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第5章 学院生活
19 ある日の休日
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「お前らやっぱり出るのか」
「はい!レヴィ君はソロ戦ですか?」
「まあな。一人の方が楽だしな」
「レヴィ君らしいですね」
シェフィールド侯爵邸。その客室で二人きりでそんな話をしていた。
今日は学院がお休みで、ならせっかくだから誰かを呼んで一緒におしゃべりでもしたいな、なんて思ってレヴィ君を呼んだというわけ。
それに魔法乱舞の事も聞きたかったし。そして聞いてみると思っていた通り、ソロ戦で参加する気だったみたいだね。
「レヴィ君なら優勝出来ますよ!応援していますね」
「そ、そうか。ありがとう」
「赤いですよ?照れてるんですか?」
「ち、違う!そんなんじゃ……。そ、それより、お前チームで参加って言ってたが誰と組むんだ?」
あ、分かりやすく話を逸らした。もう、素直じゃないんだから。でもそこが彼の可愛い所でもあるけど。
「ユキとアリンちゃんと、後先日のパーティーで知り合った先輩のエミリーさんって方と四人のチームを組みます」
「強そうだな……」
「はい!ユキもアリンちゃんもいますからね」
自慢のチームメイトと笑顔で言うと、彼からお前もな、とボソッと聞こえた気がするけどスルースルー!
「先輩ね。あのパーティーで知り合っただけでチームに誘うほど強い人なのか?」
「う~ん。正直実力派知らないんです。でもチームに誘う理由は何も実力だけではありませんから。色々あるんですよ、事情が」
「事情?」
「はい。実は……」
信頼しているレヴィ君になら話しても良いかもしれないと思って、先日のパーティーでの事を簡潔に話した。
それを聞き終わった彼は如何にも嫌そうな顔をして私を見返す。
「俺でも腹立たしく感じるなその親友だったとか言う女」
「ちょっとレヴィ君、相手は先輩ですよ。その言い方は駄目ですよ」
「何でだよ。それに今は学院の生徒じゃないんだ、関係ない」
確かにね。それを言われちゃうと言葉に詰まる。それにそうに言う程彼も苛立ちを感じているんだよね。
そこまで人の怒りをかえるのって最早才能なんじゃないかな、って感心しちゃうよ、逆に。
「とりあえず理由も聞いたことだし、そう言う事なら俺も応援してやる。だから、が、頑張れよ」
「レヴィ君……、ありがとうございます」
上から目線でものを言われているように感じるかもしれないけど、これが彼なりの気持ちの表し方なんだよね。
性格からも中々素直になれないのは分かっているから、そんな言い方されても私は気にならない。寧ろ初めて話した時よりも話しやすくなったし、これでも結構感謝の言葉とかも言ってくれる。照れながら。
そう思えば微笑ましい成長だよね。
……何だろう、母性本能を擽るようなこの展開は。
色々思いながらも照れながらも頑張って言葉を紡いでくれた彼に私は素直に感謝を伝えた。
話も一段落したちょうどその時、タイミングを見計らったかのように扉がノックされる。
どうぞ、と促せば二人分のカップが乗ったトレーを持ったルカが失礼します、と言って部屋に入ってくる。
「ありがとうございます、ルカ」
「すまないな」
「いえ、僕が好きでやっている事なので気にしないで下さい」
ルカは私達にそう言うと、カップを机に置き一緒に持って来ていた紅茶の入ったポットを傾けてカップに注いでくれた。
いれたての紅茶を注いだカップからはとても良い香りがして来て、何だか気分も落ち着く。
香りに誘われるみたいにカップに手を伸ばす。まず香りを楽しんでそれから一口だけ紅茶を頂く。
うん。とても美味しい!やっぱりルカが作ったものは天下一品だね!
「とても美味しいです。流石はルカです」
ルカにそう言い、ね?と言うように私と同じように紅茶を頂いていたレヴィ君に視線を送ると、彼も同意したようで頷いていた。
「流石お前の従者だな」
「ありがとうございます」
前に二人は険悪な雰囲気を醸し出していたけど、今日は大丈夫みたい。レヴィ君の誉め言葉をルカも素直に受け取っていたから。少しは仲良くなってくれたのかな?
