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歓迎祭
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俺たちは三人で先輩たちが運営している、屋台を回っていた。
「ノルン、あそこの焼きそば買いに行こうよ」
「いや、それはないっす。祭りは遊びっすよ」
とラルフとジョンの二人は俺を挟んで言い争いをしている。正直止めたいけど、まだ知り合って間もないし、立場も立場だから言いにくい。いったいどうすれば……。
「ノルン、どっちがいい?」
「どっちっすか?」
と二人は俺を真剣な目で見つめてきた。
どっちでもいいという選択肢を選べばどうなるかわからない……。どうすれば……。
そんなことを考えている時だった。
「喧嘩はダメですよ!」
後ろから声がかかる。その声に俺は聞き覚えがあった。俺は後ろを向いて声の主を確認する。やはり間違いなかったようだ。
「シャルさん!」
俺の予想通り、生徒会長のシャルさんだった。俺はシャルさんの方へ近づく。呼ばれたシャルさんはキョトンとした顔で反応した。
「……ノルン君?」
「はい! ノルンです。あの喧嘩じゃないので大丈夫なんですけど……」
と言いつつ、俺は後ろの二人を見る。
「あら? あの二人は第二王子殿下と宰相の御子息よね?」
「は、はい。そうです。あれ? でもなんで知ってるんですか?」
俺がそう聞くとシャル先輩は笑顔で答える。
「ノルン君には言ってなかったけど、私一応貴族なの。シャルロッテ=カルノメア、カルノメア公爵家の次女です。幼い頃からあの子たちとはたくさん遊んでいたわ」
なんかそんな予感はしてたけど、まさかシャル先輩が公爵家の次女だったとは……。なんだか新しく関わる人のほとんどが高貴な方達なんだけど、そんな人たちと普通に会話できることがすごい。なんだか夢を見ているようだ。
「そうなんですか」
としか俺は言えなかった。
ラルフとジョンは俺が離れたのがようやく気づいたのか、声をかけてきた。
「ノルン、どっちがいいん……」
「どっちっ……」
あれ? 二人ともなんか止まってるんだけど、どうしたんだろ?
「「しゃ、シャル姉さんすみませんでしたっ!!」」
なんか、凄い勢いで首を上下に振って土下座してるんだが……。しかもよくよく考えると、ジョンの口調が変わってる。そして二人とも震えている。いったい過去に何があったのか気になるが、それを聞くとダメな予感がする。そんなにシャルさんが怖いのかな……。
「あら? 私は何も怒ってないわよ。せっかくの歓迎祭なのに揉め事はごめんだからね。小さな火種が大きな炎にならないようにこうして監視しているのよ」
ラルフとジョンの二人はそれを聞いて胸を撫で下ろした。
「そ、そうでしたか。生徒会長様も大変ですね」
「迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
それを聞いてシャルさんはうなづいた。
「分かればいいのよ、分かれば。ノルン君を困らせないようにしなさい。分かったわね?」
なんか最後だけすごい威圧を感じたんだけど気のせいだよね?
