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妻になりました
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朝起きると、この世で一番好きな人の腕の中にいる。
この幸せは先月まではあり得なかったこと。
静かに目を開けると、いつもこちらを見つめている彼が、珍しくまだ眠っている。無理もない。
彼は襲撃未遂の後からずっと忙しく動いていた。隣国への強行軍もやってのけて、帰ってきた翌日には、また諸々の手続きをして友人のミルズ公爵閣下に一連の出来事の説明。その翌日が今日だ。
あんな怒涛の勢いで全てを片付け、自分との時間もしっかりとってくれて。もう人間を卒業しているくらいの体力を誇る彼でも、これは疲れるだろう。
しばらく見つめていると、長い睫毛が微かに震え、瞼が薄く開かれる。その様を見ているだけで、こんなにも感動できるものだとジュリアは知らなかった。
何故、夫がいつも飽きもせずに見ているのか、今やっとその解を得たと彼女は思う。
「ジリー?! どうしたんだ!!」
そう言うなり飛び起きて顔を覗き込む夫に困惑するしかない。
彼女は今朝、彼が起きた瞬間に言いたかった言葉がある。だが勢いに呑まれ、それも引っ込んでしまった。
「え? 何が?」
「泣いてる」
そっと目元を撫でた指先で、掬いとった涙を見せる。
「俺が何か悲しませたのか? それとも君を困らせる不届き者がまだいるのか?」
矢継ぎ早に質問を投げかける彼の纏う空気が剣呑なものに変わっていく。
もう押されている場合ではない。
ジュリアの敵を認識したニコラスは、言葉を選ばずに言うなら歩く災禍だ。どこにどれだけの被害が及ぶか想像もしたくない。
ジュリアは急いで誤解を解くことにした。
「違うの! 貴方を見ていると、何故か感動して」
自分のせいで誰かが大変な思いをするのも嫌だし、ニコラスが自分を悲しませたというあらぬ思い違いをさせたくない。
夢中になって自分が感じたことを詳らかに言い募っている合間に、ふと気付く。彼の顔が赤くなっている。
「どうしたの? 顔が赤い」
「……反則だろう。可愛すぎ」
そのまま抱き込まれ、彼の鼓動の速さに驚く。
「ドキドキしてる」
「今更か? あんな可愛いことを言われたら当たり前だろう」
以前からジュリアに触れる時はこうだったと言われ、どうして気付かなかったのか疑問に思う。
「ジリーは俺以上にドキドキしてたからな」
「そんなことっ……あるかも」
ニコラスにただ一人の女性として触れられる。夢にまで見た状況に、おかしくなりそうな程の歓びを感じるのも無理はない。
今は彼の様子にどこか悪いのかと注意しているから気付けたのだろう。
「あーもう、可愛い。可愛いが完全武装して殴り込みにきた」
「何? それ」
少しばかり言動がおかしい夫に笑っていると、見惚れるまでに秀麗な顔が近付く。
そして慣れ親しんだ感触が唇に重なる。この流れは駄目なやつだ。
今日は二人とも仕事の予定はない。だからと言って、このままなし崩しに組んず解れつは困る。それで一日が終わってしまう。
「待って! ニック、今日は」
「分かってる。俺もそのために必死になったんだから」
笑いながらすぐにやめる彼の目は、いつもよりは凪いでいる。確かにそのまま貪るつもりではなかったようだ。
安心すると同時に、肩透かしをくらったような、期待外れのような気がしてしまう。
もう充分すぎる程に愛され、身体も満たされているのに。それでもまた求める貪欲さが自分でも理解できない。
彼の目を見て、その腕に抱かれると、全ての思考が溶かされる。そして自分の中にあるのは彼だけになっていく。
それを怖いと思わないどころか、堪らなく幸せだ。
ジュリアを見つめているニコラスは、込み上げる想いを堪えている。
愛くるしい妻に気持ちが抑えられない。自分の内から溢れる愛に溺れて、いつか窒息してしまうのではないかとすら思う。
愛らしい。
狂おしい程に愛しい。
何があろうと守りたい。
夫から溢れ出る金の光に満たされた部屋にも動じることなく、ジュリアは目を細める。
もう何度も見たから気にしていない訳ではない。最初の時からこれを怖いとも変だとも思わなかった。
「グリフォンの巣は黄金で出来ているのよね」
「確かにそう言われているな」
これは間違いなく自分を守りたいと願う夫の心の表れ。
だから自分がこの光に包まれていたいと思うのも、何も不思議ではない。
この安全な巣の中で、ひたすら彼に愛されていたいと希う。それは無理からぬこと。
あの夜、たとえ彼に拒絶されていたとしても、決して諦めなかっただろう。
彼と過ごして一年が経つ頃には既に分かっていた。この人しかいないと。自分の心を全て傾けて、恥も外聞もなく求めるべき相手だと。
まだ子供なのに何が分かるのか。
姉に言われるまでもなく自身がそう思い、何度も自問を繰り返した。
その度に心が訴える。この人だけだと。
そして求め続けた結果、この日を彼の正真正銘の妻として迎えている。
こんなに幸せで良いのかと怖くなる程だ。
「ジュリア、俺の妻になってくれてありがとう」
ジュリアを抱き寄せたまま、ニコラスが囁く。
