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今なんて?
しおりを挟む(え.....?俺の聞き間違いか?)
「今なんて....?」
先ほどのは幻聴かと、デリク・グレイに聞き返した。
「だから、レイじゃなくて俺と付き合おうよって言ったんだよ。」
「.....はぁ?」
(何言ってんだコイツ......)
「お断りします。」
そんなの絶対お断りに決まってる。
「なんで?」
「なんでって....グレイ公爵令息の事が好きじゃないからです。」
俺がはっきりと言ったのに対し、デリク・グレイが考え込むような仕草を見せる。
「自分で言うのもあれだけど、俺イケメンだし、剣の実力だってあるし、君の事レイより喜ばせられる自信あるよ?」
(うわ......ダメだ。やっぱり俺が一番嫌いなタイプの人間だこの人。
ていうかそれを言うなら殿下の方がイケメンだし強いし頭良いし、俺の事すごく喜ばせてくれるもん!)
「令息に喜ばされるなんて死んでもお断りです。俺は殿下が良いんです。」
「ふーん....あんな無愛想な男のどこがいいの?」
「全部ですけど。
逆に俺にはグレイ公爵令息のどこが良いのかまったく分かりませんがね。」
「君、結構言うね。」
「本心ですので。」
「ははっ!今まで断られた事もそんな風に言われた事もなかったのに....
誘えばいつでも頷くカグラより、こっちの方が断然いい!」
「......」
(絶対この人、俺が嫌そうにしてるの見て面白がってるよな。)
「ねぇ、やっぱり俺と付き合わない?」
「俺があなたの恋人になる事なんて、天地がひっくり返っても有り得ませんので。」
「つれないなぁ....まぁ良いや!今日はこれでおしまいにしてあげるよ。
じゃあまたね、クレノくん♡」
そう言ってデリク・グレイは、俺に向けてウインクをして教室から出ていった。
「......はぁ.....」
デリク・グレイがいなくなり、一気に疲れが出た俺は深くため息を付いた。
「最悪だ....完全に目を付けられた。」
(これ以上、第二皇子以外の攻略対象には関わりたくないのに....)
どうやらデリク・グレイは、普通なら怒るであろう俺の態度を逆に気に入ってしまったようだ。
「はぁ....先が思いやられる......」
今後の事を考えると頭が痛い。
「クレノ。」
突然、どこからともなく名前を呼ばれた。
そして驚いて顔を上げれば、そこには不機嫌そうに顔を顰めている第二皇子の姿があった。
「で....殿下?」
(一体いつから......)
「デリクがいたようだが、一体なんの話をしていたんだ?」
「えっと......」
その圧に押され、正直にデリク・グレイとの事を第二皇子に話した。
そして殺しそうな勢いでデリク・グレイの元へ行こうとする第二皇子を、その場ではなんとか止めた。
だが翌日になってデリク・グレイの頬に殴られたような跡があったのを見て、すっきりとした気分になったのだった。
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