52 / 227
第3章 魔法の世界
19 メイドデビュー?
しおりを挟む
「アリンちゃん、こっちへ来てくださいっ!」
「……?」
父様の部屋を出るなり、戸惑いの表情を見せるアリンちゃんを引きずるようにして私はある場所へと向かう。
ルカは父様に話があると残らされているため今は一緒にはいないけど。
「着いてからのお楽しみです」
そうは言ったものの、向かっている場所はさして特別な部屋と言う訳ではなく……。
「ここです」
目的の場所に着き私は扉を開いて中へと促すと、辺りをきょろきょろと見ながら遠慮がちに部屋の中へと入ってくる。
「ここは私のお部屋です」
「凄いっ……、それにとても広い」
「そうでしょう」
そう。アリンちゃんに来てもらいたかったのは私のお部屋。まだお部屋がないアリンちゃんには暫くの間この部屋で一緒に過ごしてもらおうと思ったから。
さっき父様にもちゃんとその事は報告済み。難しい顔を父様はしていたから、それに対抗すべく一番効果がある上目遣いの視線をお見舞いしてあげました。結果は見えていたけどやはりこの技効果抜群でしたよ。頬が緩んでいたもの。少し可愛かったな父様。
「今日からこの部屋で一緒に過ごせるなんて楽しみですね。友達とかを自室へ招いた事ってないので、何だかお泊り会のようでワクワクします」
「でも、本当に良いの……?」
「大丈夫です。父様からも承諾は得ましたから」
心配そうにそう言うアリンちゃんに私は胸を張って思い切りドヤ顔をしてみた。
「エルシアお嬢様っ!」
するとそこへ新たな声の主が走り寄ってくる。裾を持ちあげながら慌ただしい様子で近づいてきた。
「リリスさん」
その方は私や姉様の身の回りのお手伝いなどをしてくれているメイドのリリスさんで、実はさっき父様の部屋からここへ来る途中ですれ違ったのだけど私がそのままアリンちゃんを連れて走り去ってしまって、その後を急いで追ってきたみたいで凄く息が上がっていた。
「アリンちゃん。こちらはメイドのリリスさんです。とても優秀な方なのですよ」
「そんな事ないですよ」
何か言いたいようだったリリスさんだけどそれより先に私が褒めると、それに照れて顔を赤くしていた。
「初めまして、リリスと申します。エルシアお嬢様とお姉様のアメリアお嬢様のメイドをさせていただいています。貴方は確かアリンさんでしたか」
「初めまして、アリン……です」
敬語を使い慣れていないのか少し片言のような言葉でアリンちゃんも自己紹介をする。
「あら可愛らしいですね。アリンさんはこれからエルシアお嬢様のメイドになるとお聞きしましたが……」
「はい。メイドさんと並びに私の護衛役として傍に居てもらうことになったんです」
そうなんですよ。アリンちゃんを家に置くにあたって、流石にただでは置けないと言われてしまい、ならばと試しにメイドさんはどうかと提案するとそれは良いアイディアだ、と父様に言われ、アリンちゃんも特に嫌な顔はしていなかったのでそう言う事に決まったと言う事です。
それから護衛役と言うのはアリンちゃん自らの提案で、恐らくルリ様に言われたことを守っての事だと思うけど、それも許可が出たからアリンちゃんはこれからメイド兼護衛役として私の傍に居ることになったのだった。
「護衛役……、と言う事は学院の方へも」
「はい。今父様が編入の手続きをしてくれているところです」
「そうですか。それは良かったです。ルカさんを学院にと言う訳にもいかないですからね。学院にいる間お嬢様の事が心配で仕方ない様子でしたし、私達使用人も心配していますからね」
「そんなに私って心配されているんですか……」
そんなに私って一人にしておくと危なっかしいのかな……。少し悲しくなってきたな……。
「そ、それより、アリンちゃんの着替えですよ。早くメイド服に着替えましょう」
私は話題を変えるようにそう言って二人を先を促すように視線を向けた。
「そうですね。早速着替えてみましょう」
そう言って準備万端にリリスさんは持ってきていたサイズの合ったメイド服をアリンちゃんに手渡すと着付けのために部屋の奥へと入って行き、私は二人が出て来るまで待機。
今までマントを羽織っていて見えなかったけど、布だけををつなぎ合わせのみと言うような服を着ていて、それを目のあたりにしてから私は気になって仕方がなかった。
今回はメイド服だけど、本当は沢山いろいろなものを着せてあげたいと思うし、アリンちゃんは可愛いから何でも合うんだろうなとも思っていたり。
「お嬢様、着替え終わりましたよ」
考えていたら奥からリリスさんの呼ぶ声が聞こえてきて見に行ってみると……
「わぁっ!可愛いです!良く似合っていますよ」
「……////」
か、可愛い!!
