幸せな人生を目指して

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第1章 新しい世界

9 精霊の加護

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「あの聞いても良いですか?」

「何かしら?」

建物の出口を目指して歩きながら隣に漂う精霊、ウルに視線を向ける。
彼女の力のお陰で薄暗かった周辺が明るくなり、花が咲いたような笑みを浮かべた彼女の表情が良く見えた。
それに襲ってきた男達も倒したことで一先安心と言ったところ。とはいえ他にも何かが潜んでいる可能性はある為、油断は禁物だ。もし何かあれば、気配を感知出来るというウルから何かしらの反応があるだろう。
とにかく外に出るまでは用心しよう。

「あの…精霊は人前に姿を現さないって聞いたことがありますが、私に姿を見せてしまって良いんですか?それだけでなく助けてまでもらって……」

「う~ん、そうね。人前に姿を現すかどうかは精霊次第ね。私のように力が強くて人間に友好的な精霊もいれば、何があっても姿を見せようとしない子もいるわ。精霊にも色々いるから。それに私の場合は退屈だったから」

「退屈?」

「そう。ここは建物だけではなくて、街そのものがもう廃れてしまって人間は誰も住んでいないし、近寄りもしないわ。さっきの悪巧みをしている者を除いてね」

逆にそんな場所に目を付け誰も居ないのを良い事に、この場所を拠点にしていたのだろう。しかし今回の件で、世間に晒される事になるだろうけれど。

「私はここに長らく居座っていたの。この場所は静かで割と過ごしやすくて、結構気に入っていたわ。
でもね、それなりに時間が経ってくると、段々と退屈に感じるものなのよね。
けれどそう思い始めた頃だったわ、あの人間達がここへやって来たのは。人間なんて久しぶりに見たからその時はつい心が躍ってしまって、暇潰しがてら何をする気なのかって様子を伺っていたの」

いつからこの場所にいたのかは分からないが、私には想像もつかない程の時間をこの場所で一人で過ごしたのではないか。本人は何ともなさそうに平然と、寧ろ楽しそうに話をしているが、想像すると心がギュッと苦しくなる。
種族の異なる精霊にとっては、ひとり等どうってことないのかもしれないけれど、私が同じ立場だったら長い時間孤独なのは耐えられないと思う。

「あの人間達が悪い事をしようとしているのは明らかだったけれど、それを止める利点は私にはない。私はただただ眺めているだけだった。
けれど今日、あの人間の内一人が女の子を連れているのが見えたわ」

それが今日の出来事。

この建物に入ってから感じていたあの気配はやはりウルだったんだ。考えてみれば怖いとも感じなかったし。
とは言え気配しか感じなかったから、得体は知れなかったけれど。

「その時ばかりは私も助けようと思ったわ。進んでここへ来たようには見えなかったから。
でも私が手を出す前にエルちゃん、もう逃げていたのよね。それには驚いたわ。しかも中に秘めた魔力の多さにも」

精霊のウルが感心する程なのかと思いながら、私は己の胸にそっと手を置いた。
自身の魔力の豊富さには確かに自覚はあれど、強大な力を持った精霊にそんな風に言われると、少し気恥ずかしくなる。

私の気持ちを知ってか知らずか、ウルは話を続ける。

「それでね。仕方がないからエルちゃんが私のところまで来てくれるのを待っていたの。最初貴方に話しかけた時も、まるで初めて会ったようなふりをして」

「確かにそうですね。でもどうして?」

「だって私は貴方が連れて来られたのも、逃げ出したのも見ていたけれど、エルちゃんは違うでしょ?私の気配を感じていたみたいだけど、こんなところに連れて来られて混乱しているのに、いきなり私が現れたら更に混乱させてしまうでしょう?そう思ってさも魔法陣から召喚された精霊、って雰囲気を醸し出してみたのよ」

大の男を瞬殺したとは思えないくらいのお茶目発言。それも態々私を混乱させない様にそんな演出まで……と言いたいところだけど、それに関しては言わせてもらいたい。
どんなに気を使ってくれたとしても、精霊が現れたら誰だって目を疑うし驚くと思うって事を。

