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第二章 成り行き任せ、異世界ライフ
34.貴族商人ボスウェリア:道楽の産物
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日が昇り街並みが活気付いた頃、メテオーロとジーナは私兵を名乗る男に従って市街地を進み、ボスウェリアの屋敷に向かった。
男は二人を連れて裏口から屋敷に入り、呼び鈴を鳴らして女中を呼ぶ。
「おかえりなさいませ」
「朝早くに申し訳ありません。こちらのお二人を下の応接間に案内していただけますか」
「お客様ですか」
カルチェは男の奥に立つ二人を見遣る。
「えぇ。この先新しく仕事をする仲間になる方です。それと、その事で卿にお話が有るのですが、ご予定は」
「先ほどお帰りになられましたので、お取次ぎします」
「お願いします。私は一度部屋の方に戻ります」
「かしこまりました」
男は足早に奥へと進み二階へと向かう。
「わたくしは此処の女中、カルチェと申します。御館様の支度が整いましたらお声がけしますので、まずはこちらにいらして下さい」
二人はカルチェに案内されるまま屋敷の奥へと進み、一階の小さな応接間に通される。其処は貴族の屋敷の応接間というにはあまりにも質素だったが、古びた棚の中には精緻なオートマタやオルゴールが詰め込まれている。
「少しお待ちになっていてください、何かお飲み物をお持ちします」
二人は質素な椅子に腰掛け、棚の中にある物珍しい細工を眺めた。
「なぁ、其処の棚に有る飾り物、一体何なんだ? その引き戸には鍵がかかっているようだが……」
「あれはオートマタとオルゴールだな」
「おー……なんだそりゃ」
「オートマタってのはからくり仕掛けの人形で、ネジを巻くと動き出すんだ。古い物は動くだけだったが、今は中にオルゴールが入っていたりして、音が鳴る」
「はー……なんかすごいもんだってのは分るが、そんなもん、何の役に立つんだ?」
「金持ちの道楽で、貧乏人にしてみりゃ珍しい見世物だよ」
「あとよぉ、その、なんたらるってのは何だ?」
「オルゴールか?」
ジーナはメテオーロを見て頷く。
「オルゴールってのは自動演奏で音楽が鳴る機械だ。あらかじめ決められた音がなる様に設計されていて、音楽家を呼ばなくても、いつでも同じ音楽が好きな時に流せるんだ」
「なんだそりゃ」
「まぁ、これも金持ちの道楽だが……オルゴールだけなら貴族以外の金持ちも持ってるし、ちょっといい料理を出している店なんかだと、もてなしに流している事も有る」
「はー……大陸の人間ってのは酔狂だな。そんなクソの役にも立たねぇ、腹の膨れねぇ事してるとは……」
ジーナは呆れた様に言って、硝子の向こうに佇むオートマタを眺めた。
そうして暫く経った頃、カルチェが簡素な応接間に現れる。
「お待たせしました。もうしばらくお時間がかかりますので、軽食をご用意いたします。少々お待ちになって下さい」
カルチェは机に二人分のフィンガーボウルとナプキンを机に下ろす。
「あぁ、俺の分は構わないよ」
軽食を断るメテオーロにカルチェは目を瞬く。
「俺の分は無くていい」
「よろしいのですか?」
「あぁ、悪いな」
「では、その様にいたします……」
カルチェは不思議そうに首を傾げながら部屋を出て行った。
「おい、お前、せっかく飯を食わせてくれるってのに」
「いいんだよ。出してもらっても、エルフが食べる物は酷く偏っちまうんだ」
軽食を断ったメテオーロに驚いたジーナもまた首を傾げた。
男は二人を連れて裏口から屋敷に入り、呼び鈴を鳴らして女中を呼ぶ。
「おかえりなさいませ」
「朝早くに申し訳ありません。こちらのお二人を下の応接間に案内していただけますか」
「お客様ですか」
カルチェは男の奥に立つ二人を見遣る。
「えぇ。この先新しく仕事をする仲間になる方です。それと、その事で卿にお話が有るのですが、ご予定は」
「先ほどお帰りになられましたので、お取次ぎします」
「お願いします。私は一度部屋の方に戻ります」
「かしこまりました」
男は足早に奥へと進み二階へと向かう。
「わたくしは此処の女中、カルチェと申します。御館様の支度が整いましたらお声がけしますので、まずはこちらにいらして下さい」
二人はカルチェに案内されるまま屋敷の奥へと進み、一階の小さな応接間に通される。其処は貴族の屋敷の応接間というにはあまりにも質素だったが、古びた棚の中には精緻なオートマタやオルゴールが詰め込まれている。
「少しお待ちになっていてください、何かお飲み物をお持ちします」
二人は質素な椅子に腰掛け、棚の中にある物珍しい細工を眺めた。
「なぁ、其処の棚に有る飾り物、一体何なんだ? その引き戸には鍵がかかっているようだが……」
「あれはオートマタとオルゴールだな」
「おー……なんだそりゃ」
「オートマタってのはからくり仕掛けの人形で、ネジを巻くと動き出すんだ。古い物は動くだけだったが、今は中にオルゴールが入っていたりして、音が鳴る」
「はー……なんかすごいもんだってのは分るが、そんなもん、何の役に立つんだ?」
「金持ちの道楽で、貧乏人にしてみりゃ珍しい見世物だよ」
「あとよぉ、その、なんたらるってのは何だ?」
「オルゴールか?」
ジーナはメテオーロを見て頷く。
「オルゴールってのは自動演奏で音楽が鳴る機械だ。あらかじめ決められた音がなる様に設計されていて、音楽家を呼ばなくても、いつでも同じ音楽が好きな時に流せるんだ」
「なんだそりゃ」
「まぁ、これも金持ちの道楽だが……オルゴールだけなら貴族以外の金持ちも持ってるし、ちょっといい料理を出している店なんかだと、もてなしに流している事も有る」
「はー……大陸の人間ってのは酔狂だな。そんなクソの役にも立たねぇ、腹の膨れねぇ事してるとは……」
ジーナは呆れた様に言って、硝子の向こうに佇むオートマタを眺めた。
そうして暫く経った頃、カルチェが簡素な応接間に現れる。
「お待たせしました。もうしばらくお時間がかかりますので、軽食をご用意いたします。少々お待ちになって下さい」
カルチェは机に二人分のフィンガーボウルとナプキンを机に下ろす。
「あぁ、俺の分は構わないよ」
軽食を断るメテオーロにカルチェは目を瞬く。
「俺の分は無くていい」
「よろしいのですか?」
「あぁ、悪いな」
「では、その様にいたします……」
カルチェは不思議そうに首を傾げながら部屋を出て行った。
「おい、お前、せっかく飯を食わせてくれるってのに」
「いいんだよ。出してもらっても、エルフが食べる物は酷く偏っちまうんだ」
軽食を断ったメテオーロに驚いたジーナもまた首を傾げた。
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