リリスさんが着ている眺めのスカートではなく、アリンちゃんの見た目的に短い方が良いのではという話になり、実際に短めのスカートにしてもらったけど、凄く似合っている!
首元には赤いリボンで華やかに、スカートの部分にはフリルの沢山ついた可愛らしいデザイン、そして何といってへ来てくださいっ!」
「……?」
父様の部屋を出るなり、戸惑いの表情を見せるアリンちゃんを引きずるようにして私はある場所へと向かう。
ルカは父様に話があると残らされているため今は一緒にはいないけど。
「着いてからのお楽しみです」
そうは言ったものの、向かっている場所はさして特別な部屋と言う訳ではなく……。
「ここです」
目的の場所に着き私は扉を開いて中へと促すと、辺りをきょろきょろと見ながら遠慮がちに部屋の中へと入ってくる。
「ここは私のお部屋です」
「凄いっ……、それにとても広い」
「そうでしょう」
そう。アリンちゃんに来てもらいたかったのは私のお部屋。まだお部屋がないアリンちゃんには暫くの間この部屋で一緒に過ごしてもらおうと思ったから。
さっき父様にもちゃんとその事は報告済み。難しい顔を父様はしていたから、それに対抗すべく一番効果がある上目遣いの視線をお見舞いしてあげました。結果は見えていたけどやはりこの技効果抜群でしたよ。頬が緩んでいたもの。少し可愛かったな父様。
「今日からこの部屋で一緒に過ごせるなんて楽しみですね。友達とかを自室へ招いた事ってないので、何だかお泊り会のようでワクワクします」
「でも、本当に良いの……?」
「大丈夫です。父様からも承諾は得ましたから」
心配そうにそう言うアリンちゃんに私は胸を張って思い切りドヤ顔をしてみた。
「エルシアお嬢様っ!」
するとそこへ新たな声の主が走り寄ってくる。裾を持ちあげながら慌ただしい様子で近づいてきた。
「リリスさん」
その方は私や姉様の身の回りのお手伝いなどをしてくれているメイドのリリスさんで、実はさっき父様の部屋からここへ来る途中ですれ違ったのだけど私がそのままアリンちゃんを連れて走り去ってしまって、その後を急いで追ってきたみたいで凄く息が上がっていた。
「アリンちゃん。こちらはメイドのリリスさんです。とても優秀な方なのですよ」
「そんな事ないですよ」
何か言いたいようだったリリスさんだけどそれより先に私が褒めると、それに照れて顔を赤くしていた。
「初めまして、リリスと申します。エルシアお嬢様とお姉様のアメリアお嬢様のメイドをさせていただいています。貴方は確かアリンさんでしたか」
「初めまして、アリン……です」
敬語を使い慣れていないのか少し片言のような言葉でアリンちゃんも自己紹介をしていた。
「あら可愛らしいですね。アリンさんはこれからエルシアお嬢様のメイドになるとお聞きしましたが……」
「はい。メイドさんと並びに私の護衛役として傍に居てもらうことになったんです」
そうなんですよ。アリンちゃんを家に置くにあたって、流石にただでは置けないと言われてしまい、ならばと試しにメイドさんはどうかと提案するとそれは良いアイディアだ、と父様に言われ、アリンちゃんも特に嫌な顔はしていなかったのでそう言う事に決まったと言う事です。
それから護衛役と言うのはアリンちゃん自らの提案で、恐らくルリ様に言われたことを守っての事だと思うけど、それも許可が出たからアリンちゃんはこれからメイド兼護衛役として私の傍に居ることになったのだった。
「護衛役……、と言う事は学院の方へも」
「はい。今父様が編入の手続きをしてくれているところです」
「そうですか。それは良かったです。ルカさんを学院にと言う訳にもいかないですからね。学院にいる間お嬢様の事が心配で仕方ない様子でしたし、私達使用人も心配していますからね」
「そんなに私って心配されているんですか……」
そんなに私って一人にしておくと危なっかしいのかな……。少し悲しくなってきたな……。
「そ、それより、アリンちゃんの着替えですよ。早くメイド服に着替えましょう」
私は話題を変えるようにそう言って二人を先を促すように視線を向けた。
「そうですね。早速着替えてみましょう」
そう言って準備万端にリリスさんは持ってきていたサイズの合ったメイド服をアリンちゃんに手渡すと着付けのために部屋の奥へと入って行き、私は二人が出て来るまで待機。
今までマントを羽織っていて見えなかったけど、布だけををつなぎ合わせのみと言うような服を着ていて、それを目のあたりにしてから私は気になって仕方がなかった。
今回はメイド服だけど、本当は沢山いろいろなものを着せてあげたいと思うし、アリンちゃんは可愛いから何でも合うんだろうなとも思っていたり。
「お嬢様、着替え終わりましたよ」
考えていたら奥からリリスさんの呼ぶ声が聞こえてきて見に行ってみると……
「わぁっ!可愛いです!良く似合っていますよ」
「……////」
か、可愛い!!
