俺はモブなので。

バニラアイス

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クレノへのプレゼントなのに~sideレイ~

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椅子に腰掛けるとカグラが、テーブルに並んでいるケーキ達を見つめた。


「すごく美味しそうですね!どれにしようかなぁ....」

まるで自分の為に用意されたものかのように、どのケーキを食べようかと物色している。

(このケーキ達はクレノの為に........図々しいにもほどがある。)

「それは私がクレノの為に用意させたものだ。ミルズ男爵令息の分は兄上に用意してもらうといい。」

お前のじゃない。

「っ....、す....すみません!つい、美味しそうで....」

そう謝ってカグラはまた泣き出してしまいそうな表情をした。

「レイ!なぜそうカグラに冷たく当たるんだ!私の未来の伴侶だぞ、丁重にもてなせ!ケーキの一つや二つ良いではないか!」

そして先ほどと同様、カグラを庇いだてする兄に怒りを覚える。
 
(ただでさえクレノとの時間を邪魔されて腹が立っているというのに....丁重にもてなせだと?
男爵令息ごときに、この私が?)


「なぜ私が兄上と違って恋人でも、友人ですらもない赤の他人をもてなさねばならないのですか?」

「何だと!?それは本気で言っているのか!」

「えぇ、本気です。

兄上はなぜ、カグラの事となると過剰に反応するのですか?最近の兄上は目を瞑るにはあまりにも皇族らしからぬ、品のない言動ばかりしているではありませんか。」

「なんだと!!?」

「私は事実を言ったまでです。」

今にも殴り合いをしそうな勢いで睨み合っている私達を見て、慌てたクレノが「落ち着いてください。俺は別に構いませんから。それにケーキは沢山ありますし。」と言ってこの場をなんとか鎮めようとしていた。

だが兄とカグラへのイラつきと怒りが収まらない私は止まらない。

「いや、大丈夫ではない。

これは私がクレノの為に用意したプレゼントの一つだ。
そのプレゼントを他の者に食べられる事が、私は不愉快で仕方ないし許せない。」

ケーキごときと思うかもしれないし私自身心が狭いとは思うのだが、クレノが良くても嫌なものは嫌なのだ。


「なので兄上、カグラのケーキは兄上が用意してください。

あぁ、ですがこのテーブルはクレノのケーキ達でいっぱいで、カグラのケーキは置けそうにないですね。
よかったらあそこの、ここから一番遠い席に移動してください。あちらのテーブルが一番大きいですしケーキも沢山置けますよ。

もしそれが嫌なら、今すぐにでも帰って頂いて結構ですので。」


そうはっきりと、私は兄に喧嘩を売った。

    
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