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風邪
しおりを挟む「....んっ.....」
意識を取り戻した俺は、自分の部屋の天井ではない事に気付き起き上がる。
「ここ....どこ....?」
見慣れない部屋に戸惑いながら、俺は気だるく重い自分の身体を立ち上げた。
そして俺が立ち上がったのと同時に、目の前の扉が開いた。
「クレノ!」
部屋へと入ってきた第二皇子が、心配そうな表情をして俺に近付いてくる。
「で....んか......?」
「熱がある。まだ無理をしてはいけない。」
そう言って第二皇子は俺を抱きかかえ、ゆっくりとベットへ下ろした。
「殿下、ここはどこですか....?」
「私の部屋だ。」
「殿下の....?」
「あぁ。倒れたクレノを運ぶのに、私の部屋が一番近かったからな。」
第二皇子は机の上に置いてある水を俺の前に差し出す。
「喉が乾いただろう?飲んでくれ。」
「ありがとうございます....」
俺はその水を一気に飲み干した。
「まだ熱が下がっていない。今日はここでゆっくり休め。」
「でも....ご迷惑に......」
「クレノに関する事で迷惑なんて事はありえない。」
そう俺の頭を撫で、心配そうにしながら微笑む。
俺は第二皇子の言葉に甘え、ベットで二時間ほど眠ったが....
「はぁ....はぁ......」
熱は一向に下がらなかった。
「クレノ.....」
名前を呟きながら、第二皇子が俺の額に手を当てる。
「先ほどより熱が上がっているな。」
「ん....殿下......」
(どうしよう....熱で頭が回らない....、でも....殿下の手、冷たくて気持ちい......)
第二皇子の冷たい掌に俺は意識を集中させた。
だが額にあったはずの冷たい手が離れたかと思えば、第二皇子は立ち上がり、
「冷たい水と濡れたタオルを持ってくる。」
そう俺に声を掛けてここを離れようとする。
「っ...!や.....!」
(行っちゃヤダ....!)
そして俺は離れていこうとする第二皇子の服を掴み、それを阻止した。
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