リリスさんが着ている眺めのスカートではなく、アリンちゃんの見た目的に短い方が良いのではという話になり、実際に短めのスカートにしてもらったけど、凄く似合っている!
首元には赤いリボンで華やかに、スカートの部分にはフリルの沢山ついた可愛らしいデザイン、そして何といっても膝上まである黒の靴下、所謂ニーハイソックス!
元々容姿も端麗なアリンちゃんにはそれはそれはもうお似合いで、私もつい見惚れてしまうレベル。
「服のセンスが良いですね。流石はリリスさんです」
「うふふ。お褒めに預かり光栄ですわ」
流石はベテランのメイド、リリスさん。分かっていますね。
リリスさんってしっかり者だけどたまにお茶目なところもあったりと可愛い人で、リリスさんが笑うと私もつられて笑ってしまう。
メイドとしての仕事はリリスさんが教えてくれるみたいだから、アリンちゃんもリリスさんに習って沢山の事を学んでほしいなって思っている。
それにこれからは私達と同じ学院にも来てくれるから一緒に魔法の勉強が出来るし凄く楽しみ!
「さて、本日はこの辺でお二人ともお疲れでしょうからそろそろお休みください」
その声で私は我に返る。
「そうですね。私は平気ですけどアリンちゃんは慣れていない場所で長時間も大変でしたでしょうし」
「ごめん……、なさい……」
小さく呟かれた言葉。使い慣れていない敬語を頑張って使おうとしているのが分かる。
「アリンちゃん、言葉は今まで通りで良いんですよ?私はいつも通りのアリンちゃんが好きですから」
「……分かった、エルシア」
そう言ったアリンちゃんは少し肩から力が抜けたみたいだった。それにしても今アリンちゃん私の名前初めて呼んでくれたんじゃ。それも敬称なしで。
私は話し方なんて人それぞれだから気にしないし、寧ろそうしてくれた方が嬉しいくらい。
何だけどそう思っているのは私だけのようで、納得のいっていない人がここに一人……
「アリンさん」
「……?」
「お嬢様は敬称がない方が良いと普段からもおっしゃっていますが、メイドとしてここにいる以上、お嬢様の事をお呼びになるときはしっかりと敬称をつけてください」
「敬称なんて気にしないのに……」
「お嬢様もそれではいけません。アリンさんも良いですか。お呼びするときはお嬢様、或いはエルシア様と言う風に言うのですよ」
「……わかった」
凄い勢いでそう語るリリスさんに私とアリンちゃんまでもが圧倒されて、言葉に詰まる。若いのにベテランなリリスさん。メイドとしての義務と誇りを一番に持っている方だからそう言うところは熱くなってしまうのも分からなくもないけど……、一旦落ち着いて……。
そう思っている事を知らないリリスさんはその後も為になる?お話を暫く続け、私達は唯々黙ってその話を聞事しかできなかったのです……。
「……?」
父様の部屋を出るなり、戸惑いの表情を見せるアリンちゃんを引きずるようにして私はある場所へと向かう。
ルカは父様に話があると残らされているため今は一緒にはいないけど。
「着いてからのお楽しみです」
そうは言ったものの、向かっている場所はさして特別な部屋と言う訳ではなく……。
「ここです」
目的の場所に着き私は扉を開いて中へと促すと、辺りをきょろきょろと見ながら遠慮がちに部屋の中へと入ってくる。
「ここは私のお部屋です」
「凄いっ……、それにとても広い」
「そうでしょう」
そう。アリンちゃんに来てもらいたかったのは私のお部屋。まだお部屋がないアリンちゃんには暫くの間この部屋で一緒に過ごしてもらおうと思ったから。
