俺はモブなので。

バニラアイス

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カグラへの処罰

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数日後、カグラは二週間の謹慎を学園側から言い渡され、二度と俺に近付かない事も約束させられた。


あの後、第二皇子はカグラを退学にするつもりで恋人や婚約者を奪われた人達と共に、カグラが今までどれほどの悪さをしてきたかを抗議しに学園長室へと赴いた。

だが結果は、今回の件を含めその証拠となるようなものは何もなく、皇太子の後ろ盾もあるため証言だけでは退学させる事は難しいと言われたそうだ。

俺がカグラに噴水へ突き落とされた場面を誰も目撃していなかったし、カグラが恋人や婚約者を奪った事も証言は多くても証拠となるようなものは何もない。

それに、その証言は事実ではない。と皇太子の他に手玉に取られた男性達がカグラを庇い、結局退学にはならず謹慎処分という形となった。

これからの平穏の為に退学してほしかったが、ノア・カーティスと違って強い味方が多いカグラを退学させる事はなかなか難しいようだ。


(皇太子がいなかったら退学とか、もっと重い処罰ができただろうになぁ......

まぁ少なからず処罰はされたし、今後カグラが俺に少しでも近付く素振りを見せたら今度こそ厳しい処罰をするって言われてるみたいだし、今回はこれで良しとするか。)

こうしてカグラが謹慎処分になってからの数日間、俺はのんびりと平和な日々を過ごしていた。


「ふぅ....風が気持ちい......」

「そうだな。ここは風が良く通っていて散歩の休憩には最適な場所だ。」

今は第二皇子と二人、ベンチでくつろぎ中だ。


それにしても.....

(今日はやけに熱いな.....)

今日はいつもより涼しい気温のはずなのに、いつも以上に熱く感じる。

(なんだか身体もだるいし、頭もくらくらするし....)

「....?どうした?」

ぼーっとしている俺の顔を第二皇子が心配そうに覗く。


「あ、いえ!少し呆けてしまっていただけです!」

「だが調子が悪そうに見えるが......」

「全然大丈夫ですよ!次の授業も始まりますし、もう行きましょうか!」


そう言って、立ち上がった時だった。


くらっ......


(あれ....?)

視界が歪み、自分の身体が倒れるのを感じる。

そして......


「クレノ!!!」

第二皇子の焦りを帯びた声が聞こえたのを最後に、俺は意識を手放した。


    
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