「そ、そうだったんですね……。ところであの魔法陣は一体…?」

「あれは昔の人間が作り出したものね。それにやっぱりエルちゃんには魔法陣が見えていたのね?」

「え、はい」

「そう。やっぱり貴方は特別な子なのね」

「私が…特別?」

ウルの言う意味深な言葉をおうむ返しに呟く。彼女はその様子を見てにこりと笑う。

「まだ私も詳しくは説明出来ないけれど、私を見つけた時点で特別って事。それに精霊の気配を感じるなんて普通の人間には出来ないのよ?だからもうエルちゃんにはそういう能力、素質があるのよ」

「…でも戦闘の時、ウルの姿はあの男達にも見えていましたよね?」

「ああ、それはね。私自ら視認出来るようにしてあげていたの。突然得体の知れない何者かが現れたら怖がるかと思って。実際はそうでもなかったけれど、まあ問題はないわ。
それに私達精霊は自分の姿を見せるか見せないか、結構自由自在に出来る。だからね、気がついていないだけで案外身近に精霊はいるものなのよ」

そうなんだ!
でもそれなら今まで一度も見た事がなかったのは偶々って事?

「これまで精霊を見たことがなかったのは、単純に近くに精霊が居なかったからか、或いは姿を隠していたかのどちらかね。そうでなければ私のように姿を捉え、言葉を交わすことも可能だったはずよ」

一瞬心を読まれたのかと思った。それくらい彼女は私の疑問に的確に答えていった。

「そうだったんですか。それならもし機会があったら私も他の精霊に会ってみたいです」

精霊達に囲まれて――は難しいかもしれないが少し想像しただけで心が躍る。

いつの日か、人と精霊が安心して一緒に居られる未来がくればいいな。

「そうね。きっと喜ぶわ」

「そうだと嬉しいです」

「大丈夫よ。だって私はもう既にエルちゃんの事大好きだからね」

躊躇う事無くそう言ったウルは、私を見て人懐っこい笑みを浮かべたのだった。



そのから歩く事数分。

「エルちゃん、出口に誰かいるわ」

前方を指さしてウルがそう告げる。

「えっ、本当ですか?」

指示された先に視線を動かすと光が差し込んでいる場所があり、恐らくあれが出口だと分かったが、彼女が言う誰かの姿、と言うのは確認出来ない。
しかし鋭い感性の持ち主である彼女が言うのだ。気配を感じたのだろう。

そしてそれは恐らく――。

数時間離れ離れとなっていた彼の事が頭を過ぎる。きっと私の事を懸命に探してくれたであろう、優秀な従者であり私の大切な家族である彼。
出口にいるのが彼なら早く会って謝りたい。迷惑をかけた事、心配をかけた事を。

「ええ。悪い感じはしないからきっと見方ね。行ってみましょう」

「はいっ!」

光が差し込む出口に向かって私は走り出した。



「エル様…っ!」

出口を飛び出す勢いで出て行くと、外の景色と一人の人物の姿が目に入った。一番会いたかった――。

「ルカ…っ!!」

私の名前を呼ぶルカの声を聞き、本当に彼だと理解した途端、目の前が急にぼやけ始めた。それは自身の目から溢れ出る涙であると気づくのにそう時間はかからなかった。
終始気を張っていたせいもあるだろうが、ルカを見て緊張の糸が切れてしまった。安心しきってしまったが故だろう。

無事に再会出来た事を本当に嬉しく思い、私は温もりを求めるようにルカに抱きついた。
普段ならみっともないと怒られるところだが、今は許して欲しい。

「ルカ……会えて良かった……、ごめんなさいっ…迷惑をかけて……」

喜びを噛み締めると共に、今まで我慢していた感情が高ぶり、涙腺が崩壊してしまったのかと思うくらい、次から次へと涙が零れ落ちる。
恥ずかしい気持ちも多少はあるが、どうにも止まってくれそうにない。