さっき父様にもちゃんとその事は報告済み。難しい顔を父様はしていたから、それに対抗すべく一番効果がある上目遣いの視線をお見舞いしてあげました。結果は見えていたけどやはりこの技効果抜群でしたよ。頬が緩んでいたもの。少し可愛かったな父様。
「今日からこの部屋で一緒に過ごせるなんて楽しみですね。友達とかを自室へ招いた事ってないので、何だかお泊り会のようでワクワクします」
「でも、本当に良いの……?」
「大丈夫です。父様からも承諾は得ましたから」
心配そうにそう言うアリンちゃんに私は胸を張って思い切りドヤ顔をしてみた。
「エルシアお嬢様っ!」
するとそこへ新たな声の主が走り寄ってくる。裾を持ちあげながら慌ただしい様子で近づいてきた。
「リリスさん」
その方は私や姉様の身の回りのお手伝いなどをしてくれているメイドのリリスさんで、実はさっき父様の部屋からここへ来る途中ですれ違ったのだけど私がそのままアリンちゃんを連れて走り去ってしまって、その後を急いで追ってきたみたいで凄く息が上がっていた。
「アリンちゃん。こちらはメイドのリリスさんです。とても優秀な方なのですよ」
「そんな事ないですよ」
何か言いたいようだったリリスさんだけどそれより先に私が褒めると、それに照れて顔を赤くしていた。
「初めまして、リリスと申します。エルシアお嬢様とお姉様のアメリアお嬢様のメイドをさせていただいています。貴方は確かアリンさんでしたか」
「初めまして、アリン……です」
敬語を使い慣れていないのか少し片言のような言葉でアリンちゃんも自己紹介をする。
「あら可愛らしいですね。アリンさんはこれからエルシアお嬢様のメイドになるとお聞きしましたが……」
「はい。メイドさんと並びに私の護衛役として傍に居てもらうことになったんです」
そうなんですよ。アリンちゃんを家に置くにあたって、流石にただでは置けないと言われてしまい、ならばと試しにメイドさんはどうかと提案するとそれは良いアイディアだ、と父様に言われ、アリンちゃんも特に嫌な顔はしていなかったのでそう言う事に決まったと言う事です。
それから護衛役と言うのはアリンちゃん自らの提案で、恐らくルリ様に言われたことを守っての事だと思うけど、それも許可が出たからアリンちゃんはこれからメイド兼護衛役として私の傍に居ることになったのだった。
「護衛役……、と言う事は学院の方へも」
「はい。今父様が編入の手続きをしてくれているところです」
「そうですか。それは良かったです。ルカさんを学院にと言う訳にもいかないですからね。学院にいる間お嬢様の事が心配で仕方ない様子でしたし、私達使用人も心配していますからね」
「そんなに私って心配されているんですか……」
そんなに私って一人にしておくと危なっかしいのかな……。少し悲しくなってきたな……。
「そ、それより、アリンちゃんの着替えですよ。早くメイド服に着替えましょう」
私は話題を変えるようにそう言って二人を先を促すように視線を向けた。
「そうですね。早速着替えてみましょう」
そう言って準備万端にリリスさんは持ってきていたサイズの合ったメイド服をアリンちゃんに手渡すと着付けのために部屋の奥へと入って行き、私は二人が出て来るまで待機。
今までマントを羽織っていて見えなかったけど、布だけををつなぎ合わせのみと言うような服を着ていて、それを目のあたりにしてから私は気になって仕方がなかった。
今回はメイド服だけど、本当は沢山いろいろなものを着せてあげたいと思うし、アリンちゃんは可愛いから何でも合うんだろうなとも思っていたり。
「お嬢様、着替え終わりましたよ」
考えていたら奥からリリスさんの呼ぶ声が聞こえてきて見に行ってみると……
「わぁっ!可愛いです!良く似合っていますよ」
「……////」
か、可愛い!!
