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第8章 ノスタルジア
7 その後部屋にて
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話し合いが終わった後、今日はもう休もうと言う事になり、私達は用意してもらった部屋にそれぞれ移動して来ていた。
来客用の部屋なんだけど自室よりも広くて、ここにただで(お金の事)滞在させてもらうのが何だが申し訳なくなってきたよ…。高級ホテルにただで泊まっているような気分で恐れ多いな…。
でもその分しっかり働きますからね!
そんな事で気合も十分有り余っている訳だけど、今日聞いた話をもう一度整理しようと思い一旦冷静になる。
湯浴みを済ませ後、一人では大きすぎるキングサイズのベットにちょこんと座ると早速話をする為に彼女を呼んだ。
「ウル、少し良いですか?」
「はーい」
呼んだ途端何処からともなくその姿を現したウルは私と同じようにベッドの上にちょこんと座り込み、それを見てから改めて声をかけた。
「先程の話し合いの時に姿が見えませんでしたが聞いていたんですよね?」
先日殿下が侯爵邸に訪ねて来た時もウルはその場にいなかったにも関わらず話の内容を知っていたから、今回も姿が見えなかっただけでこっそり聞いていたんじゃないかなって思うんだ。
「ええ、聞いていたわ」
私の問いにウルが頷く。やっぱりね。
納得し最早驚く事でもないので先に話を進める。
「それなら良かった。今から話し合いで聞いた事を整理しようと思っていたんです。後気になった事も有りますし」
「分かったわ」
前置きはこのくらいにして本題に入ろう。
「まず発端はシュレーデル王国の資源、精霊の森と呼ばれる森に黒い靄が発生した事から始まり、その後日をかけて靄が霧に代わり森全体を覆ってしまった。その黒い霧は時間が経つと消えていたけれど、どうしてか今では一日中発生していて、そのせいで国の人達が近づけなくなってしまった」
「ええ」
「ウル、この黒い霧はやっぱり…」
殿下から初めてこの話を聞いた時から思っていたけど確証はなかった。もしかしたら違う可能性もあったから。
でも今回話を聞いて確信したよ。ウルも分かっていたのかそうだと言うように真剣な顔で頷いていた。
「エルちゃんが思っている通り、この黒い霧と言うのは間違いなく瘴気よ」
「瘴気…」
瘴気は負のエネルギーの事で原因は色々あるけど人に害をなすもので危険なのだ。
色々あるとは言ったけどその殆どが人からの恨み、悲しみ、怒りと言った悲観的な感情から生まれてしまう。
アインフェルト王国に行きルリ様から昔の話を聞いた時にも出てきた瘴気。
その話を聞き、優しく善人な人をも冷酷非道な人格へと変えてしまう力がある事を私は知ったのだった。
だけど今回のケースは珍しい。広大な森を覆ってしまう程の瘴気を作り出すには人が持つ負の感情だけでは生み出せない。
もし出来たとしてもどれだけの人数が必要になるのか計り知れないのだ。
だとすると可能性はもう一つ。
瘴気は人からでなくとも作り出せると言う事だ。
この世界には神聖な土地、神殿や泉といった場所があるが、それとは逆に瘴気で人が近づく事の出来ない場所も存在していて、はっきりとしたメカニズムは分かっていないけど、私の前世、日本で言う火山の煙のように何らかの理由で瘴気が外に漏れ出てしまっていたり、神聖な泉が瘴気で黒く染まってしまったなんて話が実際にある。
だから今回の事も森に近い場所から瘴気が漏れてしまい、風に乗って森へと流れてきているのではないかと私は推測する。
その推測が正しいとして、瘴気の発生が自然的なものなのか人為的なものなのかまだ分からないから実際に調べてみるしかない。どちらにしろ森には行かなければならないと言う事だね。
と言う事で霧の事はその推測でまあ良いとして、もう一つ私には気になる事があった。
「今回の件、瘴気が原因なのはウルが言うので間違いないと思います。でもその事をリハルト殿下達は気が付いていなかったのでしょうか?」
「…なるほどね」
今の一言だけでウルは私が言わんとしている事を正しく理解してくれたようだ。