「迷惑だなんて思っていませんよ。僕の方こそ、お傍を離れてしまって、怖い思いをさせてしまって申し訳ありません」

人前で泣く事等なかった私が急に泣き出し、流石のルカも驚いたと思う。でも、わんわんと泣き続ける私を、ルカは優しく抱きしめ宥めてくれたのだった。

ルカの優しさに今は素直に甘えよう。

そう思い、私は思う存分声を上げて泣いた。
その間落ち着くまで背中を摩り、頭を撫でてくれていたルカに、私の心は感謝の気持ちでいっぱいだった。



それからどれくらい経ったのか、漸く涙も止まり落ち着きを取り戻した私は、未だルカに抱き着いたままだったのを思い出し慌てて手を離した。

「……その、落ち着くまでいてくれて、ありがとうございます……」

声が段々と小さくなっていき、最後の方などルカに聞こえているのかも疑わしい。
人前で大泣きしてしまった醜態と、泣き腫らした顔を見られるのがとにかく恥ずかしくて俯いてしまう。とてもじゃないが、顔を上げられない。

「大丈夫ですよ、これくらい」

感謝の気持ちはルカにしっかりと届いていたようだ。そして察してくれたのか、ルカは私の頭にポンと手をのせ、怒るではなく優しい言葉をかけてくれる。

「エル様、体力も大分消耗しているでしょうしそろそろ行きましょう。迎えの馬車を用意していますので」

そう言われて体の異変に気付く。立っていられないわけではないけれど、確かに体の怠さを感じた。
しかもそう自覚した途端、眠気まで襲ってくる始末。
自分が思った以上に消耗していたのだと思い知らされた気分だ。

「ありがとうございます……」

「あの方もお待ちしていますよ」

「……え?」

若干ぼんやりしてきた頭で懸命にルカの言った言葉を反芻する。

待っている…って誰が……?

訊き返そうとしたところ、体に急な浮遊感が伴い声が出なかった。

「馬車に着く少しの間だけ失礼しますね」

霞む視界で見ると少し前よりもルカが近くにいる気がするし、声も近いような……。
あっ、これお姫様抱っこされているみたい……。

何故か冷静にそう思った。
体調を慮ってか、あまり揺らさないようにしてくれているようだけど、それが返って私を眠りに誘っていると知ってか知らずか。

……これだから天然は困る!

なんて思ってみても口には絶対出せないのだった。


暫くルカの腕の中で夢現だった私は、聞こえて来たその声に若干眠気が覚めていくのを感じた。

「戻ったかいルカ。それにエルも無事で……、本当に良かった」

……この声はっ!なっ、なんでここに……!

少しだけ冴えた目に、本来ここにいるはずのない人物が映る。

「……と、父様……、なんでここに……?」

実の父がそこにいた。しかも顔は笑っているのに目が笑っていないという、穏やかとは程遠い雰囲気を醸し出している父様。視界がぼやけているからそう見える、と言いたいところだが、残念ながらそれはなさそうだ。

「ルカから連絡を聞いた時は本当に生きた心地がしなかった。もしもの事があったらととても心配したよ」

あれ……?

怒鳴られるのを覚悟していたのに、思っていた反応とは違うものが返ってきて戸惑う。
恐る恐る父様に視線を向けると、威厳のある凛々しい侯爵家の当主ではなく、娘を心配する一人の父親としての顔が見えた。
いつもの凛々しい眉は下がり、瞳が少し潤んでいるような気がして、それを見た私は更に戸惑った。

「本当に心配したんだ。無事で良かった……」

そう言って父様はルカに抱かれたままの私の頬を両手で包んだ。
大きくて、力強いけれど私には優しい父様の手。その温もりに凄く安心した。

……父様、心配かけてごめんなさい。私も帰って来られて良かったって本当にそう思います……。



その後の事は正直言って記憶がない。
どうやら馬車に着く前に気を失ってしまったらしく、次に目が覚めたら自室の寝台の上だった。

起き上がれるようになってから改めて父様とルカに会いに行き、その後の事の顛末を聞いた。

あの後、父様とルカと共に侯爵邸に無事戻る事ができ、そこで待っていた母様と姉様に凄く心配されたらしい。姉様なんて私の無事な姿を見て、その場で泣き崩れてしまったらしく、それを聞いて益々申し訳ない気持ちになった。

