幸せな人生を目指して

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第3章 魔法の世界

11 いざ王城へ!

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「よく来たなエルシア。ようこそ我が城へ」

城の中に一歩足を踏み入れると声が響いた。目の前にまた豪華な階段が現れその先に昨日会ったばかりの女王陛下が少年――クラウスさんを伴って佇んでいた。

「来てくれて感謝する。ん?貴殿はエルシアの友人か?」

女王陛下は階段を一段一段ゆっくりと降りながら隣に居たユキに問いかける。

それにユキは一歩踏み出してお辞儀をする。

「お初に御目にかかります女王陛下。私はユキ・ルターシア。エルシアの友人です」

急に話しかけられてもユキは動じることなく、冷静に自己紹介をした。

私はその様子に感心しながら、

「勝手ながら私が一緒にとお願いしたのです」

と説明を付け加える。

「そうだったか。よろしくなユキ」

「はい、こちらこそ」

階段を下りて目の前に立つ女王陛下。外見は私達と同じ少女なのに、女王の威厳、近寄りがたい雰囲気を醸し出している。

その彼女を前にしてもユキは淡々と返し、いつもと変わらず堂々としている。

私にはその姿が勇ましく映る。おどおどしてしまう自分とは正反対ね。



「本日はお招きいただきありがとうございます。女王陛下」

私も負けじと改めて感謝の言葉を紡ぐ。

「そんなに堅苦しくなくて良い。それと女王陛下はやめてくれ。公の場では無いのだから敬称は省いてくれ。ルリで良い」

「えっと、流石にそれは難しいので……、ルリ様、とお呼びしても良いですか?」

「仕方ないな。まぁ良いだろう。エル、ユキ、妾もそう呼ばせてもらうぞ」

そう言って女王陛下――ルリ様は嬉しそうに笑った。その後ろではクラウスさんが微笑ましくその様子を見つめていた。



「それで今日城へ招待したのはエルと、いやお前達と話しがしたかったからだ。だが話をするだけではつまらないだろうと思い、今宵は盛大な舞踏会を開くことにした。そちらの方がエルも楽しめるだろう?話の前にまずは舞踏会を楽しんで行ってほしい」

ルリ様が言うと、タイミングよく舞踏会で良く聞こえる心地の良いメロディーが流れだした。


「それからお前達二人には着替えて来てもらうぞ。クラウス案内してやれ」

すぐ傍に控えるクラウスさんに視線を送り、それを受け取ったクラウスさんは笑みを浮かべた。

「畏まりました。ではお二人ともこちらへ」

彼についていき、着替えのためのフィッティングルームへと向かって行った。



「こちらです。何か分からないことがございましたら中の者にお聞き下さい。それでは私は失礼致します」

そう言い残してクラウスさんは戻っていき、私達は二人取り残される。

さて、目の前には扉。

この中がフィッティングルームみたいだけど、何とも入りづらいほど豪華絢爛……。


そう思いながらもドアノブに手をかけ思い切って扉を開く。

すると、

「お待ちしておりました。エルシア様。ユキ様。どうぞこちらへ」

広い部屋の中には煌びやかな沢山のドレスが並び、髪飾りなどの小物類も置いてある。

そしてその場には当たり前のようにメイドさんが数人私達を出迎えてくれた。

クラウスさんの言っていた、分からなければ中の者にってメイドさんの事だったのね。


入ると早速メイドさんに付き添ってもらいながら、自分達が選んだドレスをメイドさんに手伝ってもらいながら着付ける。

ユキも同じように着付けを手伝ってもらっていた。


私の選んだドレスは瞳の色と同じアメジストのフリルがふんだんにあしらわれたドレス。

プリンセスラインと呼ばれる形のドレスで、裾が外に向かってふんわりと広がったデザイン。

まさに王道、お伽話のお姫様が来ているようなドレス。

それに足元に向かって広がるスカート部分が段々になっていて可愛さが増している。

お姫様になった気分……、なんてね。


そう言えばユキはどうしたかな?と思い見て見ると、私と同じく瞳の色に合わせて選んだみたい。

マゼンタ色のフリルふんだんのドレス。私のと違ってスカートの真ん中部分が開いていて、舌に向かって波打っているようなデザイン。

そして真っ白な髪とも良く合っていて、普段の大人っぽさと可愛さが相まって凄く良い感じ。

いつもは飾らない真っすぐな髪を今日は珍しく三つ編みのハーフアップにしていて、それも凄く可愛らしい。

私はいつも通りのハーフツインアップで変わらずだけどね。

後は小物で首元、耳元を飾って終わり。


目の前に置かれている姿見を見ると、いつもとは違う雰囲気をした自分がいた。

本当に自分なのかと疑いたくなるくらい。鏡の中の私はどこか嬉しそうにしているような緊張しているような表情を見せる。

「とてもお似合いですわ」

「そ、そうでしょうか」

メイドさんの声に我に返る。褒められて嬉しいけど照れくさい。


「エル準備は終わったかしら?」

私が準備が終わったところでユキから声がかかる。

「あ、はい。ユキ、とても似合っていて綺麗ですね」

「そ、そう。ありがとう。貴方も良く似合っていると思うわ」

純粋に綺麗と褒めたらまたしても珍しくユキが照れたように顔を赤くして、それを誤魔化すように私を見て同じように褒めてくれた。

「そ、そろそろ行きましょう。あまり待たせては失礼だから」

「はい」

滅多に見れないユキの照れた顔に可愛いなんて思いながら、足早に戻ろうとするユキの後を私は急いで追って行った。
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