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第9章 愁いのロストフラグメント
23 心の支え…レヴィside
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夢から覚めるとそこにはやはりエルシアがいた。
少しやつれたように見えるが、彼女はそれを隠すようにいつもの笑みを浮かべ、俺の目が覚めた事を心から喜んでくれた。
そんなにも心配をさせてしまった事に罪悪感はあるが、同時に起きるのをずっと待っててくれたのだと思うと、俺も嬉しい気持ちが湧くものの、自分性格上何とも反応に困るのだった。
その後、少しの間会話をした。
意識を失って起きるまで、そこまで経っていないと思っていたのだが、話を聞く限り結構な時間俺は寝ていたらしく、その他にも体の傷はもう問題ないものの、どうやら精神が参っているらしく無理しないようにと忠告された。
まだ安静が必要だからと、詳しい話もまた後日になり、この話は一度終わった。でも俺は何となく悟っていた。
朧気ながらも俺が暴走して、周りに迷惑をかけてしまったと言う事を。
エルのやつれた顔もそうだ。彼女の笑顔を曇らせてしまったのも元はと言えば俺が原因で……。
一度考えだすと後ろ向きな思考が止まらず、彼女が言うように精神が参っているのを実感する。普段なら平気な事も、今は暗い感情に引っ張られて、少しの事でどんどん気持ちが沈んでいくのが分かる。
けれどまた俺のせいでエルや周りの人達に迷惑をかけるわけにはいかないのだ。
それだけは避けなくては。そう思い一度思考するのを止め、精神を落ち着かせる事に集中する事にした。
このまま何事もなくまたいつもの日常が戻ってくれば……なんて考えていたが、しかし、その平和な日常が戻ってくるのは、まだまだ先なのだと直ぐに思い知らされることとなる。
目が覚めた翌日の事。
「……父上…」
突然来訪したらしい実の父親の姿に、俺は驚きを隠せなかった。一目見ただけでも分かる程怒りに顔を真っ赤にした父を、俺は動く事の出来ない寝台の上でただ見ている事しか出来なかった。
けれどこれは俺の招いた事なのだ、と諦めがつくのも早かった。
俺は父に嫌われている。その自覚はあるし、父の態度からもそれは良く伝わって来る。
しかし父は俺を捨てずに屋敷におき、会話はなく、仲も皆無ではあるがそれでも同じ家で今も生活をしていた。
一応父と息子と言う関係も変わっていないし、幼少期のあれが原因で俺をあからさまに避けるようになったものの、俺が何かやらかさない限り口は出してこない。
その事は俺としては有難い。けれど相反して、口が裂けても言えないが少し寂しいとも感じる事がある。
しかしそれは置いておくとしても、今回の件はやらかしたどころの話ではない。明らかに度を越えているのだ。
それを父であり侯爵家当主として見過ごせるわけもなく、こうして怒りを露にするのも当然と言えた。
……ついに俺もお払い箱か……。
そんな父につい何処か他人事のように思ったのだった。
「レヴィッ!ルドルフから話は聞いた。お前どういうつもりだっ!俺の顔に泥を塗るとは…!今まで散々目をつぶってやっていたと言うのに、それに対する行いがこれなのか!?恩知らずにも程があるだろうっ!!」
息つく暇もなく一方的にまくし立てられる中、その怒りはごもっともと思っている俺は、ただ黙ってその言葉を受け入れる程ない。
父に言われるまでもなく自分のせいだという自覚は十分過ぎる程あるのだから。
ただ今の精神状態とはまた別に、自分の中の心が死んでいく感覚もしていた。
