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デート服
しおりを挟む「今度の休日は一緒に街へ出かけよう。」
体育祭が終わってから数日後、のんびりと過ごしていた俺に第二皇子が唐突にそう言った。
「へ?」
(いきなりどうしたんだろう?)
「忘れたのか?体育祭でバーベル令嬢が言っていたであろう?
私と令嬢が勝負して、勝った方がクレノとデートに行く権利を得られると。」
「......あ!!」
第二皇子にそう言われた俺は、シャーロットと第二皇子が勝負をしていた事、勝った方が俺とデートをするという賭けをしていた事を思い出した。
「外出許可もすでに取ってある。だから休日は空けておいてくれ。
.....寮へ迎えに行く。」
そう俺に言い残し、第二皇子は嬉しそうに自分の寮へと帰って行った。
(殿下とデート.......でも、デートって一体何をするんだ?)
俺は今までデートに行った事も、ましてや誰かと二人きりで出かけた事もないし、デートとはどこに行って何をするものなのかまったく分からない。
それに.....
「まともな服あったかな......」
いつもなら街中でスイーツ巡りを一人でしている為、自分の格好など一切気にしない。
だが、今回は違う。
俺は急いで寮に帰るやいなや、自分のクローゼットの中を確認した。
そして自分が予想していた通り、ほとんどが穴が空いていたり薄汚れていたりしていた。
「.....服、買いに行こう。」
(せっかくの第二皇子とのデートに、こんなみすぼらしい服で行けない。)
そう思った俺は翌日仮病を使って授業を休み、教師達に見つからないようにこっそりと学園を抜け出し街へ出かけた。
寄り道もせず目的地であるいきつけの洋服店へ赴き、定員に進められたオススメデートコーデをそのまま一式で買い、自分の寮へ戻ってベッドに寝ながら第二皇子との楽しいデートを想像して顔の表情を緩ませた。
(デート....すごく楽しみだな......)
そう胸を躍らせながら、俺は眠りについた。
そして時はあっという間に過ぎ、ついに第二皇子とのデートの日がやってきた。
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