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第一章 よろこべ、これが異世界だ!
24.放浪エルフ:就職選抜
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時刻は正午を過ぎた頃、魔獣退治ギルドのひとつ、ガイストが第三都市に戻ってきた。
調練を終え昼食として提供された大麦の粥を食べたメテオーロは、夕刻にはギルドの採用面接が受けられると告げられた。その日ガイストの面接を受けるのはメテオーロを含む三人、朝の調練には参加していなかったが、斧を持ち小麦色の肌をした女がエフサのホールに加わっていた。
「ガイストのレアオ様、お疲れのところ申し訳ありませんが、志願者が三名お待ちです」
「分かった。経歴書は?」
「こちらに」
官吏の女性は小麦色に日焼けした肌の男に三枚の紙を見せる。
「空き部屋を借りてもいいか」
「三階の八号室をご利用下さい」
レアオは同行していた仲間達を振り返る。
「先に詰め所へ戻ってくれ」
「承知しました」
レアオに同行した仲間達は足早に自ギルドの部屋へと引き揚げる。
「すぐに面接する、適当な頃合いで彼等を案内してくれ」
「分かりました」
官吏はレアオを見送り、少し間をおいてメテオーロ達に面接会場を案内するといって三階へ向かった。
「レアオ様、志願者が到着しました」
「一人ずつ通してくれ」
メテオーロは二番目となり、一人目の若い男が部屋に入っていった。しかし、その男は程無くして部屋を出され、意気消沈した様子で部屋から出てきた。
「よろしくお願いします」
意気消沈した男と入れ替わって室内に入ったメテオーロは、堂々と構えるレアオの前でも卑屈になる素振りすら見せず、用意された椅子に腰掛ける。
「無宿者のメテオーロ、エルフか?」
「あぁ」
レアオは開口一番メテオーロを罵倒せんばかりの肩書で呼ぶが、メテオーロは動じない。
「今朝の調練で帝国軍騎士経験者をねじ伏せた、か……お前、本当にエルフか?」
「いかにも」
「槍は何処で覚えた」
「さぁ、何処だったか。何分、人間の世代十世代分は生きているもんでしてね」
「ほう……それで、今までどうやって生きてきた」
「初めの内はエルフ語の翻訳や、子供に勉強を教えながら旅をしていましたが……その内人外相手の用心棒をする様になり、ここ数年は魔獣を屠って、その腹に有るオーブを売ってきました」
レアオは訝しげにメテオーロを睨みながら、やがて経歴書を机に抛る。
「後で俺と手合わせしてもらう、外で待ってろ」
メテオーロが外に出ると、不機嫌そうな表情で小麦色の肌の女が立っていた。
面接の結果、メテオーロと小麦色の肌の女が残され、屋上に呼び出されていた。
「無宿者メテオーロ、其処の剣を取れ」
屋上に待ち構えていたレアオはメテオーロの得物ではない剣を用意していた。
「武術の基礎が成っていない者には魔獣退治など出来ん、かかってこい」
「では」
メテオーロは剣を拾い上げるその瞬間から、レアオが飛び掛かってこないかに神経を集中させる。だが、レアオはまだ動かない。
二人が対峙すると一瞬の静寂が訪れ、すぐにレアオが呼吸を整えメテオーロに襲い掛かった。対するメテオーロはレアオの一撃を完全に受け止め、暫しの間噛み合った様に膠着する。
膠着を打開しようとレアオは飛び退いて間合いを取るが、メテオーロはそれを待っていたと言わんばかりに片腕で剣を突き出した。
「くっ……」
急所めがけて突き出された腕には、僅かな手心が加えられていた。
「貴様、何故加減した」
「雇い主を殺す様な真似はしたくありません」
「ふっ……本物のエルフだったという事か……」
レアオは嘲笑する様に笑い、剣の構えを解く。メテオーロも手にしていた剣を引くが、構えはゆるめたのみで、急襲に備えて構えられる状態を保っていた。
「無宿者メテオーロ、合格だ」
その言葉に、メテオーロは構えを解く。
「よし、次、南方のジーナ」
メテオーロと入れ替わり、小麦色の肌の女がレアオの前に進み出る。
「まったく、待たせやがって……はーっ!」
ジーナは剣を取るなりレアオに突進する。だが、その剣筋はあまりにも安直で、レアオは容易くそれをかわし、一撃をジーナに受け止めづらい方から振り下ろす。だが、ジーナの反射神経は高く、寸でのところでその剣を受け止め、力任せに形勢を整える。
「うおりゃぁっ!」
壮絶な気合と共にジーナはレアオを押し退け、その腹を貫かんばかりの勢いで剣を突き出す。しかし、それもまた見切られており、レアオはその一撃をかわす。
「うおーっ!」
間合いを詰めながらの下から掬い上げる様な一撃は力任せ以外の何物でもなかったが、レアオの足元を不安定にさせるには十分だった。
「もらったーっ!」
僅かにレアオの体幹が揺らいだ瞬間、獲物に刃を押し付けながら剣を振り回す様な凶暴な一撃がレアオに直撃した。無論、レアオは防具を外してはいなかったが、その力任せの一撃だけで彼の態勢は大きく崩れた。
