俺はモブなので。

バニラアイス

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俺が今、殿下にできる事は....

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(まさか殿下が、そんな事を考えていたなんて......)

嫉妬や不安を抱いてるなんて、考えてもいなかった。


「驚いたか?私がこんな事を考えていた事に。」

「あ....えっと....はい.....正直、すごく驚きました。

普段の殿下は嫉妬なんて素振りを見せないですし、何も言わなかったのでしない方なのかと......」

「そんな事はない。束縛しすぎてクレノに嫌われるのが嫌で、口に出せなかっただけだ。」

「っ......」

いつも冷静で、たまに何を考えているのか分からないほど表情に出ないあの第二皇子が嫉妬をしていた。

その事実に......


(どうしよう....すごく嬉しい......)

喜びで、胸の奥が熱くなった。


「......」

俺は無言のまま抱き締めていた第二皇子の腕をするりと解き、立ち上がって第二皇子の方へと体の向きを変えた。


「....クレノ......」

不安そうに俺を見つめる第二皇子に、俺ができる事は一つだ。


「殿下......」

俺は第二皇子の上へ跨り、首に腕を回す。

そしてできるだけ優しく、第二皇子の唇にキスを落とした。


「....っ、クレノっ.......」

「殿下.....好きです......」

そして唇の後は、頬へと口付る。


「大好き....」

「っ......」  

俺のその言葉に、第二皇子は次第に頬を赤く染めた。


「こうやって誰かに触れたいと思うのも、キスしたいって思うのも、そ....それ以上の事をしたいなって思うのも、恋愛感情として好きになった人も、全部殿下が初めてです。

だから心配なんて....不安になんて、ならなくても大丈夫です。

俺が好きなのは、後にも先にも殿下だけ......んっ.....!」

俺が言い終える前に、第二皇子が俺の頭を引き寄せ深く口付けた。


「....ふっ....あぅ.....んんっ......」

第二皇子の激しいキスを、必死に受け止める。

「....っ.....はっ....、はぁ....はぁっ.....で....んかっ.......」

「大好きだ。クレノ。」

第二皇子はそう微笑みながら、今度は優しく俺にキスを落とした。

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