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クレノを探しに~sideレイ~
しおりを挟む「はぁ...もう限界だ。早く帰ってきてくれクレノ。
令嬢と二人きりなんて苦痛だ。」
「それはこちらのセリフですわ!
....でもクレノが散歩に行ってから、もう随分と時間が経っていますのに....一体どこまで散歩に行ったのかしら?」
(確かに....しばらくしたら戻ると言っていたが、それにしても遅すぎる。
また何かあったんじゃ......)
「......探しに行ってくる。」
帰りの遅いクレノが心配になった私は、迎えに行こうと席を立った。
「私も探しに行きますわ!」
「公爵令嬢はここで大人しく座っていろ。」
「これを機にクレノと二人きりになろうという魂胆が見え見えですわ!
絶対に私の方が先にクレノを見つけて阻止しないと!」
そう息巻いて、公爵令嬢は我先にと走って行ってしまった。
(....令嬢より先にクレノを見つけないとな。)
そう決意した私も、クレノを探す為に外に出て歩みを進めた時だった。
「レイ様!」
突如カグラが私の前に現れた。
「レイ様、お話したい事があります!」
(この男は....本当にどこからともなく現れる。
まるで不愉快なほどに私の周りを飛び回る羽虫のような男だな。)
「私は忙しい。令息に構っている暇はない。」
私はカグラの横を通り過ぎようとした。
だが......
「お願いです!僕の話を聞いて!」
カグラが私の腕に纏わりつき、強制的に足が止まった。
そして腕に纏わりつきながら、話を始めようとカグラが口を開く。
「レイ様、あの「触るな。」
そんなカグラを不快に思った私は、その腕を振り払った。
「令息。皇子である私を許可もなくファーストネームで呼ぶ事も、そして触れる事も不敬に値する。
罰されたくなければ、二度とこのような事はするな。」
「っ......」
カグラは私の言葉に顔を歪め今にも泣き出しそうになっているが、気にせずに私は言葉を続けた。
「この際はっきりと言うが、令息の顔を見るだけで不愉快極まりない。
これ以上私の邪魔をすると言うのなら、令息が兄上の寵愛を受けていようと容赦はしないぞ。
分かったら、私の前から消えろ。」
私は一睨みして、涙ぐんでいるカグラを置いて歩き出した。
(はぁ...カグラのせいで出遅れてしまった。
バーベル令嬢は、もうクレノを見つけてしまっただろうか....)
そう思いながら辺りを見渡していると、遠くの方にクレノらしき人物を見つけた。
(クレノ....?)
「クレ..........!!!」
声を掛けようと近付いた時、クレノが複数の女生徒に囲まれている姿が見えた。
ノア・カーティスの事件を思い出し、またクレノが何かされてきるのではないかと急いでクレノの元へと走る。
「クレノ!!」
「で...殿下!?」
クレノは私が来た事に驚いたのか、目を大きく開き声を上げた。
私はクレノを背に隠し、女生徒達を睨みつける。
「お前達、一体ここで何をしている。
まさかクレノを傷付けていた訳じゃないだろうな。
もしそうならば私が「待ってください!」
私の言葉を聞いて、今度はクレノが私と女生徒達の間に入った。
「殿下、違います!この人達は虐めとかそういうのじゃないですから!」
「......?」
どうやら私が考えていた事と違ったようで、クレノは庇うように私に向かってそう言った。
「一体どういう.....」
まったく状況が把握できない。
「えっと.....この人達は、カグラに婚約者や恋人を奪われた方々なんです。」
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