俺はモブなので。

バニラアイス

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二人の勝負

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白組の控えテントの椅子に腰掛けていた第二皇子が、シャーロットの声で振り向いた。


「クレノ。」

そして俺を見つけた瞬間、名前を呼びながらこちらに近付いてきた。


「来てくれたのか。」

第二皇子に声をかけたのはシャーロットなのに、シャーロットには目もくれず俺に声をかける。

「えっと....来たというか、シャーロットに着いて来ただけで....」

「ちょっと!私を無視する気?!」

そう言って声を荒らげながら、シャーロットが俺と第二皇子の間に入る。


「なんだ....令嬢に用はないが。」

そんなシャーロットに対して、第二皇子は面倒くさそうに言った。

「私はあるわ!

殿下!今日、私は殿下に勝負を挑みます!!」

「勝負だと?」

「そうです!今回の体育祭で私と勝負しなさい!」
 

(勝負って....シャーロットが殿下に?)

突然そんな事を言うシャーロットに困惑する。


「断る。どうして私が令嬢と勝負しなければならない。」

勝負に挑んできたシャーロットを、迷惑そうに第二皇子がはっきりと断った。

(まぁ、そうだろうな。シャーロットと勝負しても殿下にはなんの得もないだうし....正直、シャーロットが殿下に勝てるとは思えない.....)

そんな俺の心配を余所に、シャーロットが第二皇子を挑発するかのように言った。

「あら、逃げるのですか?

では殿下の試合放棄という事で、勝者の景品である『クレノと一日デートする権利』は私が頂きますわね。」

「.....何?」


(.....え?俺と一日デートって.....俺、何も聞いてないんだけど?!!)

シャーロットの唐突なその言葉に、俺はもっと困惑した。


(しかも俺が景品じゃ、殿下だってすぐにことわ「勝負の内容は?」


「....殿下?」

「内容は単純よ。赤組と白組、どちらの組の順位が高いか。」

「あの....二人共......?」

「いいだろう。まぁ、私が令嬢に負ける事はないだろうがな。」

「それはこちらのセリフですわ。絶対に負けません。」

(二人共、俺の意見は聞かないの?無視ですか?

俺が景品ってなんだよ~!!)

互いに睨み合っている二人に、俺は心の中で叫んだ。

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