感情はまだ生きているが、心は無心に近いような感覚で、父からの叱責に悲しさは少し感じるも涙の一滴も出る気がしない。
まあ出たところで更に父の怒りを買うのが落ちだろうけれど。
俺にしては珍しく気落ちていたそんな時だった。静観していたエルが突然会話に口を挟んできたのは。
しかも俺を父から隠して庇うように、激昂するあの父の前に立ちはだかって。
随分と落ち着いた雰囲気で彼女の口が開く。
「ローレンス侯爵、落ち着いて下さい。レヴィ君はまだ療養中で、今は安静にしていなければならない状態でもあります。ですので、彼を一方的に責めるような物言いは控えて下さい。
それとルドルフさんから今回の件を聞き、こうしてシェフィールド侯爵邸にいらしたのでしょうが、でしたら分かりますよね?今の彼は魔族から受けた魔法の影響で、外傷だけではなく精神的にも負荷が掛かっている状態だという事を。
例え些細な事でも今の彼には重荷になります。お話なら彼の体調が良くなってからでも十分でしょう?彼の為にも今はお引き取り願います」
そう淡々と言ってのける。
口を挟もうと思えば出来ただろうが、今の彼女には誰も意を唱えられない雰囲気があった。有無を言わさない圧倒的なオーラ。
いつもはか弱く、危なっかしくて、こちらが守ってやらないと。そう思わされる少女なのに、それが今は別人にようだ。頼もしくも見えるのだから不思議だった。
ただ心のどこかでまだ不安があったのか、俺はそれを拭うように彼女の手を無意識に掴んでいた。今更ながらも、彼女を俺と父との事に関わらせたくない、と言う思いもあっての事。
とは言え、巻き込みたくないと思ったくせに手が情けない程震えてしまった為に、格好もつかないのだが。
それでもこちらを振り返ったエルは、
「レヴィ君、私は大丈夫です。だから見ていて下さいね」
それだけ言って、弱弱しい俺の手を握り返すと、父の方へと視線を戻してしまう。
俺が今までの見て来た彼女の姿は何だったのか?
そんな疑問を抱く程の変化を彼女から感じ、更に今までの俺と彼女の立場が大きく逆転してしまった気までするのだった。
その後、エルは臆する事なく父と対峙して、それでも怒りの収まらない父が向かって来ようとしたところで兄、そしてエルの父親であるディラン侯爵までもが、騒ぎを聞きつけてきたのだろう部屋へと駆けつける。
兄はともかく、エルの父である侯爵は父と学院時代からの友人だと聞いている。侯爵が現れたからにはいくら父と言えども好き勝手な言動は流石に出来ないだろう。ぐっと何かを堪えるように黙る父。
一瞬訪れる沈黙の後、侯爵が連れて来たと言うある人物が部屋に入って来た事で場の空気が一気に変わり、その人物に俺だけでなく侯爵を除いた全員が釘付けとなる。
それは当然だ。父が突然現れた事もイレギュラーだったが、新たに現れた人物が俺の母親、セレスティーナだったからだ。
皆の視線を一身に受け、母は始めこそ気まずそうにしていたが、直に覚悟を決めたように、真っ直ぐな迷いのない目でこちらを見つめた。
俺の気のせいでなければ、母は俺の事をじっと見ている。それに今度は俺の方が気まずくなった。
「セレス…ッ、何故ここにっ…!」
突然の母の登場に父は大袈裟な程動揺し、俺の事なんかとっくに眼中にないらしい。
とは言え、自分を襲っていた威圧がなくなり少しほっとする。
「私が彼女を呼んだ」
俺が息を吐くのと同時に侯爵が淡々と告げる。
この場には最早父に味方する者等いない。そんな父に侯爵は厳しい目を向けながら更に言葉を続ける。
「ルーク、お前は何をやっているんだ?今、お前がするべき事は息子を問い詰める事ではないだろう?