その後元気になってから、母様と姉様に心配をかけた事と、迷惑をかけてしまった事をちゃんと謝ったのだった。


そして彼女の存在も説明しないわけには行かなかった。

「これで見えるようになったはずよ。ね?」

相変わらずの可愛らしい姿で私達の前に姿を現した精霊のウル。

只今侯爵邸の一室にて、私、ルカ、父様とそして神殿から付いて来てしまったらしいウルの四人で集まり、話し合いが行われていた。

「……あ、貴方は、一体……?」

私はもう見慣れてしまった姿だが、父様とルカは初めて見るのだ。私程でないにしろ、少なからず驚いていた。その姿を認めるや否やルカが一早く反応を示す。

「見えているようね。
では改めて、私は光の精霊、ウルティナよ。よろしくね」

何でもない事のように友好的な態度でサラリと自己紹介をするウル。

「……精霊?」

そんな彼女に怪訝そうな顔でルカが訊き返す。

この反応。そうだよね。信じられないよね。私もそうだった。

「驚くのも無理はないですよね。でも神殿で誘拐犯に私が襲われかけた時、助けてくれたのがウルなんです。ウルは私の命の恩人です」

「それは本当かい?」

冷静に訪ねてくる父様。私の話を聞き、ぷかぷかと浮遊するウルへ真意を確かめるような視線を送る。

今回の騒動について話をしたものの、ウルの事は伏せていた。話をするよりも実際に自分の目で彼女を見てもらった方が早いと思って。だから今の二人の反応はある意味正しい。

「ええ、そうよ」

問われたウルは臆する事なく、寧ろ胸を張って応える。

「そうか。娘を救ってくれた事感謝する。本当にありがとう。
しかし精霊である君が娘を救ったのには何か理由があるのかい?」

……父様もウルと同じく相手に臆さず動じずだね。流石と言うかなんというか……。

怖いもの知らずな二人の会話に私は苦笑した。

「そうね。精霊は自由を好み、人と関わる事を嫌う子もいるけれど、私はそうは思わない。寧ろ好きよ。好意的に思っているくらいだわ。
そして助けたのは、確かに理由もあった。その理由は秘密、だけどね。それに例え理由がなくても、私はエルちゃんを助けたと思うわ」

一瞬切なそうな表情が見えた気がするが、直ぐに笑いを含んだ顔へと戻る。

「答えてくれなくても良い。理由はどうであれ、娘を助けてもらった事に変わりはない。そこで何だが、何かお礼をと思っていてね」

「良いのよお礼なんて。それより私からも一つ良いかしら?」

「何だい?」

そう言うとウルは私の背後に回り、肩に手を置くと言った。

「私この子を傍で見守るって決めたの。だからね、これから私はエルちゃんと一緒いようと思うわ。良いかしら?」

……えっ、それってどう言う……?

「それはつまりエルの守護をしてくれる、という解釈で良いかい?」

私が頭に疑問符を浮かべる中、父様は確認するようにもう一度尋ねる。

「それで良いわ。この子の事は私が守るわ」

自信満々のドヤ顔でそう言い切るウルに、

「そうか、それは心強い。宜しく頼むよ」

と、私とそしてルカをほぼ置き去りに話は進み、最終的にウルが私の守護精霊となる事がこの時決まったのだった。


そう言えばこれも後から聞いた話で、私を攫った誘拐犯の事だけど、父様が事前に呼んでいた衛兵が神殿内で身動きが取れないように縛られ倒れている男達を発見し、連行していったとの事。
当事者である私はその事で事情を聴かれたりもしたけれど、父様の計らいもあり必要以上に追及される事はなく聴取は終わった。流石に精霊に助けてもらいました、なんて言えないからね。

色々あったけれど、これで誘拐事件は無事?解決した。

ただ今回の件で散々な目に遭った私は、もう二度と誘拐されるものか、と強く心に誓ったのだった。
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