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高級喫茶店
しおりを挟む「殿下、一体どこに向かっているんですか?」
「.....秘密だ。着けば分かる。」
「??」
どこに向かってるのかまったく検討が付かないが、俺は第二皇子に大人しく着いて行く。
そしてしばらくすると、第二皇子がある場所で立ち止まった。
「ここだ。」
そう言われ、俺は第二皇子の視線の先へと顔を向ける。
「ここは......シャデリンですか?!!」
シャデリンはこの街で一番の最高級品を扱う喫茶店で、ここのケーキやお菓子には俺も目をつけていた。
(だけど高い....とにかく高すぎるんだ!)
ケーキセット一つで俺の毎月のお菓子に当てられる金がすべて飛ぶ。
金がない貧乏子爵家次男の俺には、到底行けそうにないような場所だ。
「クレノの為に今日は貸切にした。」
「か....貸切!?」
しかも貸切。
予約さえままならないようなこの喫茶店を貸切なんて、さすがこの国の第二皇子。
「中に入ろう。」
店の前で唖然と立っていた俺の手を引いて、第二皇子は店内へと入って行く。
「す.....すごい。」
その言葉が真っ先に出るほど、店内はあまりに広くて豪華だった。
(ここを貸切って....一体いくら掛かったんだろう....)
そんな事を思ってしまいながら、俺は第二皇子に案内されるがまま店内の中央にあるテーブルへと足を進めた。
「好きなのを頼んでくれて構わない。」
椅子に腰掛けた俺に、第二皇子がメニュー表を渡しながら笑顔で言った。
(好きなものをって....言われても....)
俺は渡されたメニュー表に載っているケーキやお茶の数々に目を通す。
(やっぱり高い...俺、今日はそんなにお金持ってきてないし.....)
「うーん....じゃあ、俺はこのケーキセットにします。」
悩んだ結果、俺はこの店で一番安いケーキセットを選んだ。
「一番安いそのセットで良いのか?
.....もしやこの店のケーキはあまり好きではなかったか?」
第二皇子が不安そうに眉をひそめながら俺を見つめる。
「ち...違います!本当は全部食べたいくらい美味しそうです!!
でも....その.....俺には高いというか.....」
「....そうか。」
そう口ごもっている俺を見ながら、第二皇子は店員を呼び出した。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「この紅茶を二つと.....
この店にあるケーキや菓子をすべて持ってきてくれ。」
「かしこまりました。」
「えぇ!?」
(全部って....俺はこのケーキセットで良いって、さっき言ったばかり.....)
「殿下、俺はこのケーキセットで......」
「私がお菓子やケーキを美味しそうに食べるクレノが好きだから、その姿を見たくて勝手に頼んだだけだ。
.....遠慮せずに食べてくれ。」
そう優しく微笑みながら俺を見つめる第二皇子に、ドキドキと鼓動を速めながらお礼を言い、たわいもない話をしながら頼んだケーキ達が来るのを待った。
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