それに私の娘にも暴言を吐いていたな。これ以上騒ぐと言うのなら友人とて私も容赦しないぞ」
侯爵は本気だ。そう感じるくらい圧は凄く、まるで自分に対して言われているかのような錯覚に陥る。無意識に緊張が走る。
普段穏やかな人が本気で怒りを見せるとこれ程までに変わるものなのか、と身をもって実感した瞬間だった。
前に魔法の制御が上手くいかず、その挙句暴走してしまい、エルが身を挺して助けてくれた、と言う出来事があったが、あの時侯爵に説教は食らったもののそれだけで済んでいる。
しかし目の前での父とのやり取りを見る限り、あの時の侯爵は本気では怒っておらず、手加減してくれていたのだと今更ながらに俺は思い知らされたのだった。
「……悪い、取り乱した。少し頭を冷やしてくる」
侯爵の迫力に父も少し冷静さを取り戻したようだ。
動揺からなのか目は泳ぎ歯切れ悪く言葉を零し、最後には逃げるようにして部屋を出ていったのだった。
その後、俺は母と話をした。
じっくりと会話をするのなんていつぶりか…本当に久しぶりで、終始らしくもなく緊張していた。
しかし話しをしてみて、見えていなかったものがやっと分かった。
今まで母の抱えていた想いを初めて聞かされ、俺は驚きと共に、悲しみと嬉しさの相反する感情が沸き上がるのを感じた。この人がそんな事を今まで考え、抱えていたなんて俺は考えもしなかったから。いや、それ程に俺が子供だったのだろう。気づけなかったのだから。
それでも、時間はかかってしまったが、母の気持ちをこうして知れた事で心が通じ合えた気がする。だから俺は素直にその事を嬉しく思う。
中にはお互いの勘違いもあって、それが原因で関係を悪化させていた、なんて事もあったが話し合いでその蟠りも解けた。
母が俺に歩み寄ろうとしてくれている。その気持ちが嬉しくて、俺も不器用ながらも自分の想いを伝える努力をする。昔のように笑い合えるように、俺も歩み寄る努力をするのだ。
そう言えばと、エル達が気を使って、俺と母を二人きりにしてくれていた事を思い出す。
正直その気遣いは有難い。後で礼を言わなければ、そう思った。
母と話せたお陰で、不安定だった精神状態も大分落ち着いたと思う。肩の荷が下りたように、気持ちもすっと楽になったと感じたのもきっと気のせいではない。
少しやつれたように見えるが、彼女はそれを隠すようにいつもの笑みを浮かべ、俺の目が覚めた事を心から喜んでくれた。
そんなにも心配をさせてしまった事に罪悪感はあるが、同時に起きるのをずっと待っててくれたのだと思うと、俺も嬉しい気持ちが湧くものの、自分性格上何とも反応に困るのだった。
その後、少しの間会話をした。
意識を失って起きるまで、そこまで経っていないと思っていたのだが、話を聞く限り結構な時間俺は寝ていたらしく、その他にも体の傷はもう問題ないものの、どうやら精神が参っているらしく無理しないようにと忠告された。
まだ安静が必要だからと、詳しい話もまた後日になり、この話は一度終わった。でも俺は何となく悟っていた。
朧気ながらも俺が暴走して、周りに迷惑をかけてしまったと言う事を。
エルのやつれた顔もそうだ。彼女の笑顔を曇らせてしまったのも元はと言えば俺が原因で……。
一度考えだすと後ろ向きな思考が止まらず、彼女が言うように精神が参っているのを実感する。普段なら平気な事も、今は暗い感情に引っ張られて、少しの事でどんどん気持ちが沈んでいくのが分かる。
けれどまた俺のせいでエルや周りの人達に迷惑をかけるわけにはいかないのだ。
それだけは避けなくては。そう思い一度思考するのを止め、精神を落ち着かせる事に集中する事にした。
このまま何事もなくまたいつもの日常が戻ってくれば……なんて考えていたが、しかし、その平和な日常が戻ってくるのは、まだまだ先なのだと直ぐに思い知らされることとなる。
