俺はモブなので。

バニラアイス

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平凡を望んでた

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「私....ですか?」

「あぁ。レイとは、恋人同士なのだろう?」

「!!」

どうやら皇帝陛下も、俺と第二皇子が恋人同士だという事を知っているようだ。


「君は、自分が第二皇子の婚約者に相応しい人間だと思うかい?」

先ほどとは違い、皇帝らしい威厳のある雰囲気を醸し出しながら真剣な表情で見つめてくる。


「私は.....」

言葉に詰まってしまう。

俺と第二皇子では身分も顔も才能も、何もかもが釣り合わない。
俺なんかが、第二皇子の婚約者なんて務まるわけがない。

(でも......)

「....私は第二皇子殿下と出会う前まで、学園を卒業したら家を出て旅に出て、良い場所があったらそこで平民として生きようと思っていました。」

家を出て色々な場所を旅して、最後は田舎で平凡で平和な人生を送る。

それがこの世界に転生した俺の夢だった。


「.....でも、今は違います。」

俺は皇帝陛下の目を見つめながら、迷いなく答える。

「殿下の優しさに触れて....惹かれて....自分の願いであった田舎での平和な生活を捨ててでも、ずっと一緒にいたいと考えるようになりました。

今の俺では第二皇子殿下に不釣り合いですし、相応しくないです。

でも....それなら俺が努力すればいい。
殿下に見合うような人間になれるように、近付けるように必死になります。
たとえ陛下に第二皇子殿下との関係を認められなくても、私は諦めません。

努力してし続けて、何度でも何年でも皇帝陛下を説得できるように死にもの狂いでもがきます。

結婚を認めて貰えるまでは。」

俺は本気でそのつもりだ。

皇帝陛下に認められなくても俺は何度だって説得して、最後は第二皇子殿下と結婚したい。

門前払いされても、ウザがられても、何度でも。


それほど、今の俺は第二皇子の事を愛してた。


「......そうか。」

険しい表情の皇帝陛下に、今の発言で怒らせてしまったのではないかと不安になる。


「...........だ、そうだが。お前はどうなんだ?」

だが一瞬にして皇帝陛下の顔が緩み、俺の後ろをニヤつきながら見つめてた。

「え....?」


そこには......


「で....殿下!?」
 

第二皇子が、扉の前に佇んでいた。

 
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