リリスさんが着ている眺めのスカートではなく、アリンちゃんの見た目的に短い方が良いのではという話になり、実際に短めのスカートにしてもらったけど、凄く似合っている!
首元には赤いリボンで華やかに、スカートの部分にはフリルの沢山ついた可愛らしいデザイン、そして何といってへ来てくださいっ!」
「……?」
父様の部屋を出るなり、戸惑いの表情を見せるアリンちゃんを引きずるようにして私はある場所へと向かう。
ルカは父様に話があると残らされているため今は一緒にはいないけど。
「着いてからのお楽しみです」
そうは言ったものの、向かっている場所はさして特別な部屋と言う訳ではなく……。
「ここです」
目的の場所に着き私は扉を開いて中へと促すと、辺りをきょろきょろと見ながら遠慮がちに部屋の中へと入ってくる。
「ここは私のお部屋です」
「凄いっ……、それにとても広い」
「そうでしょう」
そう。アリンちゃんに来てもらいたかったのは私のお部屋。まだお部屋がないアリンちゃんには暫くの間この部屋で一緒に過ごしてもらおうと思ったから。
さっき父様にもちゃんとその事は報告済み。難しい顔を父様はしていたから、それに対抗すべく一番効果がある上目遣いの視線をお見舞いしてあげました。結果は見えていたけどやはりこの技効果抜群でしたよ。頬が緩んでいたもの。少し可愛かったな父様。
「今日からこの部屋で一緒に過ごせるなんて楽しみですね。友達とかを自室へ招いた事ってないので、何だかお泊り会のようでワクワクします」
「でも、本当に良いの……?」
「大丈夫です。父様からも承諾は得ましたから」
心配そうにそう言うアリンちゃんに私は胸を張って思い切りドヤ顔をしてみた。
「エルシアお嬢様っ!」
するとそこへ新たな声の主が走り寄ってくる。裾を持ちあげながら慌ただしい様子で近づいてきた。
「リリスさん」
その方は私や姉様の身の回りのお手伝いなどをしてくれているメイドのリリスさんで、実はさっき父様の部屋からここへ来る途中ですれ違ったのだけど私がそのままアリンちゃんを連れて走り去ってしまって、その後を急いで追ってきたみたいで凄く息が上がっていた。
「アリンちゃん。こちらはメイドのリリスさんです。とても優秀な方なのですよ」
「そんな事ないですよ」
何か言いたいようだったリリスさんだけどそれより先に私が褒めると、それに照れて顔を赤くしていた。
「初めまして、リリスと申します。エルシアお嬢様とお姉様のアメリアお嬢様のメイドをさせていただいています。貴方は確かアリンさんでしたか」
「初めまして、アリン……です」
敬語を使い慣れていないのか少し片言のような言葉でアリンちゃんも自己紹介をしていた。
「あら可愛らしいですね。アリンさんはこれからエルシアお嬢様のメイドになるとお聞きしましたが……」
「はい。メイドさんと並びに私の護衛役として傍に居てもらうことになったんです」
そうなんですよ。アリンちゃんを家に置くにあたって、流石にただでは置けないと言われてしまい、ならばと試しにメイドさんはどうかと提案するとそれは良いアイディアだ、と父様に言われ、アリンちゃんも特に嫌な顔はしていなかったのでそう言う事に決まったと言う事です。
それから護衛役と言うのはアリンちゃん自らの提案で、恐らくルリ様に言われたことを守っての事だと思うけど、それも許可が出たからアリンちゃんはこれからメイド兼護衛役として私の傍に居ることになったのだった。
「護衛役……、と言う事は学院の方へも」
「はい。今父様が編入の手続きをしてくれているところです」
「そうですか。それは良かったです。ルカさんを学院にと言う訳にもいかないですからね。学院にいる間お嬢様の事が心配で仕方ない様子でしたし、私達使用人も心配していますからね」
「そんなに私って心配されているんですか……」
そんなに私って一人にしておくと危なっかしいのかな……。少し悲しくなってきたな……。
「そ、それより、アリンちゃんの着替えですよ。早くメイド服に着替えましょう」
私は話題を変えるようにそう言って二人を先を促すように視線を向けた。
「そうですね。早速着替えてみましょう」
そう言って準備万端にリリスさんは持ってきていたサイズの合ったメイド服をアリンちゃんに手渡すと着付けのために部屋の奥へと入って行き、私は二人が出て来るまで待機。
今までマントを羽織っていて見えなかったけど、布だけををつなぎ合わせのみと言うような服を着ていて、それを目のあたりにしてから私は気になって仕方がなかった。
今回はメイド服だけど、本当は沢山いろいろなものを着せてあげたいと思うし、アリンちゃんは可愛いから何でも合うんだろうなとも思っていたり。
「お嬢様、着替え終わりましたよ」
考えていたら奥からリリスさんの呼ぶ声が聞こえてきて見に行ってみると……
「わぁっ!可愛いです!良く似合っていますよ」
「……////」
か、可愛い!!
