俺はモブなので。

教師からの頼まれ事

二人の姿を見なくなって二週間が経過したある日の事。

その日、俺は廊下を歩いているところを体育教師に捕まり、授業で使った道具を片付けさせられていた。
 
「手伝いご苦労！」  

「先生も手伝ってくださいよ。」

(俺だけに片付けさせて、自分はボールでバスケして遊んでるし！)

「すまんすまん！つい、体育会系の血がな！！」

そう言って悪びれもなく笑いながら謝ってくる先生は、体育教師のガートン先生。典型的な熱血教師だ。

(まったく....ガートン先生、暑苦しいし声でかいよ。)

心の中で先生に文句を言いながらも、早く終わらせたくて俺は着々と片付けを進めた。

そしてようやく手伝わされた仕事がすべて終わった時には、開始してからもう二時間が経過していた。


(ふぅ......これで全部終わった。さっさと帰ろ。)

俺は立ち上がり、額にかいた汗を拭いながら備品倉庫から出る。


(これ以上報酬のない雑用をさせられるのは嫌だし、早く退散しないと....)

「先生、片付けが終わったので俺はこれで失礼し「待ちたまえ！」

「......なんですか。」

ほら、やっぱり。


「すまないが、この体育祭の資料を生徒会室に届けてくれ！
それと、この書類に生徒会長のサインも頼むぞ！俺はこれから職員会議で行けそうにないのでな！！」

そう言って先生は俺に、両手いっぱいの資料や書類をどっさりと渡してきた。

「重っ！これ全部ですか？

会議が終わってから先生が行けばいいんじゃ「じゃ、よろしく頼んだぞ！！」

先生は反論しようとした俺の話を一切聞かず、逃げるように一瞬で姿を消した。


「.....マジか。」


(ていうか人の話聞けよ！
完全に押しつけられたし、自分が行きたくないだけじゃんか！)

本当に人使いの荒い教師だなと思いながら、押しつけられた重い書類の山を見つめる。


「.....仕方ない。先生もう行っちゃったし、さっさと持って行こう。」

こうして俺は、仕方なく先生に頼まれた書類達を生徒会室に届ける事になった。

(生徒会室か....そういえばまだ一度も行った事なかったな。

......殿下、いるかな.....)

この時、もしかしたら生徒会室に第二皇子がいるかもしれないと俺は内心期待していた。


生徒会には、第二皇子以外の攻略対象がいる事を忘れて_____