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デートですが?
しおりを挟む「あーあ!せっかく美人なお姉さんと一緒にお茶できると思ったのに!!」
そう文句を言うタレ目男に呆れる。
結局あの後この男を第二皇子が殴りナンパを止め、女性は困ったようにもう一度俺達にお礼を言って帰って行った。
「お前がナンパなんてするからだ。
.....それよりも、なぜお前はまだ私達に着いてくる。」
そうなのだ。
犯人を捕まえ、第二皇子とのデートに戻れるはずだったのに、このタレ目はなぜか俺達の後を着いてくるのだ。
「別にいいじゃん。
女の子達も男の子達も、今日はみんな空いてないって言うから暇だったんだよね。」
「ならば先ほどのように、そこら辺にいる者達をナンパでもすればいいだろう。」
「だってナンパするより、レイ達といる方が楽しそうなんだもん。」
「はっきり言って、ものすごく邪魔だ。」
「別にデートって訳じゃないんだろ?なら俺が二人に着いていっても問題ないじゃんか!」
「そのデートだが?」
「.....え?」
第二皇子がそう言った瞬間、デリク・グレイは驚いたように目を大きく見開き、俺と第二皇子を交互に見返した。
「....冗談だろ.....?」
まるで信じられないとでも言うような顔と声で、デリク・グレイが言う。
「.....」
「...え、嘘だろ?マジなのか?あのレイがデート....?
しかもこんな、どこにでもいるような普通な奴と.....?」
(普通で悪かったな。)
だが、驚くのも無理はない。
第二皇子はいつも冷静沈着で、他の人間をなかなか寄せつけようとしない一匹狼。
恋愛関係の噂もほとんどなかった。
まぁカグラとの噂はあったが所詮噂で、そのほとんどが事実とはまったく異なるものだったみたいだし、カグラが皇太子と付き合い始めてからというもの、カグラと第二皇子の噂は一切耳にする事はなくなった。
そんな第二皇子が平凡な容姿で勉強も運動も平均並の俺と一緒にいても、デートしてるなんて誰も思わないだろう。
(俺だって、今こうして殿下とデートしてる事が夢なんじゃないかって思うし。)
「状況を理解したのなら、もう私達に着いてくるな。
ただでさえ、お前とその前の奴らの事でクレノとのデートを邪魔されてイラついている。
まったくもって不愉快だ。さっさと失せろ。」
そう言って俺の肩を抱きながら、呆然としているデリク・グレイを置いて第二皇子は歩き出す。
少し離れたところで一瞬デリク・グレイを見れば、未だに口を開けたままその場で彫刻のように動かない。
そしてそんなデリク・グレイを見て、もうこれ以上俺達の後を着いてくる事はないだろうと胸を撫で下ろしながら、俺はデリク・グレイから目線を外した。
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