リリスさんが着ている眺めのスカートではなく、アリンちゃんの見た目的に短い方が良いのではという話になり、実際に短めのスカートにしてもらったけど、凄く似合っている!
首元には赤いリボンで華やかに、スカートの部分にはフリルの沢山ついた可愛らしいデザイン、そして何といっても膝上まである黒の靴下、所謂ニーハイソックス!
元々容姿も端麗なアリンちゃんにはそれはそれはもうお似合いで、私もつい見惚れてしまうレベル。
「服のセンスが良いですね。流石はリリスさんです」
「うふふ。お褒めに預かり光栄ですわ」
流石はベテランのメイド、リリスさん。分かっていますね。
リリスさんってしっかり者だけどたまにお茶目なところもあったりと可愛い人で、リリスさんが笑うと私もつられて笑ってしまう。
メイドとしての仕事はリリスさんが教えてくれるみたいだから、アリンちゃんもリリスさんに習って沢山の事を学んでほしいなって思っている。
それにこれからは私達と同じ学院にも来てくれるから一緒に魔法の勉強が出来るし凄く楽しみ!
「さて、本日はこの辺でお二人ともお疲れでしょうからそろそろお休みください」
その声で私は我に返る。
「そうですね。私は平気ですけどアリンちゃんは慣れていない場所で長時間も大変でしたでしょうし」
「ごめん……、なさい……」
小さく呟かれた言葉。使い慣れていない敬語を頑張って使おうとしているのが分かる。
「アリンちゃん、言葉は今まで通りで良いんですよ?私はいつも通りのアリンちゃんが好きですから」
「……分かった、エルシア」
そう言ったアリンちゃんは少し肩から力が抜けたみたいだった。それにしても今アリンちゃん私の名前初めて呼んでくれたんじゃ。それも敬称なしで。
私は話し方なんて人それぞれだから気にしないし、寧ろそうしてくれた方が嬉しいくらい。
何だけどそう思っているのは私だけのようで、納得のいっていない人がここに一人……
「アリンさん」
「……?」
「お嬢様は敬称がない方が良いと普段からもおっしゃっていますが、メイドとしてここにいる以上、お嬢様の事をお呼びになるときはしっかりと敬称をつけてください」
「敬称なんて気にしないのに……」
「お嬢様もそれではいけません。アリンさんも良いですか。お呼びするときはお嬢様、或いはエルシア様と言う風に言うのですよ」
「……わかった」
凄い勢いでそう語るリリスさんに私とアリンちゃんまでもが圧倒されて、言葉に詰まる。若いのにベテランなリリスさん。メイドとしての義務と誇りを一番に持っている方だからそう言うところは熱くなってしまうのも分からなくもないけど……、一旦落ち着いて……。
そう思っている事を知らないリリスさんはその後も為になる?お話を暫く続け、私達は唯々黙ってその話を聞事しかできなかったのです……。
0
お気に入りに追加
136
あなたにおすすめの小説
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた8歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
婚約破棄されたショックですっ転び記憶喪失になったので、第二の人生を歩みたいと思います
ととせ
恋愛
「本日この時をもってアリシア・レンホルムとの婚約を解消する」
公爵令嬢アリシアは反論する気力もなくその場を立ち去ろうとするが…見事にすっ転び、記憶喪失になってしまう。
本当に思い出せないのよね。貴方たち、誰ですか? 元婚約者の王子? 私、婚約してたんですか?
義理の妹に取られた? 別にいいです。知ったこっちゃないので。
不遇な立場も過去も忘れてしまったので、心機一転新しい人生を歩みます!
この作品は小説家になろうでも掲載しています
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる