俺はモブなので。

バニラアイス

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やはり合わない~sideレイ~

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「「......」」

クレノが席を外し、バーベル令嬢と二人きりになった。


「....それで、話とはなんだ?」

しばらく沈黙が続いたが、それを破って私は令嬢に問いかける。
 

「......」

だが問いかけても無言のまま俯いている令嬢にイラつき、自然とため息が漏れた。

「はぁ.....黙っているだけではいつまで経っても話が進まないが?」

(クレノとの時間が減るから早く終わらせてほしいのだが。)

そう思っていた時だ。


「......まさか、こんなにも早く殿下がクレノに手を出すとは思いませんでしたわ。」

紅茶を一口飲んだ後、バーベル令嬢はそう口にした。


「......思っていたより冷静だな。」

(怒り狂って私に罵声を浴びせてくるだろうと考えていたが、思っていたよりも冷静なようだな。)


「心底驚いてはいますわよ。

殿下とクレノがお互いを想い合っている事は分かっていましたが、まさかこんなにも早く恋人同士になるとは思っていませんでした。

心底、殿下は抑え症のない方なのだなと呆れ果てましたわ。」

「......」

令嬢の言葉が事実の為、反論する事もできない。

本当ならクレノには様々な問題を在学中に解決して、卒業したと同時にこの想いを伝えようとしていた。

だがあの時の恥ずかしそうに顔を赤らめ、上目遣いで私を見つめるクレノの表情に我慢が効かなかった。

(好いている人にあんな表情をされたら、我慢なんてできる訳がない。

可愛すぎるクレノが悪いんだ。)

そう思いながら、私はバーベル令嬢に気になっていた事を問い掛けた。


「別れろとは言わないのだな。」

この場を設けたのはその為だと思っていたが、令嬢は一向に「別れろ。」という言葉を口にしない。

「そんな事を言っても、クレノも殿下も聞かないのは目に見えていますし諦めましたわ。」

「令嬢はクレノが好きなのだろう?それでいいのか?」

「......本当は今すぐにでも別れてほしいですわ。

でも.....」

バーベル令嬢は話の途中で紅茶を一口飲み、一呼吸おいてまた口を開いた。

「......クレノの幸せそうなあの顔を見たら、私の想いなんてどうでも良くなってしまいましたわ。」

令嬢はそう言って、眉を下げながらはにかんだ。


(自分の幸せより、クレノの幸せを選んだという訳か。

.....別れろと言われると思っていた自分が恥ずかしいな。)

自制が効かずクレノにあっさり手を出してしまった自分とは違い、令嬢のクレノを想う心に感心する。


「....そうか。」

だが次に令嬢の口から出た言葉に、感心していた私の気持ちが一瞬で崩れ去った。


「まぁ、クレノを諦めるつもりは一切ありませんけど。

彼氏がいようが構いません!別れる可能性だって大いにありますし、これから猛アタックすればクレノの気持ちが私に向く可能性もありますからね!
とりあえず、まずはできるだけ殿下とクレノを二人きりにさせないようにしないと!」

「....それは私に、クレノとの時間の邪魔をすると言っているのか?」

「当たり前ですわ!」

「......本当に性格の悪い女だな。」

「あら、それは殿下にも言える事ではなくって?」


......やはり私とバーベル令嬢はとてつもなく相性が悪いようだ。

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