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第7章 Memory~二人の記憶~
3 訪れる静寂
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その空間に重い沈黙が落ちていた。
私達を乗せた馬車はある場所に向かって進んでいて、その中に乗っている私と隣に座るルカ、そして向かいに座るレヴィ君は誰一人として口を開かない。
私もそうだけど二人もある事で考え事をしているのだと分かる。考えている事は一緒なんだ。
それは先日の事。私とレヴィ君宛てに手紙が届いた。差出人は隣国の現女王であるルリ様。
そしてその手紙に書かれた内容は一言、話があるから来てほしい、とだけ。
何の話かと不思議に思ったけど、もっと不思議だったのはこの手紙をレヴィ君にも送ったって事。
私の知る限り、レヴィ君とルリ様は面識がなかったはずだけど、手紙を送るって事は私が知らないだけでどこかで会っているって事なのかな?
そう思っても答えが出ない。だからそれがずっと引っ掛かって仕方がない。
「あの、レヴィ君はルリ様……女王陛下とどこかでお会いした事があるんですか?」
だからこの沈黙を破り私は思い切って彼に訊ねてみた。
「いや、面識はない。だから俺も気になってるんだ。こんな手紙を俺に送ってきた理由をな」
「そうですか……」
そっか、やっぱり面識はなかったんだね。それに私が気に掛かっていた事、レヴィ君も気になってたんだ。
「エル様。そこまで重く考えなくても良いのではないですか?」
「……ルカ」
「あの人のところへ行けば自ずと答えは出ますよ」
「そう、ですね」
まるで焦らないで下さい、と言っているようなルカの物言いに、私は歯切れの悪い返事を返す。
それにしても話って本当に何だろう。
……あ、あれ?何で今胸騒ぎがするの……?
考えていたら急な胸騒ぎで、不安が高まり胸がどきどきした。
馬車を走らせ、ついに目的の場所へと着いてしまった。アインフェルト王国の王城へと。
「エル、大丈夫か?」
「は、はい」
「そうか。行くぞ」
いつもとは違った緊張感で言葉を発しない私を、レヴィ君は気にして声を掛けてくれる。そこは優しいんだけど、やっぱりレヴィ君だなって思う。私の返事を聞くなり足早に馬車を降りて行ってしまい、慌ててその後を私は追い、ルカも後から続いた。
「お待ちしておりました。エルシア様、ルカさん、そしてレヴィ様」
「クラウスさんっ」
そんな私達に見知った人の声が聞こてくる。見上れば王城の扉の前に人の良い笑みを浮かべたクラウスさんが立っていた。
「皆様こちらへ。姫様がお待ちです」
彼はそれだけ言うと背中を向けてしまったけれど。
それを見た私達は一度顔を見合わせると、彼の後を追って城へと足を運び入れた。
「良く来たなエル、元気そうで何よりだ。それにルカも変わらずのようだな」
「お久しぶりです、ルリ様」
「お久しぶりです、女王陛下」
クラウスさんに案内されて辿り着いたのは意外にも個室の部屋だった。
てっきり謁見の間のような広々としたところへ案内されるものだと思っていたから少し拍子抜け。
そしてその場所へ行ってみれば、椅子に腰をかけて既にルリ様が待っていた。
久しぶりに会うけど何度見ても深紅の瞳と髪がとても美しく、そして強く印象に残る人だ。
ルリ様と挨拶を交わし、私達を一瞥した後、今度はこの場にいるもう一人へと視線を向ける。
「お前とは初めまして、だな」
「貴方が女王様?見た目は子どもだな」
きゃー!!レヴィ君!それはまずいよ流石にっ!
今のレヴィ君の言葉は下手をしたら死罪だよ……。
「ふふ、面白い奴だな。妾の事を知っていてそんな事を言ってくる奴は初めてだ」
あ、あれ……?ルリ様笑ってる?え、これセーフなの?
レヴィ君の物言いを咎める事なく笑っているルリ様に、私は不思議に思い頭を傾げるけどそんな私をよそに話は続く。
「如何にも、妾がこの国の女王ルリアーナだ。そしてレヴィ、お前を招待した本人と言う訳だ」
ルリ様は私と初めて会った時と同じように優雅に名乗りを上げ、それをレヴィ君は目の前から見据え、興味深そうに眼を細めた。
「それで‘‘俺達‘‘に何の用ですか?」
鋭い眼で見つめる彼にルリ様は辛辣な表情をするとゆっくりと答えた。
「お前達に話しておかなければならない事がある」
そう言って立ち尽くしていた私達を近くの椅子へと座るように促す。
「では僕は」
私達が座るのとは反対に空気を読んだのか部屋を出て行こうとするルカ。
「いや、お前もいてもらって構わない」
「……分かりました」
でもそんなルカをルリ様は小さく制すると、私達と同じように椅子へと促した。
私の隣にルカ、机を挟んだ位置にレヴィ君が座り、ルリ様の座った椅子の隣にクラウスさんが静かに控える。
「さて、では聞いてもらおうか。お前達にとってとても重要な話を」
全員が話を聞く体制になるとルリ様は静かに話し出した。
私達を乗せた馬車はある場所に向かって進んでいて、その中に乗っている私と隣に座るルカ、そして向かいに座るレヴィ君は誰一人として口を開かない。
私もそうだけど二人もある事で考え事をしているのだと分かる。考えている事は一緒なんだ。
それは先日の事。私とレヴィ君宛てに手紙が届いた。差出人は隣国の現女王であるルリ様。
そしてその手紙に書かれた内容は一言、話があるから来てほしい、とだけ。
何の話かと不思議に思ったけど、もっと不思議だったのはこの手紙をレヴィ君にも送ったって事。
私の知る限り、レヴィ君とルリ様は面識がなかったはずだけど、手紙を送るって事は私が知らないだけでどこかで会っているって事なのかな?
