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第三章 異世界だけど、現実的です
62.対魔獣警備:戦場の片付け
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西の地平線に僅かな赤みが残るだけとなった頃、憲兵に公認された集団であるアスピダはその場に残り、オークの死体を積み上げてゆく。
「まったく。せっかく此処まで来て、やる事がオークの始末? とんだ肉体労働だわ」
薄暮の時間帯に銃を使ったオーク討伐は憲兵に止められ、何も出来ずに今に至ったアナスタシアは死体から剥ぎ取られた防具をチャリオットに積みながら溜息を吐く。
「でも……この防具の素材は気になるわね。ちょっと汚いけど……この金属に革……あ、これ、中は膠仕上げかしら」
壊れた防具を検分していたアナスタシアは死体の始末をそっちのけに、夢中で剥ぎ取られた防具を集め出す。
一方、残る面々はオークの死体を積み上げ、ひとつの山を作っていた。
「これ、このまま積んでおくわけにはいかんだろうが……どうする?」
「焼きます」
「焼くって、死体を焼くのにどれほどの火力が」
「炎魔法くらい私でも使えますよ」
防具や武器をはぎ取られたオークの死体を積みながら、男はメテオーロを見遣った。
「そうか……」
メテオーロは積まれたオークの死体をランプで照らす。
「……半オークが混ざっているな」
照らし出されるその顔は土の様に煤けた色をしていたが、引き攣った様な醜悪さとは無縁の頑丈で彫りの深い顔立ちだった。
「海岸線で騒動が起こった時、まだ日は高かったでしょうから、半オークでしょう……昨夜ミハミズモスに出現したオークにも半オークが混ざっていましたが……海岸沿いの方はその割合が多かったのではないでしょうか」
男もまたその顔を覗き込み、メテオーロを見た。
「これだけオークが活発になっていれば、魔獣は更に増えているでしょうし、凶暴化も進んでいるでしょう」
「だろうな」
二人は再び散乱するオークの死体を捜索する。
「おい、大丈夫か?」
ジーナと共に死体の回収に当たっていたオルドだったが、明らかに引き攣れた様な醜悪な顔をしていない半オークや、人間と同じ五本の指を持つ手を目の当たりにする内、気分を悪くしていた。
「確かに、死体運びは楽しくない。だが、これは人間じゃない。あたしらを殺す魔獣だ、気を確かに持て」
ジーナはオークをオークとしかみなしておらず、淡々とその死体を山へと積み上げる。
「オルド?」
防具や武器の類を集めていたアナスタシアは、立ち尽くすオルドに声を掛ける。
「大丈夫……でもないわね。オークは人型だから、気分が悪くなるのも仕方ないわ……でも、手が空いてるなら動いてもらわなきゃ。ほら、そこら辺に防具とか剣とか落ちてるでしょ? 回収命令が出てるし、これは調べ甲斐が有るの! 一緒に探して!」
アナスタシアは同情的であったが、己の興味関心に目を輝かせており、オルドはそれに巻き込まれてしまう。
「う、うん……」
「さ、ランプが燃料切れになる前に全部集めるわよ!」
心身の疲労に打ちのめされたオルドの傍で、アナスタシアはオークが作った鉄製品や、皮革と金属を組み合わせた防具に夢中だった。
「ほら、これ見てよ。作りは乱暴だけど合理的だわ」
「まったく。せっかく此処まで来て、やる事がオークの始末? とんだ肉体労働だわ」
薄暮の時間帯に銃を使ったオーク討伐は憲兵に止められ、何も出来ずに今に至ったアナスタシアは死体から剥ぎ取られた防具をチャリオットに積みながら溜息を吐く。
「でも……この防具の素材は気になるわね。ちょっと汚いけど……この金属に革……あ、これ、中は膠仕上げかしら」
壊れた防具を検分していたアナスタシアは死体の始末をそっちのけに、夢中で剥ぎ取られた防具を集め出す。
一方、残る面々はオークの死体を積み上げ、ひとつの山を作っていた。
「これ、このまま積んでおくわけにはいかんだろうが……どうする?」
「焼きます」
「焼くって、死体を焼くのにどれほどの火力が」
「炎魔法くらい私でも使えますよ」
防具や武器をはぎ取られたオークの死体を積みながら、男はメテオーロを見遣った。
「そうか……」
メテオーロは積まれたオークの死体をランプで照らす。
「……半オークが混ざっているな」
照らし出されるその顔は土の様に煤けた色をしていたが、引き攣った様な醜悪さとは無縁の頑丈で彫りの深い顔立ちだった。
「海岸線で騒動が起こった時、まだ日は高かったでしょうから、半オークでしょう……昨夜ミハミズモスに出現したオークにも半オークが混ざっていましたが……海岸沿いの方はその割合が多かったのではないでしょうか」
男もまたその顔を覗き込み、メテオーロを見た。
「これだけオークが活発になっていれば、魔獣は更に増えているでしょうし、凶暴化も進んでいるでしょう」
「だろうな」
二人は再び散乱するオークの死体を捜索する。
「おい、大丈夫か?」
ジーナと共に死体の回収に当たっていたオルドだったが、明らかに引き攣れた様な醜悪な顔をしていない半オークや、人間と同じ五本の指を持つ手を目の当たりにする内、気分を悪くしていた。
「確かに、死体運びは楽しくない。だが、これは人間じゃない。あたしらを殺す魔獣だ、気を確かに持て」
ジーナはオークをオークとしかみなしておらず、淡々とその死体を山へと積み上げる。
「オルド?」
防具や武器の類を集めていたアナスタシアは、立ち尽くすオルドに声を掛ける。
「大丈夫……でもないわね。オークは人型だから、気分が悪くなるのも仕方ないわ……でも、手が空いてるなら動いてもらわなきゃ。ほら、そこら辺に防具とか剣とか落ちてるでしょ? 回収命令が出てるし、これは調べ甲斐が有るの! 一緒に探して!」
アナスタシアは同情的であったが、己の興味関心に目を輝かせており、オルドはそれに巻き込まれてしまう。
「う、うん……」
「さ、ランプが燃料切れになる前に全部集めるわよ!」
心身の疲労に打ちのめされたオルドの傍で、アナスタシアはオークが作った鉄製品や、皮革と金属を組み合わせた防具に夢中だった。
「ほら、これ見てよ。作りは乱暴だけど合理的だわ」
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