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第5章 学院生活
15 悩み
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「はぁ……」
「どうしたの?ため息なんかついちゃって」
昼間の教室。休み時間になり私は机に突っ伏して深くため息を吐いていた。
それを傍にいたユキに聞かれ渋々顔を上げる。
「実は例の先輩の事で、ちょっと……」
「あぁ、あの人ね。また何か言われたの?」
「まぁ、そんなところです」
最初はちょっかい程度の嫌がらせが、ここ最近は日に日に酷くなる一方で……。
はぁ……、私何かしたかな?そんなに恨まれるような事した覚えないんだけどな……。
件の先輩はすれ違ったりしただけで睨みつけて来たり、嫌味を言ってきて、もう敵意剥き出しだよ。
特に帰りの時間になって、私がルカと一緒にいるのを見ようものなら強烈な鬼の形相になるんだから怖いよ。
先日ルカに言われていて、様子からして反省してくれたのかな?ってちょっと思っちゃったけど、全然懲りていないようですね。
むしろ火がついちゃった、みたいで、まさかの逆効果だったよ。
と言うか、ルカと私が一緒にいるのは仕方ないと思うんだけどな。それにルカは仕事で迎えに来てくれているわけだし。
……って言っても駄目なんだろうけど。
とにかく、最近先輩に罵倒される日々を送っている私は疲れ果てているわけです。
周りに誰かいれば庇ってくれる事もあったけど、それでもそろそろ限界だよ……。
「あの人も懲りないわね」
「逆に凄いと思いますよ、はい」
事情を知っているユキには毎回相談して聞いてもらっているから、私がため息を吐くと察して反応してくれる。
「全く腹立たしいわね。私が一緒の時に言ってくれば返り討ちにしてあげるのに」
…………。
冗談っぽく言っているけど全然笑えないよ。可愛らしい顔して毒舌なんだから。ユキを本気で怒らせたら勝ち目なんてない。死を覚悟するよ、私なら。
とは思うものの、本当のところユキが言うように、彼女と一緒にいる時は睨みつけてくる所か、話しかけてすら来ないんだよね。
危機察知能力が優れているのかもね。
「私も不思議に思ってますけど、どうしてなんでしょうね?」
「私が侯爵家の娘だからでしょうね。それに私ってエルと違って優しくないから」
「そんな事ないですよ!ユキは優しいですよ?それと私も一応侯爵家の人間なんですけど……」
ユキは優しいって言うのは本当だから良いとして、私も侯爵家の娘なんだけど?
「エルは人に優しすぎるのよ。悪くいえばお人好しすぎるの。だから下に見られるのよ」
「そう言われても……。それに学院では彼女の方が先輩ですし、この場所で階級は関係ないですし」
「まぁそうね。でもねエル、貴方は優しすぎるのよ。社交の場では舐められたら終わりよ」
「うぅ……」
「貴方も私と同じ侯爵家の娘なんだから、貴族である自覚をしっかり持ちなさい」
「はい……」
あれ?何か相談からお説教に変わってない!?ユキの言い分はごもっともだと思う。
でもね、言い訳にはなるけど私前世が平凡な学生だったから、貴族って言うのが未だにピンと来てないんだよね。
「分かってくれればいいわ。それに丁度良い催しもこれからある事だし」
「え?」
咄嗟に聞き返すとユキは怪しい笑みを浮かべてこちらを見る。
「忘れたの?一週間後に学院主催のパーティーがあるじゃない」
「あっ!そう言えば」
すっかり忘れていたけど、この学院では毎年一度パーティーが開催されている。
新しく入って来た生徒には入学を祝してのパーティー、それ以外の生徒には無事学年を上がれた事を祝してのパーティーと言う訳。
それとは別に勉強漬けの毎日を送る生徒達に少しでもと、気分転換になれば良いなと願いを込めた学院長の心遣いもあっての催しもの。毎年恒例で最早行事だね。
確かに皆楽しみにしていたな。振り返ってみれば一年生の時に私も一度行ってるし、結構楽しかった思い出もある。
何で忘れていたんだろうか……?
