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第3章 魔法の世界
9 手がかり
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「と言う事で、日を改めてお城に招待されることになりました……」
一通りあった出来事をありのままにユキに打ち明けた。
それを黙って聞いていたユキだけど、話が進むにつれて眉が吊り上がって行っているような気が……。
「まったく、どうしてそんなことになっているのかしら」
「……すみません」
やっぱり怒っている……。呆れと怒りが含まれる声音。怖い……。
「まぁ良いわ。私もすぐに駆け付けることが出来なかったわけだから。貴方が危険な目に遭っている時に傍に居れなくてごめんなさい」
「いえ、そんなっ、私の勝手な早とちりです。結果的には成功?したから良いですけどね」
怒っていたユキが本当に申し訳なさそうに頭を下げるので、私はそれを慌てて止めに入る。
それにユキに危険が及ばなくて良かったと私は思っているくらいだからね。
私には守護してくれている精霊のウルが傍に居たから大丈夫。
ユキにはまだ話していないからそろそろ話そうと思っているけど、中々タイミングが、ね……。
それにユキから見たら私が一人で行ったように見えただろうから心配もかけたはずだし……。
本当に申し訳ないです。本来なら私の方が謝るべきだけど。
「とにかく、怪我がなくて本当に良かったわ」
そう言ってやっといつも通りの優しい表情に戻った。不愛想に見えて本当は友達思いのユキ。
心配させてごめんなさい、と思う反面そんなに身を案じてくれる友達がいることに嬉しさを感じている自分も居て、私は幸せ者だなって改めて実感した。
「それから女王様からの招待って話だけど」
その話しはここまでと言うように、話題を変えるようにそう切り出した。
「その招待状が届いたら貴方城へ行くの?女王陛下からの招待とはいえ今は学園の生徒。それもオルデシア王国のね。貴方はその事どう考えているの?」
「……そうなんですよね。あの時は思わず返事をしてしまったのですけど、正直どうしたらいいのか自分でも分かりません」
曖昧な答えしか返せなくて項垂れるしかない。
「そう。ところでこのことは先生には話したの?」
「まだ話していません。やっぱり話した方が良いでしょうか」
そう言うとユキは少し考える仕草をした。
「そうね。話した方がこちらの状況を理解して、配慮もしてくれそうよね。城に行くにしても行かないにしても、事情を知っている人間がいた方が動きやすいと思うわ」
「そうですよね、分かりました。なら早い方が良いですよね。まだ時間ありますし、今から話してきます」
そうと決まれば即行動がモットー。ちょっと行ってきます、と言った私の手をユキが制するように掴んだ。
「待って、私も行くわ」
驚いたもののその言葉に頷くと私とユキ、二人で部屋を後にした。
「良かったです。ちゃんと分かってもらえたようで」
「理解のある人で助かったわ」
部屋に戻って来るなり、ユキの毒舌な呟きが聞こえてくる。それに私は苦笑い。
先生に事情を説明して何とか理解してもらうことが出来た私とユキは、自室へ戻りホッとソファに腰を下ろして一息ついたところだった。
全て話したわけではないけど、その辺りはユキが私の代わりに話してくれて、正直凄く助かった。
それに言わなかったことと言えば、すっかり忘れていたことがあった。
「そう言えユキ。すっかり頭から抜け落ちてしまっていたことがあるんですけど」
「何?」
身を乗り出して、何となく誰かに聞かれないように小声で話しを続けた。
「実は最初にあの場所へ駆け付けた時にフードを被った女の子がいたんです。その子は知らない男達に追われていたようで、その場に私が出くわしたみたいでした。」
「女の子?それでその子はどうしたの?」
「えっと、逃げようとしたところを話しに出てきた男達に襲われまして……、それを撃退した時には既にその女の子の姿がどこにもなくて……」
詳しくその時の様子を思い返しながら話している間にも、ユキは相槌を打ちながら何やら考え事をしている様子。
「ねぇ、その女の子の特徴とか何か覚えていることはないかしら?」
興味津々と言うように先を促すようにマゼンタ色の瞳が見つめてくる。それにもう一度その時のことを思い返してみる。
「……少ししか見えなかったけど、確か髪は緑色のショートカットで、右目がオレンジ色、左目が緑色のオッドアイだったと思います。街で会ったあの人物と同一人物です」
「街で……、それって貴方とぶつかって話しかけたら逃げてしまったっていう人物ね」
「はい、そうです」
「分かったわ。その情報を元に家の者に調べてもらうわ」
そう言うなり立ち上がったユキに私は驚いて尋ねた。
「えっ、調べられるんですか?」
果たしてその情報で人物を特定することが出来るのか。そう疑問に思うけど、私の質問にユキは何も言わず、それでもこちらを振り替えったユキは自信ありげな笑みを浮かべていた。
一通りあった出来事をありのままにユキに打ち明けた。
それを黙って聞いていたユキだけど、話が進むにつれて眉が吊り上がって行っているような気が……。
「まったく、どうしてそんなことになっているのかしら」
「……すみません」
やっぱり怒っている……。呆れと怒りが含まれる声音。怖い……。
「まぁ良いわ。私もすぐに駆け付けることが出来なかったわけだから。貴方が危険な目に遭っている時に傍に居れなくてごめんなさい」
「いえ、そんなっ、私の勝手な早とちりです。結果的には成功?したから良いですけどね」
怒っていたユキが本当に申し訳なさそうに頭を下げるので、私はそれを慌てて止めに入る。
それにユキに危険が及ばなくて良かったと私は思っているくらいだからね。
私には守護してくれている精霊のウルが傍に居たから大丈夫。
ユキにはまだ話していないからそろそろ話そうと思っているけど、中々タイミングが、ね……。
それにユキから見たら私が一人で行ったように見えただろうから心配もかけたはずだし……。
本当に申し訳ないです。本来なら私の方が謝るべきだけど。
「とにかく、怪我がなくて本当に良かったわ」
そう言ってやっといつも通りの優しい表情に戻った。不愛想に見えて本当は友達思いのユキ。
心配させてごめんなさい、と思う反面そんなに身を案じてくれる友達がいることに嬉しさを感じている自分も居て、私は幸せ者だなって改めて実感した。
「それから女王様からの招待って話だけど」
その話しはここまでと言うように、話題を変えるようにそう切り出した。
「その招待状が届いたら貴方城へ行くの?女王陛下からの招待とはいえ今は学園の生徒。それもオルデシア王国のね。貴方はその事どう考えているの?」
「……そうなんですよね。あの時は思わず返事をしてしまったのですけど、正直どうしたらいいのか自分でも分かりません」
曖昧な答えしか返せなくて項垂れるしかない。
「そう。ところでこのことは先生には話したの?」
「まだ話していません。やっぱり話した方が良いでしょうか」
そう言うとユキは少し考える仕草をした。
「そうね。話した方がこちらの状況を理解して、配慮もしてくれそうよね。城に行くにしても行かないにしても、事情を知っている人間がいた方が動きやすいと思うわ」
「そうですよね、分かりました。なら早い方が良いですよね。まだ時間ありますし、今から話してきます」
そうと決まれば即行動がモットー。ちょっと行ってきます、と言った私の手をユキが制するように掴んだ。
「待って、私も行くわ」
驚いたもののその言葉に頷くと私とユキ、二人で部屋を後にした。
「良かったです。ちゃんと分かってもらえたようで」
「理解のある人で助かったわ」
部屋に戻って来るなり、ユキの毒舌な呟きが聞こえてくる。それに私は苦笑い。
先生に事情を説明して何とか理解してもらうことが出来た私とユキは、自室へ戻りホッとソファに腰を下ろして一息ついたところだった。
全て話したわけではないけど、その辺りはユキが私の代わりに話してくれて、正直凄く助かった。
それに言わなかったことと言えば、すっかり忘れていたことがあった。
「そう言えユキ。すっかり頭から抜け落ちてしまっていたことがあるんですけど」
「何?」
身を乗り出して、何となく誰かに聞かれないように小声で話しを続けた。
「実は最初にあの場所へ駆け付けた時にフードを被った女の子がいたんです。その子は知らない男達に追われていたようで、その場に私が出くわしたみたいでした。」
「女の子?それでその子はどうしたの?」
「えっと、逃げようとしたところを話しに出てきた男達に襲われまして……、それを撃退した時には既にその女の子の姿がどこにもなくて……」
詳しくその時の様子を思い返しながら話している間にも、ユキは相槌を打ちながら何やら考え事をしている様子。
「ねぇ、その女の子の特徴とか何か覚えていることはないかしら?」
興味津々と言うように先を促すようにマゼンタ色の瞳が見つめてくる。それにもう一度その時のことを思い返してみる。
「……少ししか見えなかったけど、確か髪は緑色のショートカットで、右目がオレンジ色、左目が緑色のオッドアイだったと思います。街で会ったあの人物と同一人物です」
「街で……、それって貴方とぶつかって話しかけたら逃げてしまったっていう人物ね」
「はい、そうです」
「分かったわ。その情報を元に家の者に調べてもらうわ」
そう言うなり立ち上がったユキに私は驚いて尋ねた。
「えっ、調べられるんですか?」
果たしてその情報で人物を特定することが出来るのか。そう疑問に思うけど、私の質問にユキは何も言わず、それでもこちらを振り替えったユキは自信ありげな笑みを浮かべていた。
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