「「分かりましたっ!!」」
「では、楽しい歓迎祭を満喫してくださいね」
そう言い残し、シャルさんは俺たちの前から去っていった。
シャルさんが立ち去った後も、ラルフとジョンは震えていた。
俺はこのままではいけないと思い、声をかけた。
「……あのさ、あそこの焼きそばの屋台行かない? ちょうどお腹空いてきたし……」
俺がそういうと、二人は互いに目を合わせうなづいた後、俺の方を向いて言った。
「うん、行こう」
「行くっす」
なんだかシャルさんと会ってから二人の態度がぎこちないものになっていたけど、それもちょっとずつ治ってきた。
俺たちは焼きそばを食べた後、輪投げ、唐揚げ、フライドポテト、などの屋台をたくさん回った。
「はあ~、疲れたね」
「そうすっね。お腹いっぱいっす」
「そうだね~。でも楽しかったよ。こんな経験初めてだ」
屋台を回るうちに俺たちは、気軽に話すことができた。
時刻はもう夕方。そろそろ歓迎祭も終わる時間となり、別れの時間となった。
「じゃあね、ノルン。また明日!」
「また明日っす」
「うん! また明日!」
そうして俺たちは別れ、歓迎祭は幕を閉じた。
「ノルン、あそこの焼きそば買いに行こうよ」
「いや、それはないっす。祭りは遊びっすよ」
とラルフとジョンの二人は俺を挟んで言い争いをしている。正直止めたいけど、まだ知り合って間もないし、立場も立場だから言いにくい。いったいどうすれば……。
「ノルン、どっちがいい?」
「どっちっすか?」
と二人は俺を真剣な目で見つめてきた。
どっちでもいいという選択肢を選べばどうなるかわからない……。どうすれば……。
そんなことを考えている時だった。
「喧嘩はダメですよ!」
後ろから声がかかる。その声に俺は聞き覚えがあった。俺は後ろを向いて声の主を確認する。やはり間違いなかったようだ。
「シャルさん!」
俺の予想通り、生徒会長のシャルさんだった。俺はシャルさんの方へ近づく。呼ばれたシャルさんはキョトンとした顔で反応した。
「……ノルン君?」
「はい! ノルンです。あの喧嘩じゃないので大丈夫なんですけど……」
と言いつつ、俺は後ろの二人を見る。
「あら? あの二人は第二王子殿下と宰相の御子息よね?」
「は、はい。そうです。あれ? でもなんで知ってるんですか?」
俺がそう聞くとシャル先輩は笑顔で答える。
「ノルン君には言ってなかったけど、私一応貴族なの。シャルロッテ=カルノメア、カルノメア公爵家の次女です。幼い頃からあの子たちとはたくさん遊んでいたわ」
なんかそんな予感はしてたけど、まさかシャル先輩が公爵家の次女だったとは……。なんだか新しく関わる人のほとんどが高貴な方達なんだけど、そんな人たちと普通に会話できることがすごい。なんだか夢を見ているようだ。
「そうなんですか」
としか俺は言えなかった。
ラルフとジョンは俺が離れたのがようやく気づいたのか、声をかけてきた。
「ノルン、どっちがいいん……」
「どっちっ……」
あれ? 二人ともなんか止まってるんだけど、どうしたんだろ?
「「しゃ、シャル姉さんすみませんでしたっ!!」」
なんか、凄い勢いで首を上下に振って土下座してるんだが……。しかもよくよく考えると、ジョンの口調が変わってる。そして二人とも震えている。いったい過去に何があったのか気になるが、それを聞くとダメな予感がする。そんなにシャルさんが怖いのかな……。
「あら? 私は何も怒ってないわよ。せっかくの歓迎祭なのに揉め事はごめんだからね。小さな火種が大きな炎にならないようにこうして監視しているのよ」
ラルフとジョンの二人はそれを聞いて胸を撫で下ろした。
「そ、そうでしたか。生徒会長様も大変ですね」
「迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
それを聞いてシャルさんはうなづいた。
「分かればいいのよ、分かれば。ノルン君を困らせないようにしなさい。分かったわね?」
なんか最後だけすごい威圧を感じたんだけど気のせいだよね?
「「分かりましたっ!!」」
「では、楽しい歓迎祭を満喫してくださいね」
そう言い残し、シャルさんは俺たちの前から去っていった。
シャルさんが立ち去った後も、ラルフとジョンは震えていた。
俺はこのままではいけないと思い、声をかけた。
「……あのさ、あそこの焼きそばの屋台行かない? ちょうどお腹空いてきたし……」
俺がそういうと、二人は互いに目を合わせうなづいた後、俺の方を向いて言った。
「うん、行こう」
「行くっす」
なんだかシャルさんと会ってから二人の態度がぎこちないものになっていたけど、それもちょっとずつ治ってきた。
俺たちは焼きそばを食べた後、輪投げ、唐揚げ、フライドポテト、などの屋台をたくさん回った。
「はあ~、疲れたね」
「そうすっね。お腹いっぱいっす」
「そうだね~。でも楽しかったよ。こんな経験初めてだ」
屋台を回るうちに俺たちは、気軽に話すことができた。
時刻はもう夕方。そろそろ歓迎祭も終わる時間となり、別れの時間となった。
「じゃあね、ノルン。また明日!」
「また明日っす」
「うん! また明日!」
そうして俺たちは別れ、歓迎祭は幕を閉じた。
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