「凄まじいな……流石、南方を生き抜いてきただけある。合格だ」
調練を終え昼食として提供された大麦の粥を食べたメテオーロは、夕刻にはギルドの採用面接が受けられると告げられた。その日ガイストの面接を受けるのはメテオーロを含む三人、朝の調練には参加していなかったが、斧を持ち小麦色の肌をした女がエフサのホールに加わっていた。
「ガイストのレアオ様、お疲れのところ申し訳ありませんが、志願者が三名お待ちです」
「分かった。経歴書は?」
「こちらに」
官吏の女性は小麦色に日焼けした肌の男に三枚の紙を見せる。
「空き部屋を借りてもいいか」
「三階の八号室をご利用下さい」
レアオは同行していた仲間達を振り返る。
「先に詰め所へ戻ってくれ」
「承知しました」
レアオに同行した仲間達は足早に自ギルドの部屋へと引き揚げる。
「すぐに面接する、適当な頃合いで彼等を案内してくれ」
「分かりました」
官吏はレアオを見送り、少し間をおいてメテオーロ達に面接会場を案内するといって三階へ向かった。
「レアオ様、志願者が到着しました」
「一人ずつ通してくれ」
メテオーロは二番目となり、一人目の若い男が部屋に入っていった。しかし、その男は程無くして部屋を出され、意気消沈した様子で部屋から出てきた。
「よろしくお願いします」
意気消沈した男と入れ替わって室内に入ったメテオーロは、堂々と構えるレアオの前でも卑屈になる素振りすら見せず、用意された椅子に腰掛ける。
「無宿者のメテオーロ、エルフか?」
「あぁ」
レアオは開口一番メテオーロを罵倒せんばかりの肩書で呼ぶが、メテオーロは動じない。
「今朝の調練で帝国軍騎士経験者をねじ伏せた、か……お前、本当にエルフか?」
「いかにも」
「槍は何処で覚えた」
「さぁ、何処だったか。何分、人間の世代十世代分は生きているもんでしてね」
「ほう……それで、今までどうやって生きてきた」
「初めの内はエルフ語の翻訳や、子供に勉強を教えながら旅をしていましたが……その内人外相手の用心棒をする様になり、ここ数年は魔獣を屠って、その腹に有るオーブを売ってきました」
レアオは訝しげにメテオーロを睨みながら、やがて経歴書を机に抛る。
「後で俺と手合わせしてもらう、外で待ってろ」
メテオーロが外に出ると、不機嫌そうな表情で小麦色の肌の女が立っていた。
面接の結果、メテオーロと小麦色の肌の女が残され、屋上に呼び出されていた。
「無宿者メテオーロ、其処の剣を取れ」
屋上に待ち構えていたレアオはメテオーロの得物ではない剣を用意していた。
「武術の基礎が成っていない者には魔獣退治など出来ん、かかってこい」
「では」
メテオーロは剣を拾い上げるその瞬間から、レアオが飛び掛かってこないかに神経を集中させる。だが、レアオはまだ動かない。
二人が対峙すると一瞬の静寂が訪れ、すぐにレアオが呼吸を整えメテオーロに襲い掛かった。対するメテオーロはレアオの一撃を完全に受け止め、暫しの間噛み合った様に膠着する。
膠着を打開しようとレアオは飛び退いて間合いを取るが、メテオーロはそれを待っていたと言わんばかりに片腕で剣を突き出した。
「くっ……」
急所めがけて突き出された腕には、僅かな手心が加えられていた。
「貴様、何故加減した」
「雇い主を殺す様な真似はしたくありません」
「ふっ……本物のエルフだったという事か……」
レアオは嘲笑する様に笑い、剣の構えを解く。メテオーロも手にしていた剣を引くが、構えはゆるめたのみで、急襲に備えて構えられる状態を保っていた。
「無宿者メテオーロ、合格だ」
その言葉に、メテオーロは構えを解く。
「よし、次、南方のジーナ」
メテオーロと入れ替わり、小麦色の肌の女がレアオの前に進み出る。
「まったく、待たせやがって……はーっ!」
ジーナは剣を取るなりレアオに突進する。だが、その剣筋はあまりにも安直で、レアオは容易くそれをかわし、一撃をジーナに受け止めづらい方から振り下ろす。だが、ジーナの反射神経は高く、寸でのところでその剣を受け止め、力任せに形勢を整える。
「うおりゃぁっ!」
壮絶な気合と共にジーナはレアオを押し退け、その腹を貫かんばかりの勢いで剣を突き出す。しかし、それもまた見切られており、レアオはその一撃をかわす。
「うおーっ!」
間合いを詰めながらの下から掬い上げる様な一撃は力任せ以外の何物でもなかったが、レアオの足元を不安定にさせるには十分だった。
「もらったーっ!」
僅かにレアオの体幹が揺らいだ瞬間、獲物に刃を押し付けながら剣を振り回す様な凶暴な一撃がレアオに直撃した。無論、レアオは防具を外してはいなかったが、その力任せの一撃だけで彼の態勢は大きく崩れた。
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