「アルフレッド殿下に話を聞いた時、現象の正体に心当たりはあるものの対処法が分からないと言い、今回の件はシュレーデル国王陛下がアレクセイ国王陛下に助けを求めたとも言っていました。
だけど森に発生した霧とその後に振った黒い雨。瘴気が混ざっている人に害をなす雨が降ってしまいそれを浴びた人達が高熱で動けない状況。更にはシュレーデル国王陛下もその被害に遭っていた…と言う事は――」
私が確認を取るようにウルを見ると彼女は肯定し、先を引き継ぐように話し出した。
「どうやらそのようね。
事態の異常さに気が付いた国王は早急に救いを求めてオルデシアの国王に話をし、原因究明、そして解決をすると言う事で話が纏まった。けれどその話の後に瘴気の雨が降って運悪くシュレーデル国王もその被害に遭ってしまった。
瘴気の発生原因まで特定していたのにそれを知らせる前に倒れてしまったのね。
亡くなった人がいないと言っても瘴気は人にとっては猛毒。身体を動かすどころか話をする事も今は困難でしょうね」
普段笑みを絶やさないウルが苦悶の表情を浮かべる。私も同じく悲痛な気持ちだ。苦しんでいる人が今もいるんだと思うと自分の事のように辛い。
今も苦しんでいる人達を救うには癒しの能力を持つウルの力が必要不可欠。もしかしたらウルに大きな負担をかけてしまうかもしれない。
そうも考えてしまい更に頭を抱えたくなる。
「エルちゃん。あまり気負いすぎないでね」
「はい、すみません。
ウル、無茶はしませんから私にも出来る事があれば何でも言ってください」
慰めてもらってばかりで申し訳なくて、めそめそするな!と自分の弱い心に活を入れる。
「ええ、一緒に頑張りましょう」
気持ちを切り替えていつものように返すとウルも調子を取り戻したようだった。
「さて、エルちゃんはそろそろ眠る時間よ。続きはまた明日にしましょう」
あまり長話はしていないはずだけど、そろそろとウルに言われたので今日はもうお開きにしてベッドに横になる。
「おやすみさない、エルちゃん」
ウルが宙に浮いて私の顔を覗き込んでくるので、私もおやすみなさいと返す。すると安心したような顔をしてその姿が朧げになってきて、私は彼女が見えなくなるまで見つめていた。
そうして彼女の気配がなくなったなと思ったら、今度は眠気が襲ってきたので身を委ねる事に。
意識が落ちる寸前、ウルが頭を撫でてくれていたようなそんな気がした。
来客用の部屋なんだけど自室よりも広くて、ここにただで(お金の事)滞在させてもらうのが何だが申し訳なくなってきたよ…。高級ホテルにただで泊まっているような気分で恐れ多いな…。
でもその分しっかり働きますからね!
そんな事で気合も十分有り余っている訳だけど、今日聞いた話をもう一度整理しようと思い一旦冷静になる。
湯浴みを済ませ後、一人では大きすぎるキングサイズのベットにちょこんと座ると早速話をする為に彼女を呼んだ。
「ウル、少し良いですか?」
「はーい」
呼んだ途端何処からともなくその姿を現したウルは私と同じようにベッドの上にちょこんと座り込み、それを見てから改めて声をかけた。
「先程の話し合いの時に姿が見えませんでしたが聞いていたんですよね?」
先日殿下が侯爵邸に訪ねて来た時もウルはその場にいなかったにも関わらず話の内容を知っていたから、今回も姿が見えなかっただけでこっそり聞いていたんじゃないかなって思うんだ。
「ええ、聞いていたわ」
私の問いにウルが頷く。やっぱりね。
納得し最早驚く事でもないので先に話を進める。
「それなら良かった。今から話し合いで聞いた事を整理しようと思っていたんです。後気になった事も有りますし」
「分かったわ」
前置きはこのくらいにして本題に入ろう。
「まず発端はシュレーデル王国の資源、精霊の森と呼ばれる森に黒い靄が発生した事から始まり、その後日をかけて靄が霧に代わり森全体を覆ってしまった。その黒い霧は時間が経つと消えていたけれど、どうしてか今では一日中発生していて、そのせいで国の人達が近づけなくなってしまった」
「ええ」
「ウル、この黒い霧はやっぱり…」
殿下から初めてこの話を聞いた時から思っていたけど確証はなかった。もしかしたら違う可能性もあったから。
でも今回話を聞いて確信したよ。ウルも分かっていたのかそうだと言うように真剣な顔で頷いていた。
「エルちゃんが思っている通り、この黒い霧と言うのは間違いなく瘴気よ」
「瘴気…」
