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ありがとう。【糸川×馬木】
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今日は力と一緒に放課後スタバデート。
楽しみにしてた新作フラペチーノがついに飲める。
ワクワクが止まらない。
最悪。
こんな日に限って生理が来た。
しかも過去最高に重い。
正直立っているのがやっと。
生理痛薬を飲んでもやっぱり重い。
内蔵が無理やりギューッと縮められていく感覚。
元々そんなに重い方ではなかったのに、どうして今日に限って...。
それだけ重くても、やはり力とのデートと新作フラペチーノは逃せない。
帰りのホームルームが終わると、私は力と一緒に教室を出た。
「九華、昔いちご嫌いだったけど飲めるのか?」
「大丈夫。もう高校生だよ。」
「じゃあ良かった。いやー、楽しみだなー。」
「うん。そうだね。」
ここにきて生理痛が一段と酷くなってきた。
なぜか意味もないのにイライラしてくる。
「ねえ力、歩くの速い。」
「そうか?いつもどうりだけど。」
「速いよ。」
「...そうか。気をつける。」
何にイラついてるんだろ。
力の歩く速度はいつもどうりだ。
力がいつも、今日だって歩幅を合わせてくれてるのは言われなくても知ってる。
でも無性にイライラして八つ当たりしてしまう。
学校から歩いて15分程でスタバに着いた。
新作のフラペチーノはひとつ640円。
いつものことながらなかなか高い。
今月は食欲に任せて欲張り過ぎて金欠だから余計に痛い。
「今日は俺が出すよ。九華どうせ金欠だろ。」
力の優しさと気遣いはありがたい。
でも今日の私は普通じゃない。
もちろん悪い意味で。
「いい。私も出せる。」
「本当に大丈夫か?昨日だってお菓子めっちゃ買ってたじゃん。」
「大丈夫だって。」
「いいけど、無理すんなよ。」
「大丈夫って言ってんじゃん!しつこいな。」
つい大声を出してしまう。
周りのお客さん達が一斉にこっちを見た。
やってしまった。
「そ、そうか。ごめん。」
「うん。」
私もごめん。
そう言えば良いのに、なんだかむしゃくしゃして言えない。
こうやって力の優しさに甘えきってる自分にもイライラして、余計に情緒が不安定になる。
なんとかフラペチーノを買って、窓際のカウンター席に座る。
新作フラペチーノは凄く美味しい。
こうやって毎月絶対に美味しい新作を出せるスタバは本当に凄い。
力はさっきの私の大声からほとんど何も喋らない。
それがまたイライラを増幅させていく。
しかしふとさっきのことを振り返り、途端にイライラが治まった。
力に悪いことしちゃった。
歩くの合わせてくれてるのに、速いって言っちゃった。
心配してくれてるのに、大声で怒鳴っちゃった。
ごめんって言わなきゃいけないのに、ごめんって言えなかった。
「力、さっきはごめん。」
「ああ、いいよ。大丈夫。」
「こんな気の利かない、短気な女でごめん。突然大きな声で怒鳴ったりしてごめん。本当にごめんなさい。」
「ちょっと、泣かないでよ。」
力がポケットティッシュを取り出して渡してくれた。
「こういうことあまり言わないようにしてたけど、多分今日女の子の日でしょ。しかも結構キツめの。
それくらい同じクラスで、幼馴染で、何より彼氏なんだから嫌でもわかるよ。
俺は男だからそういうのがどんなものなのかは情報としてしか知らないけど、今日なんとなくイライラしてるように見えたのはそういうことなんだろうなって思ってた。
だから大丈夫。
俺は大丈夫だから、自然にしててよ。」
力の優しさが身に染みる。
良い彼氏を持った。
我ながら誇らしい。
「余計泣かす気でしょ。」
「バレた?」
「もう、バカ。」
「でも本心だよ。」
「生理じゃない日は生理生理言ってくるくせに。」
「それは違うってわかってるのと、それを九華がネタとして受け取ってくれるからだよ。
ネタにならないくらい辛い時は絶対に言わない。」
「力のくせに気が効くじゃん。」
「何年お前の幼馴染やってると思ってんだよ。」
「言えてる。」
今日の力は、いつもより少しだけかっこよく見えた。
いつもふざけてばかりのくせに。
