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二度目のキス
しおりを挟む「私から逃げていたのは、私がしでかした事について怒っていたからではないのか?」
そう目を見開きながら俺に聞いてくる第二皇子に、俺は俯きながら言った。
「その....俺、殿下の顔を見るとあの時の事を思い出してしまって....つい恥ずかしくて逃げてしまって....」
「恥ずかしい....?」
「はい....」
「私が合意もなくクレノにキスをして、不快にさせたんじゃ...?」
「えっと....不快になんかなってないです。
嫌でもなかったですし、むしろ....よ、良かったというか....その.....」
言わなくても良いような事を最後に言ってしまったが、第二皇子はそんな俺の言葉が信じられないのか何度も俺に確認してくる。
「その言葉は本当か...?」
「....はい。」
「不快じゃなかったんだな?恥ずかしかっただけなんだな?」
「全然不快じゃありませんでしたし、恥ずかしかっただけです....」
「私とのキスが...嫌じゃなかったんだな....?」
「っ....だからそう言ってるじゃないですか.....
何度も言わせないでくださいよ.....」
何度も何度も聞き返しされ余計に恥ずかしくなった俺は手で顔を覆った。
「......」
無言の第二皇子を指の間から見れば、なぜか嬉しそうに顔を赤らめている。
「....でも、少しは反省してくださいね。
俺はすごく驚いて頭から離れなかったのに、殿下はいつも通りで....正直ちょっとムカつきました。
俺はあの時が初めてだったのに....」
「!!?」
(怒ってないって言ったけど、正直キスした後の殿下の態度にはちょっと怒ってるんだからな。)
実を言うと、俺の方は初めてだったのにそのキスをなんとも思ってなさそうだった第二皇子に多少ムカついてはいた。
だから、そこに関しては少し反省してもらいたい。
「初めてのキス....だったのか....?」
「っ.....そうですよ!
それなのに殿下はあの後、何事もなかったかように平然としてるし....
俺は夜眠れもしなかったのに、意識してるのは俺だけなのかなって、結構ショックだったんですからね!」
.....本当は気付いてる。
前までは俺の中にあるこの感情を自分の気のせいだと、気付く前に蓋をしていた。
でもあの時キスされて、蓋をしていた感情が一気に自分の心を埋めつくした。
俺は第二皇子の事を、恋愛感情として好きなのだと。
そう、認めてしまった。
「.......」
(た、頼むから何か言ってくれ....恥ずかしくて今にも死にそうなんだよ.....)
だが俺の思いとは裏腹に第二皇子は何も言わず、硬直したまま微動だにしない。
数分経っても動かない第二皇子に、さすがに心配になった俺は第二皇子の袖を引きながら声を掛けた。
「あの、で....殿下?大丈夫ですか......んぅ!??」
そして俺はまた、第二皇子にキスをされた。
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