そう思っても答えが出ない。だからそれがずっと引っ掛かって仕方がない。
「あの、レヴィ君はルリ様……女王陛下とどこかでお会いした事があるんですか?」
だからこの沈黙を破り私は思い切って彼に訊ねてみた。
「いや、面識はない。だから俺も気になってるんだ。こんな手紙を俺に送ってきた理由をな」
「そうですか……」
そっか、やっぱり面識はなかったんだね。それに私が気に掛かっていた事、レヴィ君も気になってたんだ。
「エル様。そこまで重く考えなくても良いのではないですか?」
「……ルカ」
「あの人のところへ行けば自ずと答えは出ますよ」
「そう、ですね」
まるで焦らないで下さい、と言っているようなルカの物言いに、私は歯切れの悪い返事を返す。
それにしても話って本当に何だろう。
……あ、あれ?何で今胸騒ぎがするの……?
考えていたら急な胸騒ぎで、不安が高まり胸がどきどきした。
馬車を走らせ、ついに目的の場所へと着いてしまった。アインフェルト王国の王城へと。
「エル、大丈夫か?」
「は、はい」
「そうか。行くぞ」
いつもとは違った緊張感で言葉を発しない私を、レヴィ君は気にして声を掛けてくれる。そこは優しいんだけど、やっぱりレヴィ君だなって思う。私の返事を聞くなり足早に馬車を降りて行ってしまい、慌ててその後を私は追い、ルカも後から続いた。
「お待ちしておりました。エルシア様、ルカさん、そしてレヴィ様」
「クラウスさんっ」
そんな私達に見知った人の声が聞こてくる。見上れば王城の扉の前に人の良い笑みを浮かべたクラウスさんが立っていた。
「皆様こちらへ。姫様がお待ちです」
彼はそれだけ言うと背中を向けてしまったけれど。
それを見た私達は一度顔を見合わせると、彼の後を追って城へと足を運び入れた。
「良く来たなエル、元気そうで何よりだ。それにルカも変わらずのようだな」
「お久しぶりです、ルリ様」
「お久しぶりです、女王陛下」
クラウスさんに案内されて辿り着いたのは意外にも個室の部屋だった。
てっきり謁見の間のような広々としたところへ案内されるものだと思っていたから少し拍子抜け。
そしてその場所へ行ってみれば、椅子に腰をかけて既にルリ様が待っていた。
久しぶりに会うけど何度見ても深紅の瞳と髪がとても美しく、そして強く印象に残る人だ。
ルリ様と挨拶を交わし、私達を一瞥した後、今度はこの場にいるもう一人へと視線を向ける。
「お前とは初めまして、だな」
「貴方が女王様?見た目は子どもだな」
きゃー!!レヴィ君!それはまずいよ流石にっ!
今のレヴィ君の言葉は下手をしたら死罪だよ……。
「ふふ、面白い奴だな。妾の事を知っていてそんな事を言ってくる奴は初めてだ」
あ、あれ……?ルリ様笑ってる?え、これセーフなの?
レヴィ君の物言いを咎める事なく笑っているルリ様に、私は不思議に思い頭を傾げるけどそんな私をよそに話は続く。
「如何にも、妾がこの国の女王ルリアーナだ。そしてレヴィ、お前を招待した本人と言う訳だ」
ルリ様は私と初めて会った時と同じように優雅に名乗りを上げ、それをレヴィ君は目の前から見据え、興味深そうに眼を細めた。
「それで‘‘俺達‘‘に何の用ですか?」
鋭い眼で見つめる彼にルリ様は辛辣な表情をするとゆっくりと答えた。
「お前達に話しておかなければならない事がある」
そう言って立ち尽くしていた私達を近くの椅子へと座るように促す。
「では僕は」
私達が座るのとは反対に空気を読んだのか部屋を出て行こうとするルカ。
「いや、お前もいてもらって構わない」
「……分かりました」
でもそんなルカをルリ様は小さく制すると、私達と同じように椅子へと促した。
私の隣にルカ、机を挟んだ位置にレヴィ君が座り、ルリ様の座った椅子の隣にクラウスさんが静かに控える。
「さて、では聞いてもらおうか。お前達にとってとても重要な話を」
全員が話を聞く体制になるとルリ様は静かに話し出した。
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