心做しか少し生理痛が楽になった気がした。
「ありがとう。」
力には聴こえないくらいの声で呟いた。
楽しみにしてた新作フラペチーノがついに飲める。
ワクワクが止まらない。
最悪。
こんな日に限って生理が来た。
しかも過去最高に重い。
正直立っているのがやっと。
生理痛薬を飲んでもやっぱり重い。
内蔵が無理やりギューッと縮められていく感覚。
元々そんなに重い方ではなかったのに、どうして今日に限って...。
それだけ重くても、やはり力とのデートと新作フラペチーノは逃せない。
帰りのホームルームが終わると、私は力と一緒に教室を出た。
「九華、昔いちご嫌いだったけど飲めるのか?」
「大丈夫。もう高校生だよ。」
「じゃあ良かった。いやー、楽しみだなー。」
「うん。そうだね。」
ここにきて生理痛が一段と酷くなってきた。
なぜか意味もないのにイライラしてくる。
「ねえ力、歩くの速い。」
「そうか?いつもどうりだけど。」
「速いよ。」
「...そうか。気をつける。」
何にイラついてるんだろ。
力の歩く速度はいつもどうりだ。
力がいつも、今日だって歩幅を合わせてくれてるのは言われなくても知ってる。
でも無性にイライラして八つ当たりしてしまう。
学校から歩いて15分程でスタバに着いた。
新作のフラペチーノはひとつ640円。
いつものことながらなかなか高い。
今月は食欲に任せて欲張り過ぎて金欠だから余計に痛い。
「今日は俺が出すよ。九華どうせ金欠だろ。」
力の優しさと気遣いはありがたい。
でも今日の私は普通じゃない。
もちろん悪い意味で。
「いい。私も出せる。」
「本当に大丈夫か?昨日だってお菓子めっちゃ買ってたじゃん。」
「大丈夫だって。」
「いいけど、無理すんなよ。」
「大丈夫って言ってんじゃん!しつこいな。」
つい大声を出してしまう。
周りのお客さん達が一斉にこっちを見た。
やってしまった。
「そ、そうか。ごめん。」
「うん。」
私もごめん。
そう言えば良いのに、なんだかむしゃくしゃして言えない。
こうやって力の優しさに甘えきってる自分にもイライラして、余計に情緒が不安定になる。
なんとかフラペチーノを買って、窓際のカウンター席に座る。
新作フラペチーノは凄く美味しい。
こうやって毎月絶対に美味しい新作を出せるスタバは本当に凄い。
力はさっきの私の大声からほとんど何も喋らない。
それがまたイライラを増幅させていく。
しかしふとさっきのことを振り返り、途端にイライラが治まった。
力に悪いことしちゃった。
歩くの合わせてくれてるのに、速いって言っちゃった。
心配してくれてるのに、大声で怒鳴っちゃった。
ごめんって言わなきゃいけないのに、ごめんって言えなかった。
「力、さっきはごめん。」
「ああ、いいよ。大丈夫。」
「こんな気の利かない、短気な女でごめん。突然大きな声で怒鳴ったりしてごめん。本当にごめんなさい。」
「ちょっと、泣かないでよ。」
力がポケットティッシュを取り出して渡してくれた。
「こういうことあまり言わないようにしてたけど、多分今日女の子の日でしょ。しかも結構キツめの。
それくらい同じクラスで、幼馴染で、何より彼氏なんだから嫌でもわかるよ。
俺は男だからそういうのがどんなものなのかは情報としてしか知らないけど、今日なんとなくイライラしてるように見えたのはそういうことなんだろうなって思ってた。
だから大丈夫。
俺は大丈夫だから、自然にしててよ。」
力の優しさが身に染みる。
良い彼氏を持った。
我ながら誇らしい。
「余計泣かす気でしょ。」
「バレた?」
「もう、バカ。」
「でも本心だよ。」
「生理じゃない日は生理生理言ってくるくせに。」
「それは違うってわかってるのと、それを九華がネタとして受け取ってくれるからだよ。
ネタにならないくらい辛い時は絶対に言わない。」
「力のくせに気が効くじゃん。」
「何年お前の幼馴染やってると思ってんだよ。」
「言えてる。」
今日の力は、いつもより少しだけかっこよく見えた。
いつもふざけてばかりのくせに。
心做しか少し生理痛が楽になった気がした。
「ありがとう。」
力には聴こえないくらいの声で呟いた。
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