目が覚めた翌日の事。
「……父上…」
突然来訪したらしい実の父親の姿に、俺は驚きを隠せなかった。一目見ただけでも分かる程怒りに顔を真っ赤にした父を、俺は動く事の出来ない寝台の上でただ見ている事しか出来なかった。
けれどこれは俺の招いた事なのだ、と諦めがつくのも早かった。
俺は父に嫌われている。その自覚はあるし、父の態度からもそれは良く伝わって来る。
しかし父は俺を捨てずに屋敷におき、会話はなく、仲も皆無ではあるがそれでも同じ家で今も生活をしていた。
一応父と息子と言う関係も変わっていないし、幼少期のあれが原因で俺をあからさまに避けるようになったものの、俺が何かやらかさない限り口は出してこない。
その事は俺としては有難い。けれど相反して、口が裂けても言えないが少し寂しいとも感じる事がある。
しかしそれは置いておくとしても、今回の件はやらかしたどころの話ではない。明らかに度を越えているのだ。
それを父であり侯爵家当主として見過ごせるわけもなく、こうして怒りを露にするのも当然と言えた。
……ついに俺もお払い箱か……。
そんな父につい何処か他人事のように思ったのだった。
「レヴィッ!ルドルフから話は聞いた。お前どういうつもりだっ!俺の顔に泥を塗るとは…!今まで散々目をつぶってやっていたと言うのに、それに対する行いがこれなのか!?恩知らずにも程があるだろうっ!!」
息つく暇もなく一方的にまくし立てられる中、その怒りはごもっともと思っている俺は、ただ黙ってその言葉を受け入れる程ない。
父に言われるまでもなく自分のせいだという自覚は十分過ぎる程あるのだから。
ただ今の精神状態とはまた別に、自分の中の心が死んでいく感覚もしていた。
感情はまだ生きているが、心は無心に近いような感覚で、父からの叱責に悲しさは少し感じるも涙の一滴も出る気がしない。
まあ出たところで更に父の怒りを買うのが落ちだろうけれど。
俺にしては珍しく気落ちていたそんな時だった。静観していたエルが突然会話に口を挟んできたのは。
しかも俺を父から隠して庇うように、激昂するあの父の前に立ちはだかって。
随分と落ち着いた雰囲気で彼女の口が開く。
「ローレンス侯爵、落ち着いて下さい。レヴィ君はまだ療養中で、今は安静にしていなければならない状態でもあります。ですので、彼を一方的に責めるような物言いは控えて下さい。
それとルドルフさんから今回の件を聞き、こうしてシェフィールド侯爵邸にいらしたのでしょうが、でしたら分かりますよね?今の彼は魔族から受けた魔法の影響で、外傷だけではなく精神的にも負荷が掛かっている状態だという事を。
例え些細な事でも今の彼には重荷になります。お話なら彼の体調が良くなってからでも十分でしょう?彼の為にも今はお引き取り願います」
そう淡々と言ってのける。
口を挟もうと思えば出来ただろうが、今の彼女には誰も意を唱えられない雰囲気があった。有無を言わさない圧倒的なオーラ。
いつもはか弱く、危なっかしくて、こちらが守ってやらないと。そう思わされる少女なのに、それが今は別人にようだ。頼もしくも見えるのだから不思議だった。
ただ心のどこかでまだ不安があったのか、俺はそれを拭うように彼女の手を無意識に掴んでいた。今更ながらも、彼女を俺と父との事に関わらせたくない、と言う思いもあっての事。
とは言え、巻き込みたくないと思ったくせに手が情けない程震えてしまった為に、格好もつかないのだが。
それでもこちらを振り返ったエルは、
「レヴィ君、私は大丈夫です。だから見ていて下さいね」
それだけ言って、弱弱しい俺の手を握り返すと、父の方へと視線を戻してしまう。
俺が今までの見て来た彼女の姿は何だったのか?