「ふふ。その日が楽しみね」
「えぇ……」
更に不気味な笑みを浮かべるユキに私は苦笑い。
学院主催のパーティーまで後一週間。何事も無く過ぎてくれれば良いのにと願わずにはいられなかった。
「どうしたの?ため息なんかついちゃって」
昼間の教室。休み時間になり私は机に突っ伏して深くため息を吐いていた。
それを傍にいたユキに聞かれ渋々顔を上げる。
「実は例の先輩の事で、ちょっと……」
「あぁ、あの人ね。また何か言われたの?」
「まぁ、そんなところです」
最初はちょっかい程度の嫌がらせが、ここ最近は日に日に酷くなる一方で……。
はぁ……、私何かしたかな?そんなに恨まれるような事した覚えないんだけどな……。
件の先輩はすれ違ったりしただけで睨みつけて来たり、嫌味を言ってきて、もう敵意剥き出しだよ。
特に帰りの時間になって、私がルカと一緒にいるのを見ようものなら強烈な鬼の形相になるんだから怖いよ。
先日ルカに言われていて、様子からして反省してくれたのかな?ってちょっと思っちゃったけど、全然懲りていないようですね。
むしろ火がついちゃった、みたいで、まさかの逆効果だったよ。
と言うか、ルカと私が一緒にいるのは仕方ないと思うんだけどな。それにルカは仕事で迎えに来てくれているわけだし。
……って言っても駄目なんだろうけど。
とにかく、最近先輩に罵倒される日々を送っている私は疲れ果てているわけです。
周りに誰かいれば庇ってくれる事もあったけど、それでもそろそろ限界だよ……。
「あの人も懲りないわね」
「逆に凄いと思いますよ、はい」
事情を知っているユキには毎回相談して聞いてもらっているから、私がため息を吐くと察して反応してくれる。
「全く腹立たしいわね。私が一緒の時に言ってくれば返り討ちにしてあげるのに」
…………。
冗談っぽく言っているけど全然笑えないよ。可愛らしい顔して毒舌なんだから。ユキを本気で怒らせたら勝ち目なんてない。死を覚悟するよ、私なら。
とは思うものの、本当のところユキが言うように、彼女と一緒にいる時は睨みつけてくる所か、話しかけてすら来ないんだよね。
危機察知能力が優れているのかもね。
「私も不思議に思ってますけど、どうしてなんでしょうね?」
「私が侯爵家の娘だからでしょうね。それに私ってエルと違って優しくないから」
「そんな事ないですよ!ユキは優しいですよ?それと私も一応侯爵家の人間なんですけど……」
ユキは優しいって言うのは本当だから良いとして、私も侯爵家の娘なんだけど?
「エルは人に優しすぎるのよ。悪くいえばお人好しすぎるの。だから下に見られるのよ」
「そう言われても……。それに学院では彼女の方が先輩ですし、この場所で階級は関係ないですし」
「まぁそうね。でもねエル、貴方は優しすぎるのよ。社交の場では舐められたら終わりよ」
「うぅ……」
「貴方も私と同じ侯爵家の娘なんだから、貴族である自覚をしっかり持ちなさい」
「はい……」
あれ?何か相談からお説教に変わってない!?ユキの言い分はごもっともだと思う。
でもね、言い訳にはなるけど私前世が平凡な学生だったから、貴族って言うのが未だにピンと来てないんだよね。
「分かってくれればいいわ。それに丁度良い催しもこれからある事だし」
「え?」
咄嗟に聞き返すとユキは怪しい笑みを浮かべてこちらを見る。
「忘れたの?一週間後に学院主催のパーティーがあるじゃない」
「あっ!そう言えば」
すっかり忘れていたけど、この学院では毎年一度パーティーが開催されている。
新しく入って来た生徒には入学を祝してのパーティー、それ以外の生徒には無事学年を上がれた事を祝してのパーティーと言う訳。
それとは別に勉強漬けの毎日を送る生徒達に少しでもと、気分転換になれば良いなと願いを込めた学院長の心遣いもあっての催しもの。毎年恒例で最早行事だね。
確かに皆楽しみにしていたな。振り返ってみれば一年生の時に私も一度行ってるし、結構楽しかった思い出もある。
何で忘れていたんだろうか……?
「ふふ。その日が楽しみね」
「えぇ……」
更に不気味な笑みを浮かべるユキに私は苦笑い。
学院主催のパーティーまで後一週間。何事も無く過ぎてくれれば良いのにと願わずにはいられなかった。
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