幸せな人生を目指して

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第6章 魔法乱舞

6 姉のプライド

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一回戦が終わって観客席へと戻っていた私達は見知った人物の姿に足を止めた。

「お疲れ様です。エル様、皆様」

「ルカ」

ずっと見ていてくれたんでしょう。ルカが柔和に笑って労いの言葉をくれる。それに皆もペコっと頭を下げる。
ルカを見てほっとしたのも束の間、背中から急な衝撃を受けて一瞬心臓が止まるかと思った。

「エルお疲れ様!凄かったわよっ!」

「わぁっ!姉様!」

何事かと驚いて振り返れば姉様が満面の笑みで抱き着いていた。
自分の事のように嬉しそうに凄いと言って褒めてくれて、恥ずかしさよりも嬉しさの方が上回る。

「ありがとうございます、姉様。それにルカも」

二人の言葉に素直に喜んでいると、

「お疲れ様、試合見させてもらったよ。あそこまで魔法を使いこなせていて正直驚いたよ。流石は私達の娘だな」

父様が母様を連れ添ってこちらに歩み寄ってくる。
父様は私の事を称賛してくれて、そうだろう?と同意を求めるように隣の母様に視線を投げかける。

「そうね。でも一番はルカのおかげでしょ?ね、貴方」

そう母様が言うと皆の視線がルカに向く。

「そうだな。ルカには本当に感謝しているよ」

「いえ、そんな……」

あ、ルカが照れた。
真っ赤まではいかないけどほんのり赤く染まった頬に可愛い、そして珍しいものを見たとつい凝視してしまった。

「エル、私とエミリーさんは先に行っているわね」

「あ、はい。ごめんなさい、気を遣わせてしまって」

親友の気遣いに私が申し訳なさそうに謝るとユキは良いのよと笑った。

「ゆっくり話してきなさい」

ユキはそう言うとエミリーさんとその場を離れていった。

「何だか気を遣わせてしまったようね。ごめんねエル」

姉様が申し訳なさそうに謝るから私は首を横に振って大丈夫だと伝える。

「いえ、ユキはそういう子なんです。色々な事に一早く気づいてさり気なく気遣ってくれるんです」

「良い友人を持ったわね。大切にするのよ」

「はい!」

母様に自分の親友を褒められた事が嬉しくて私は笑顔を浮かべて答えた。

「それにしてもアリンも中々だったよ」

父様は満足そうに笑ってアリンちゃんの頭を撫でた。これも珍しい光景だね。
父様が誰かの頭を撫でるなんて。私や姉様の頭を撫でる事はあるけどそれは家族だから。

と言う事は、アリンちゃんの事もちゃんと家族の一員としてちゃんと認めたって事だよね。
懐に入れると途端に甘くなっちゃうんだから、父様ったら。

それとさっきの父様の言葉に突っ込みを入れたい。
アリンちゃんの魔法を見て中々って、それはない!
あれは中々何てもんじゃなかったよ!
その一言で片づけちゃう辺りやっぱり父様だなって感心しちゃうよ。

「……あ、ありがとう、ございます」

頭撫でられるなんて事今までなかったのかもしれない。アリンちゃん恥ずかしそうだけど嬉しそうにはにかんでいる。
やっぱり侯爵家に連れて来て良かったなって改めて思う。そしてそれを許してくれた父様とルリ様にも凄く感謝をしています。


「さて、では私達はまた観客席で次の試合を見させてもらうとするよ」

名残惜しいけどそろそろ時間。それを知らせるように父様が口を開く。

「そうね。次はアメリアの試合ね。応援しているわ」

「ありがとう母様」

そっか、次は姉様の試合なんだ。楽しみだな!姉様ってどんな魔法を使うんだろう?
よくよく考えたら私姉様の魔法使っているところってちゃんと見た事なかったな。
だから尚更楽しみ。しかもチームで出場するし、確か姉様はそのチームのリーダーだった気がする。
姉様のチームか、どんな人達と組んだのかも気になるな。

「僕も応援しています。頑張って下さい」

「姉様頑張って!私も観客席から見守っています」

「頑張って下さい」

私達も応援の言葉をかけると姉様は嬉しそうに笑って、最初に会った時のように私に抱き着いてくる。

「皆ありがとう。ちゃんと勝ってくるわ。それに可愛い妹にこんな可愛く応援されたら勝つしかないわよね」

同意を求めるように視線を向けると皆して頷いて、何だか微笑ましい光景を見ているかのような温かい視線を感じて私はちょっぴり照れくさくなったけど。

「よし、それじゃ行ってくるわね。父様、母様また後で。アリン、この先もエルを宜しく。ルカ、私の実力見てなさいよ!」

家族それぞれに一言告げていく姉様。

「エル、絶対勝ってくるから見ててね」

そして私にも一言。姉様の強い眼差しをしっかりと受け取り、私も力強く頷いた。
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