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お姫様抱っこ
しおりを挟む「殿下との話も終わったし、私達のテントへ戻りましょうか。
絶対に勝って、私と一緒にデートに行きましょうね!」
そう言って力強くシャーロットが俺の手を引っ張る。
「あ....ちょ......」
「クレノ。」
シャーロットに引っ張られて行くそんな俺を、第二皇子が呼び止めた。
「見ていてくれ。絶対に私が勝つ。」
第二皇子は真剣な表情でそう宣言し、そのまま白組のテントへと戻って行ってしまった。
そんな第二皇子の言葉にドキドキと鼓動を速めながらも、俺はシャーロットと一緒に赤組のテントへと戻る。
テントへ戻った後、すぐに俺の出場する種目の順番がやってきた。結果は三位。丁度、真ん中だ。
(三位か....最下位じゃなくて良かった。)
最下位だったら確実にシャーロットに怒られていたと、安堵した。
そして一日目最後の種目である、シャーロットが出場する借り人競走。
「見てなさいクレノ!絶対一位になるわ!」
「う....うん。頑張ってね....」
息巻くシャーロットの熱気に押されながらも、俺は声援を送った。
(大丈夫かな....息張り過ぎて無理しないといいけど......)
俺がそんな心配をしている中、ついにシャーロットの順番がきた。
そして応援しようと席を立った時、シャーロットの隣にいる人物を見て目を驚く。
「で....殿下!?」
そこには、白いはちまきを巻いた第二皇子がシャーロットの隣に立っていた。
(殿下もこの競技に?っていうかシャーロットと同じ組!?これ、シャーロットに勝ち目ないんじゃ....)
シャーロットは生粋のお嬢様。一方の第二皇子は、騎士科で運動神経抜群。
借り人といっても足の速さだって関係あるだろうし、どちらが有利かなんて誰がどう見ても明らかだった。
「次の方々は位置についてください!」
係の声に、二人は睨み合いながらスタートラインへと歩いて行く。
そしてパン!とピストルの音が鳴った瞬間、第二皇子が猛スピードでシャーロットや他の生徒達を引き離し、紙に書いてあるお題を見て一直線に俺がいる赤組のテントへと向かってきた。
(え?こっち来てる?)
そんな事を俺が思っている内に、第二皇子が目の前まで来た。
そして......
「クレノ、すまない!」
「え?.....って、わぁっ!!」
気付いた時には、第二皇子にお姫様抱っこされていた。
「で、殿下!あの、恥ずかしいので下ろしてください!!」
第二皇子からなんとか逃げ出そうと足や腕をバタバタと動かすが、第二皇子の腕はビクともしない。
「クレノ。頼むから暴れないでくれ。」
そう言って第二皇子は、俺が逃げられないよう先ほどよりも腕に力を入れる。
「で....でも、みんな見て.....」
「気にするな。」
第二皇子は生徒達からの痛いほどの視線を本当に気にしていないようで、俺をお姫様抱っこしながらゴールへと一直線に向かっている。
(うぅ.....みんな見てる....穴があったら入りたい!!)
そして恥ずかしさのあまり顔を両手で覆っている俺を抱えたまま、第二皇子はあっさりと一着でゴールしたのだった。
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