瘴気は負のエネルギーの事で原因は色々あるけど人に害をなすもので危険なのだ。
色々あるとは言ったけどその殆どが人からの恨み、悲しみ、怒りと言った悲観的な感情から生まれてしまう。
アインフェルト王国に行きルリ様から昔の話を聞いた時にも出てきた瘴気。
その話を聞き、優しく善人な人をも冷酷非道な人格へと変えてしまう力がある事を私は知ったのだった。
だけど今回のケースは珍しい。広大な森を覆ってしまう程の瘴気を作り出すには人が持つ負の感情だけでは生み出せない。
もし出来たとしてもどれだけの人数が必要になるのか計り知れないのだ。
だとすると可能性はもう一つ。
瘴気は人からでなくとも作り出せると言う事だ。
この世界には神聖な土地、神殿や泉といった場所があるが、それとは逆に瘴気で人が近づく事の出来ない場所も存在していて、はっきりとしたメカニズムは分かっていないけど、私の前世、日本で言う火山の煙のように何らかの理由で瘴気が外に漏れ出てしまっていたり、神聖な泉が瘴気で黒く染まってしまったなんて話が実際にある。
だから今回の事も森に近い場所から瘴気が漏れてしまい、風に乗って森へと流れてきているのではないかと私は推測する。
その推測が正しいとして、瘴気の発生が自然的なものなのか人為的なものなのかまだ分からないから実際に調べてみるしかない。どちらにしろ森には行かなければならないと言う事だね。
と言う事で霧の事はその推測でまあ良いとして、もう一つ私には気になる事があった。
「今回の件、瘴気が原因なのはウルが言うので間違いないと思います。でもその事をリハルト殿下達は気が付いていなかったのでしょうか?」
「…なるほどね」
今の一言だけでウルは私が言わんとしている事を正しく理解してくれたようだ。
「アルフレッド殿下に話を聞いた時、現象の正体に心当たりはあるものの対処法が分からないと言い、今回の件はシュレーデル国王陛下がアレクセイ国王陛下に助けを求めたとも言っていました。
だけど森に発生した霧とその後に振った黒い雨。瘴気が混ざっている人に害をなす雨が降ってしまいそれを浴びた人達が高熱で動けない状況。更にはシュレーデル国王陛下もその被害に遭っていた…と言う事は――」
私が確認を取るようにウルを見ると彼女は肯定し、先を引き継ぐように話し出した。
「どうやらそのようね。
事態の異常さに気が付いた国王は早急に救いを求めてオルデシアの国王に話をし、原因究明、そして解決をすると言う事で話が纏まった。けれどその話の後に瘴気の雨が降って運悪くシュレーデル国王もその被害に遭ってしまった。
瘴気の発生原因まで特定していたのにそれを知らせる前に倒れてしまったのね。
亡くなった人がいないと言っても瘴気は人にとっては猛毒。身体を動かすどころか話をする事も今は困難でしょうね」
普段笑みを絶やさないウルが苦悶の表情を浮かべる。私も同じく悲痛な気持ちだ。苦しんでいる人が今もいるんだと思うと自分の事のように辛い。
今も苦しんでいる人達を救うには癒しの能力を持つウルの力が必要不可欠。もしかしたらウルに大きな負担をかけてしまうかもしれない。
そうも考えてしまい更に頭を抱えたくなる。
「エルちゃん。あまり気負いすぎないでね」
「はい、すみません。
ウル、無茶はしませんから私にも出来る事があれば何でも言ってください」
慰めてもらってばかりで申し訳なくて、めそめそするな!と自分の弱い心に活を入れる。
「ええ、一緒に頑張りましょう」
気持ちを切り替えていつものように返すとウルも調子を取り戻したようだった。
「さて、エルちゃんはそろそろ眠る時間よ。続きはまた明日にしましょう」
あまり長話はしていないはずだけど、そろそろとウルに言われたので今日はもうお開きにしてベッドに横になる。
「おやすみさない、エルちゃん」
ウルが宙に浮いて私の顔を覗き込んでくるので、私もおやすみなさいと返す。すると安心したような顔をしてその姿が朧げになってきて、私は彼女が見えなくなるまで見つめていた。
そうして彼女の気配がなくなったなと思ったら、今度は眠気が襲ってきたので身を委ねる事に。
意識が落ちる寸前、ウルが頭を撫でてくれていたようなそんな気がした。
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