その後、渋るルカを私の隣に座らせて私達三人、この穏やかな時間が続く限り他愛もない話をしたりと談笑を続けたのでした。
「はい!レヴィ君はソロ戦ですか?」
「まあな。一人の方が楽だしな」
「レヴィ君らしいですね」
シェフィールド侯爵邸。その客室で二人きりでそんな話をしていた。
今日は学院がお休みで、ならせっかくだから誰かを呼んで一緒におしゃべりでもしたいな、なんて思ってレヴィ君を呼んだというわけ。
それに魔法乱舞の事も聞きたかったし。そして聞いてみると思っていた通り、ソロ戦で参加する気だったみたいだね。
「レヴィ君なら優勝出来ますよ!応援していますね」
「そ、そうか。ありがとう」
「赤いですよ?照れてるんですか?」
「ち、違う!そんなんじゃ……。そ、それより、お前チームで参加って言ってたが誰と組むんだ?」
あ、分かりやすく話を逸らした。もう、素直じゃないんだから。でもそこが彼の可愛い所でもあるけど。
「ユキとアリンちゃんと、後先日のパーティーで知り合った先輩のエミリーさんって方と四人のチームを組みます」
「強そうだな……」
「はい!ユキもアリンちゃんもいますからね」
自慢のチームメイトと笑顔で言うと、彼からお前もな、とボソッと聞こえた気がするけどスルースルー!
「先輩ね。あのパーティーで知り合っただけでチームに誘うほど強い人なのか?」
「う~ん。正直実力派知らないんです。でもチームに誘う理由は何も実力だけではありませんから。色々あるんですよ、事情が」
「事情?」
「はい。実は……」
信頼しているレヴィ君になら話しても良いかもしれないと思って、先日のパーティーでの事を簡潔に話した。
それを聞き終わった彼は如何にも嫌そうな顔をして私を見返す。
「俺でも腹立たしく感じるなその親友だったとか言う女」
「ちょっとレヴィ君、相手は先輩ですよ。その言い方は駄目ですよ」
「何でだよ。それに今は学院の生徒じゃないんだ、関係ない」
確かにね。それを言われちゃうと言葉に詰まる。それにそうに言う程彼も苛立ちを感じているんだよね。
そこまで人の怒りをかえるのって最早才能なんじゃないかな、って感心しちゃうよ、逆に。
「とりあえず理由も聞いたことだし、そう言う事なら俺も応援してやる。だから、が、頑張れよ」
「レヴィ君……、ありがとうございます」
上から目線でものを言われているように感じるかもしれないけど、これが彼なりの気持ちの表し方なんだよね。
性格からも中々素直になれないのは分かっているから、そんな言い方されても私は気にならない。寧ろ初めて話した時よりも話しやすくなったし、これでも結構感謝の言葉とかも言ってくれる。照れながら。
そう思えば微笑ましい成長だよね。
……何だろう、母性本能を擽るようなこの展開は。
色々思いながらも照れながらも頑張って言葉を紡いでくれた彼に私は素直に感謝を伝えた。
話も一段落したちょうどその時、タイミングを見計らったかのように扉がノックされる。
どうぞ、と促せば二人分のカップが乗ったトレーを持ったルカが失礼します、と言って部屋に入ってくる。
「ありがとうございます、ルカ」
「すまないな」
「いえ、僕が好きでやっている事なので気にしないで下さい」
ルカは私達にそう言うと、カップを机に置き一緒に持って来ていた紅茶の入ったポットを傾けてカップに注いでくれた。
いれたての紅茶を注いだカップからはとても良い香りがして来て、何だか気分も落ち着く。
香りに誘われるみたいにカップに手を伸ばす。まず香りを楽しんでそれから一口だけ紅茶を頂く。
うん。とても美味しい!やっぱりルカが作ったものは天下一品だね!
「とても美味しいです。流石はルカです」
ルカにそう言い、ね?と言うように私と同じように紅茶を頂いていたレヴィ君に視線を送ると、彼も同意したようで頷いていた。
「流石お前の従者だな」
「ありがとうございます」
前に二人は険悪な雰囲気を醸し出していたけど、今日は大丈夫みたい。レヴィ君の誉め言葉をルカも素直に受け取っていたから。少しは仲良くなってくれたのかな?
その後、渋るルカを私の隣に座らせて私達三人、この穏やかな時間が続く限り他愛もない話をしたりと談笑を続けたのでした。
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