そんな疑問を抱く程の変化を彼女から感じ、更に今までの俺と彼女の立場が大きく逆転してしまった気までするのだった。
その後、エルは臆する事なく父と対峙して、それでも怒りの収まらない父が向かって来ようとしたところで兄、そしてエルの父親であるディラン侯爵までもが、騒ぎを聞きつけてきたのだろう部屋へと駆けつける。
兄はともかく、エルの父である侯爵は父と学院時代からの友人だと聞いている。侯爵が現れたからにはいくら父と言えども好き勝手な言動は流石に出来ないだろう。ぐっと何かを堪えるように黙る父。
一瞬訪れる沈黙の後、侯爵が連れて来たと言うある人物が部屋に入って来た事で場の空気が一気に変わり、その人物に俺だけでなく侯爵を除いた全員が釘付けとなる。
それは当然だ。父が突然現れた事もイレギュラーだったが、新たに現れた人物が俺の母親、セレスティーナだったからだ。
皆の視線を一身に受け、母は始めこそ気まずそうにしていたが、直に覚悟を決めたように、真っ直ぐな迷いのない目でこちらを見つめた。
俺の気のせいでなければ、母は俺の事をじっと見ている。それに今度は俺の方が気まずくなった。
「セレス…ッ、何故ここにっ…!」
突然の母の登場に父は大袈裟な程動揺し、俺の事なんかとっくに眼中にないらしい。
とは言え、自分を襲っていた威圧がなくなり少しほっとする。
「私が彼女を呼んだ」
俺が息を吐くのと同時に侯爵が淡々と告げる。
この場には最早父に味方する者等いない。そんな父に侯爵は厳しい目を向けながら更に言葉を続ける。
「ルーク、お前は何をやっているんだ?今、お前がするべき事は息子を問い詰める事ではないだろう?
それに私の娘にも暴言を吐いていたな。これ以上騒ぐと言うのなら友人とて私も容赦しないぞ」
侯爵は本気だ。そう感じるくらい圧は凄く、まるで自分に対して言われているかのような錯覚に陥る。無意識に緊張が走る。
普段穏やかな人が本気で怒りを見せるとこれ程までに変わるものなのか、と身をもって実感した瞬間だった。
前に魔法の制御が上手くいかず、その挙句暴走してしまい、エルが身を挺して助けてくれた、と言う出来事があったが、あの時侯爵に説教は食らったもののそれだけで済んでいる。
しかし目の前での父とのやり取りを見る限り、あの時の侯爵は本気では怒っておらず、手加減してくれていたのだと今更ながらに俺は思い知らされたのだった。
「……悪い、取り乱した。少し頭を冷やしてくる」
侯爵の迫力に父も少し冷静さを取り戻したようだ。
動揺からなのか目は泳ぎ歯切れ悪く言葉を零し、最後には逃げるようにして部屋を出ていったのだった。
その後、俺は母と話をした。
じっくりと会話をするのなんていつぶりか…本当に久しぶりで、終始らしくもなく緊張していた。
しかし話しをしてみて、見えていなかったものがやっと分かった。
今まで母の抱えていた想いを初めて聞かされ、俺は驚きと共に、悲しみと嬉しさの相反する感情が沸き上がるのを感じた。この人がそんな事を今まで考え、抱えていたなんて俺は考えもしなかったから。いや、それ程に俺が子供だったのだろう。気づけなかったのだから。
それでも、時間はかかってしまったが、母の気持ちをこうして知れた事で心が通じ合えた気がする。だから俺は素直にその事を嬉しく思う。
中にはお互いの勘違いもあって、それが原因で関係を悪化させていた、なんて事もあったが話し合いでその蟠りも解けた。
母が俺に歩み寄ろうとしてくれている。その気持ちが嬉しくて、俺も不器用ながらも自分の想いを伝える努力をする。昔のように笑い合えるように、俺も歩み寄る努力をするのだ。
そう言えばと、エル達が気を使って、俺と母を二人きりにしてくれていた事を思い出す。
正直その気遣いは有難い。後で礼を言わなければ、そう思った。
母と話せたお陰で、不安定だった精神状態も大分落ち着いたと思う。肩の荷が下りたように、気持ちもすっと楽になったと感じたのもきっと気のせいではない。
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