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一章 幻想世界の郵便局
人手不足の郵便局に朗報
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「ちょっと、局長! 帳面ばっか書いてないで、この荷物の仕分け手伝って下さいよ!」
「普段は触ったら怒るくせに、都合のいい時だけ雑用係させないでちょうだい」
「は?」
ディージャの表情が激しく歪んだ。
「それとも領収書の控え、あなたが整理してくれるっていうの?」
帳面を書いていた女は皮肉を込めてディージャを横目に見遣る。ディージャは歯噛みする様に女を睨みつけた。
「もうすぐギモーブが戻って来るでしょ? 仕分けは彼に任せて、あなたは窓口を見てて」
「じゃあその間に誰がこれを仕分けするんですか!」
「あなたがやるんでしょ?」
「この役立たずめがぁ!」
ディージャは甲高い怒声を上げ、積み上がった領収書の束を床に叩き付ける。
「いいからさっさと仕分けして下さいっ、この役立たず!」
肩を怒らせたままディージャは窓口へと戻るが、帳面を睨んでいた女はそれに従わない。
「やれやれ……」
叩き付けられた領収書の束を再び机に積むと、女は残りの計算を進める。
「バカみたいな違算金出しまくってる後始末の為に計算してるってのに、まったく」
計算を終え、女は溜息を吐いた。
「今月はこれが私の給料から差し引き、ねぇ……やってらんねぇわ」
女が再び溜息を吐いたところで、通話機の呼び鈴が音を立てる。
「はーい、こちらフーニス郵便局、局長でーす……え? 求人に? その人はまだ事務所に? あ、じゃあそっち行きます、面接はそちらで行いますので、待たせておいて下さい」
受話器を置くと、女は上着を取った。
「求人に応募してきた人が居るから、ちょっと面接に職業紹介所へ行ってくるわね」
「はあ? そんなもんこっちに呼べばいいじゃないですか!」
女が窓口に声を掛けるとディージャは苛立ちのこもった声を張り上げた。
「この散らかった局内の何処で面接しろって言うのよ」
「それはアンタが仕分けを」
「じゃ、行ってきまーす」
「この役立たず、待ちなさい!」
ディージャは叫び声を上げるが、玄関の呼び鈴が来客を知らせ、女は裏口から外に出て行ってしまう。
「覚えとけ、あのクソ女……」
低く呟いてすぐ、ディージャは来客に笑顔を見せた。
「いらっしゃいませ、ご用件は何ですか?」
「普段は触ったら怒るくせに、都合のいい時だけ雑用係させないでちょうだい」
「は?」
ディージャの表情が激しく歪んだ。
「それとも領収書の控え、あなたが整理してくれるっていうの?」
帳面を書いていた女は皮肉を込めてディージャを横目に見遣る。ディージャは歯噛みする様に女を睨みつけた。
「もうすぐギモーブが戻って来るでしょ? 仕分けは彼に任せて、あなたは窓口を見てて」
「じゃあその間に誰がこれを仕分けするんですか!」
「あなたがやるんでしょ?」
「この役立たずめがぁ!」
ディージャは甲高い怒声を上げ、積み上がった領収書の束を床に叩き付ける。
「いいからさっさと仕分けして下さいっ、この役立たず!」
肩を怒らせたままディージャは窓口へと戻るが、帳面を睨んでいた女はそれに従わない。
「やれやれ……」
叩き付けられた領収書の束を再び机に積むと、女は残りの計算を進める。
「バカみたいな違算金出しまくってる後始末の為に計算してるってのに、まったく」
計算を終え、女は溜息を吐いた。
「今月はこれが私の給料から差し引き、ねぇ……やってらんねぇわ」
女が再び溜息を吐いたところで、通話機の呼び鈴が音を立てる。
「はーい、こちらフーニス郵便局、局長でーす……え? 求人に? その人はまだ事務所に? あ、じゃあそっち行きます、面接はそちらで行いますので、待たせておいて下さい」
受話器を置くと、女は上着を取った。
「求人に応募してきた人が居るから、ちょっと面接に職業紹介所へ行ってくるわね」
「はあ? そんなもんこっちに呼べばいいじゃないですか!」
女が窓口に声を掛けるとディージャは苛立ちのこもった声を張り上げた。
「この散らかった局内の何処で面接しろって言うのよ」
「それはアンタが仕分けを」
「じゃ、行ってきまーす」
「この役立たず、待ちなさい!」
ディージャは叫び声を上げるが、玄関の呼び鈴が来客を知らせ、女は裏口から外に出て行ってしまう。
「覚えとけ、あのクソ女……」
低く呟いてすぐ、ディージャは来客に笑顔を見せた。
「いらっしゃいませ、ご用件は何ですか?」
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