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第四章 ゲームなら、絶対悪質チーターです
71.ミハミズモスの鐘楼:突入準備
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回収した怪鳥を結界の中に置き、一行は鐘楼に進んだ。
「この鐘楼は周辺の監視の為にも使われているそうで、憲兵の出入りも多く、扉の設置も施錠もされていなかったそうです」
内部は鉄格子の窓から空気が流れているにもかかわらず、湿度が高かった。
「地下室か?」
メテオーロは不自然な床の穴に視線を向ける。穴の縁の部分には蝶番の残骸が有った。
「貯蔵庫が有るとは聞きましたが、其処でしたか」
「あれを鉄格子にしなかったのが最初の間違いだ……しかし、何が居るか分かったもんじゃねえとなると、迂闊には踏み込めんな」
「忌避剤を放り込んで、出てきたものを一網打尽、ですか?」
オルドは首を傾げて尋ねた。
「そうだな……放り込むのは俺がやるとして、中で飛び出してきた連中を片付けるのと、外に飛び出したの始末するのをどうするか」
「まず、出入り口をイロハさんの魔法で塞いでもらったらどうですか、殺気みたいに雷で。あ、でも、そうすると外に逃げられないですね……」
オルドは思い付きを述べた事を後悔したが、メテオーロの考えは同じだった。
「いや、出入り口は塞いでもらわねぇと、全部外に飛び出した時が恐ろしい。窓は鉄格子で大丈夫だろうが……中に残るとすると、上には逃げられんな」
「メテオーロ、投入は私がしましょう」
思案するメテオーロに吸血鬼の男が声を掛ける。
「別に頭領だからと言って率先して危険を冒す必要は有りません。今日は人数も多いですから……そうですね、トーマ殿に残っていただければ、雷の魔法程度で脱出出来ない事は無いでしょう。それからオルド、あなたは南側、帝都方面に魔獣が逃げ出さないように結界を作って下さい」
男は結界を作る方向を指さしてオルドを見遣る。
「結界のある方に魔獣は逃げませんから、逃げる方向がおのずと定まります。出入り口の正面に構えるのはメテオーロとジーナ、カリキ方面に逃がす道が出来るので、大量に飛び出してきたとして、残党はアナスタシアに撃って貰えばかなり数が減るでしょう」
吸血鬼に指図される事を不服に思いながら、アナスタシアはそれを噛み殺す。
「……でも、それじゃあ少し困らないかしら」
アナスタシアの声に一同は彼女を見る。
「出入り口をイロハさんが塞いでしまうと、魔獣は飛び出しにくくなるかもしれないけれど、内側からも外側からも攻撃が入るとしたら、巻き添えにならない?」
アナスタシアは一同を見回し、イロハは光の無い眼差しでアナスタシアを見据えた。
「……グラオさん、あなた勘違いされてるみたいね。私は出入り口に仁王立ちなんかしない、少し離れた所から術を掛けるわ。それと、内部に残留する異形が少なくなる、つまり逃げ出したものの方が多い状況に成れば、残党の方に術を掛けます」
「あら、そうなの。てっきり通せんぼするものだと」
「侮らないで下さい」
溜息を吐く様にイロハはアナスタシアから視線を逸らす。
「それじゃあオルド、結界を作ってくれ」
「はい!」
メテオーロの指示にオルドが駆け出すと、イロハも出入り口へと向かう。
「イロハさんは別に何もしなくていいでしょ?」
「術を掛けやすくする為に此処にも魔法円を作ります。くれぐれも踏み荒らさないように」
イロハは石の床に魔法円を描いた。
「この鐘楼は周辺の監視の為にも使われているそうで、憲兵の出入りも多く、扉の設置も施錠もされていなかったそうです」
内部は鉄格子の窓から空気が流れているにもかかわらず、湿度が高かった。
「地下室か?」
メテオーロは不自然な床の穴に視線を向ける。穴の縁の部分には蝶番の残骸が有った。
「貯蔵庫が有るとは聞きましたが、其処でしたか」
「あれを鉄格子にしなかったのが最初の間違いだ……しかし、何が居るか分かったもんじゃねえとなると、迂闊には踏み込めんな」
「忌避剤を放り込んで、出てきたものを一網打尽、ですか?」
オルドは首を傾げて尋ねた。
「そうだな……放り込むのは俺がやるとして、中で飛び出してきた連中を片付けるのと、外に飛び出したの始末するのをどうするか」
「まず、出入り口をイロハさんの魔法で塞いでもらったらどうですか、殺気みたいに雷で。あ、でも、そうすると外に逃げられないですね……」
オルドは思い付きを述べた事を後悔したが、メテオーロの考えは同じだった。
「いや、出入り口は塞いでもらわねぇと、全部外に飛び出した時が恐ろしい。窓は鉄格子で大丈夫だろうが……中に残るとすると、上には逃げられんな」
「メテオーロ、投入は私がしましょう」
思案するメテオーロに吸血鬼の男が声を掛ける。
「別に頭領だからと言って率先して危険を冒す必要は有りません。今日は人数も多いですから……そうですね、トーマ殿に残っていただければ、雷の魔法程度で脱出出来ない事は無いでしょう。それからオルド、あなたは南側、帝都方面に魔獣が逃げ出さないように結界を作って下さい」
男は結界を作る方向を指さしてオルドを見遣る。
「結界のある方に魔獣は逃げませんから、逃げる方向がおのずと定まります。出入り口の正面に構えるのはメテオーロとジーナ、カリキ方面に逃がす道が出来るので、大量に飛び出してきたとして、残党はアナスタシアに撃って貰えばかなり数が減るでしょう」
吸血鬼に指図される事を不服に思いながら、アナスタシアはそれを噛み殺す。
「……でも、それじゃあ少し困らないかしら」
アナスタシアの声に一同は彼女を見る。
「出入り口をイロハさんが塞いでしまうと、魔獣は飛び出しにくくなるかもしれないけれど、内側からも外側からも攻撃が入るとしたら、巻き添えにならない?」
アナスタシアは一同を見回し、イロハは光の無い眼差しでアナスタシアを見据えた。
「……グラオさん、あなた勘違いされてるみたいね。私は出入り口に仁王立ちなんかしない、少し離れた所から術を掛けるわ。それと、内部に残留する異形が少なくなる、つまり逃げ出したものの方が多い状況に成れば、残党の方に術を掛けます」
「あら、そうなの。てっきり通せんぼするものだと」
「侮らないで下さい」
溜息を吐く様にイロハはアナスタシアから視線を逸らす。
「それじゃあオルド、結界を作ってくれ」
「はい!」
メテオーロの指示にオルドが駆け出すと、イロハも出入り口へと向かう。
「イロハさんは別に何もしなくていいでしょ?」
「術を掛けやすくする為に此処にも魔法円を作ります。くれぐれも踏み荒らさないように」
イロハは石の床に魔法円を描いた。
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