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両親からの手紙

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 歓迎祭が終わり、寮に帰って自室に戻ろうとしていたところ、入り口で寮母のティーラさんに声をかけられた。

「ノルン君宛にお手紙が二通来てるわ。ご両親からよ。あなたの言った通りになったわね」
 
 そう言ってティーラさんは俺に手紙を渡してきた。

「ははは、やっぱりそうでしたか。わざわざありがとうございます」

「構わないわ。部屋に戻ってゆっくりしてから読みなさい。今日は歓迎祭があったから夕食はないわ。ごめんなさいね」

 ティーラさんは申し訳なさそうに謝ってきた。

「構いませんよ。お腹いっぱいに食べてきたんで今日は大丈夫です。明日の朝食、楽しみに待ってますね。それでは」

 そう言って俺は五階にある部屋に戻っていった。

 部屋に戻ってからすぐにシャワーを浴びて風呂に入った。屋台独特の匂いが服や体についていたからだ。
 まあ、後でトレーニングするからもう一回入るんだけどね。
 それが終わった後、濡れた髪をタオルで拭いてから、リビングに向かい、ソファーに座った。
 一息ついてから、ソファーの前のテーブルに置いてあった父さんと母さんからの手紙を手に取り開ける。

 まずは父さんからの手紙を開けて読んだ。

【我が息子、ノルンへ】

 しつこいかもしれないがもう一度ここに書いておく。入学おめでとう。毎日毎日鍛錬しているお前が掴み取った栄光だ。悔いのないように学院生活を送りなさい。父さんは会いにいけないが、いつも応援しているよ。

「……父さん、ありがとう」

 俺は少しジーンとしてしまった。

「ん? 下の方に何か書いてある……」


 ※忠告

 決して、陰キャにはなってはいけない。友達と仲良くしなさい。これは経験者による忠告だ。心に留めておくことをお勧めする。


「いやだから陰キャって何なんだよ!? でも書いてあることからして父さんは陰キャの経験者らしい。何かのスポーツかな? 明日ラルフとジョンに聞いてみるか」

そうして父さんの手紙を読み終え、次は母さんの手紙を読むため開いた。

【愛する息子 ノルンちゃんへ】

「いや、俺男なんだけど、ちゃんってなんなんだよ……。でも一応息子って書いてあるし……。まあ読むか」

 ノルンちゃん、寮生活はどう? お母さんがいなくて寂しいでしょ? うんうん、寂しいよね。その気持ち痛いほどわかるわ。私からは学院生活のポイントを紹介するわ。

 その一、陰キャになるな。

 その二、友達を作りましょう。

 その三、可愛い可愛い女の子とお話ししましょう。

「なんだよ、可愛い可愛い女の子とお話ししましょうって……。ま、まあそんな子がいたらいいのになとは思うけど……」


 この三つさえ守ればノルンちゃんの学院生活は今咲いているであろう満開の桜のように美しくなるでしょう。

 そう締め括られた母さんからの手紙を読み終えた。書かれていた三つのことを守りさえすれば陰キャというものにはならないということだろう。あれだけ父さんと母さんが忠告してきたからには余程危ないものらしい。

「よしっ、父さんと母さんの手紙も読み終えたことだし、トレーニングルームでトレーニングしますか」

 そうして俺は日課である、魔法の特訓と剣の振りを一生懸命するのだった。
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