃ、殿下に渡せない.....」
「渡さなくていいんじゃない?」
「シャーロット!」
第二皇子への日頃のお礼もだし、サプライズで渡した時の喜んだ顔を見たい。
だから渡さないなんて選択肢は俺の中にはないんだ。
(だけど、こんなの殿下に渡せない....)
俺がしょんぼりしていると、それを見たシャーロットがため息をついた。
「はぁ.....まったく仕方ないわね。私が特別に教えてあげる。」
「え、本当?!」
「さすがにこれは見過ごせないわよ。」
「でも、シャーロットって刺繍できるの?」
(申し訳ないけど俺の中じゃ、シャーロットは不器用なイメージなんだけど....)
この間アメリア皇女と一緒に作ったと言っていたパウンドケーキも、シャーロットのだけ丸焦げで悲惨なものになってたし。
「失礼ね!刺繍は貴族の女性なら、幼少の頃から習っている嗜みの一つなのよ!できて当然でしょ!!」
「す、すみません....」
「とにかくクレノのこのレベルじゃ、今日から猛特訓した方が良さそうね。しごいてやるから覚悟しなさいよ!」
「は....はい!よろしくお願いします、シャーロット先生!」
それから、シャーロット先生による猛特訓の日々が始まった。
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