「こちらこそ、私を受け入れてくれてありがとう。
他の人に嫁いでいたら、一体どうなっていたことか」
婚姻の当日から妻として閨に連れ込まれていたなら、自分の心はその時点で死んでいたのではないか。
今までは恐ろしすぎて想像すら出来なかったことだ。幸せになった今だからこそ、考える余裕がある。
「それを想像したら、存在していない相手だろうと始末したくなる」
抱き寄せる腕に力がこもり、声も低くなる夫。なのに全く怖くない。それだけ自分を求めて、誰にも渡したくないと願ってくれているのだから。
だけど過去の彼の言動に悲しんだのも事実だ。少しくらいは、その時の切なさを知ってもらいたい。
「でも貴方、私をテレンス様に嫁がせようと思っていたでしょう?」
「何故それを? テリーが……言う筈ないよな」
ミルズ公爵の嫡男にジュリアを娶る気はないか打診したことがある。
その時、決してジュリア本人には言うなと釘を刺されたのだ。彼が伝えたとは思えない。
「嫌でも分かるわ。私たちを二人きりで話させようとするんだもの」
テレンスとジュリアは一つ違いで、それぞれの学年で首席だ。入学前からの知り合いでもあり、よく話す機会がある。
だけどお互いにそんな気は全くなかった。ジュリアはニコラスしか見えていないし、テレンスは幼なじみの侯爵令嬢に夢中なのだから。
「ごめん。俺は本当に、何度も君を傷付けていたよな」
「私のせいだとは分かっているの」
年が近く、決まった相手がいない令息で、ジュリアがあまり怖がらずに話せる相手は殆どいない。彼女に幸せな婚姻をさせてやりたいと考えていた頃のニコラスなら、仕方のないこと。
ジュリア本人も分かっている。
そもそも男性恐怖症はまだ治っていない。平気な相手も増えたものの、初対面なら身体が震える。
顔を見られるようになっただけでも御の字だとニコラスは励ましているが、このままでは社交もマトモにこなせない。ニコラスの妻に相応しくないのは自分でもよく分かっている。
だけど誰にもこの場所を譲らない。彼が求めてくれるのだから、何を言われようが負けないつもりだ。
「そうは言うが、婦人は婚姻の有無に関わらず、女性同士の社交が殆どだろう。
そもそも自分の妻が他の男と話すのを嫌がる当主も少なくないぞ」
ミルズ公爵やカーティス侯爵はその代表例だ。
彼らの夫人は男性が苦手な訳ではないが、夜会などでも夫以外の異性とは殆ど話さない。挨拶も女性相手でなければ、それぞれの夫が対応してしまう。ダンスなど以ての外。
そしてニコラスはその二人に輪をかけて嫉妬深いと自覚している。ジュリアが平気だったとしても、きっと挨拶すらさせたくないと思っていただろう。
「言われてみれば、そうかも」
姉が親類縁者や使用人以外の異性と話すところを殆ど見たことがない。ミルズ公爵は、ほぼ親類のような特別枠だ。
ミルズ公爵夫人も社交界に君臨しているけれど、やはり公爵や夫妻の息子たち以外の男性と話している姿は記憶にない。
ジュリアは夜会などで一緒になった彼女たちの様子を思い返して納得する。
「君は既に俺の妻として事業に携わっている。その手腕は折り紙付きだ。
家政の取り仕切りも素晴らしい。何も問題ないだろう」
そもそも、ジュリアでなければ娶らない。
最初のきっかけは同情だが、今こうなっているのは、ニコラス自身が心から彼女を求めたから。
ジュリアがほしい。ジュリア以外は要らない。
それが偽らざる本音だ。
「誰が何と言おうと、君以外に俺の妻に相応しい女性なんていない」
そう告げながら力強く抱き込む夫の腕の中で、抱えきれない程の幸福に酔い痴れる。
そして起きた瞬間から言いたかった言葉を告げる。
「ニコラス・ワイルド辺境伯閣下。
ただ一人の、私の愛する旦那様。
この世に生まれ、私を受け入れ愛してくれてありがとう。
お誕生日おめでとうございます。
これからも私の夫でいて下さい」
大好きな笑顔と共に降ってくる唇を受け止めながら、本当の妻としてニコラスと共にある喜びを噛みしめた。
~~~~~~~~
この話はこれが最終話となります。
ブクマや評価、エールなど、言葉だけで伝わるとは思えない程に励みになっていました。本当に感謝しております。
この二人の馴れ初め話が中途半端なのですが、実は全然違う話を思いついて、今はそちらを書き始めています。
そちらはほぼ全話がR18になるのでお付き合い戴けないかもしれませんが、もし気が向いたなら覗いてやって下さい。
皆様が良い年末年始をお過ごしになられますよう願っております。
それでは心からの感謝を込めて、これにて完結とさせて戴きます。
お読み下さり、ありがとうございました。
この幸せは先月まではあり得なかったこと。
静かに目を開けると、いつもこちらを見つめている彼が、珍しくまだ眠っている。無理もない。
彼は襲撃未遂の後からずっと忙しく動いていた。隣国への強行軍もやってのけて、帰ってきた翌日には、また諸々の手続きをして友人のミルズ公爵閣下に一連の出来事の説明。その翌日が今日だ。
あんな怒涛の勢いで全てを片付け、自分との時間もしっかりとってくれて。もう人間を卒業しているくらいの体力を誇る彼でも、これは疲れるだろう。
しばらく見つめていると、長い睫毛が微かに震え、瞼が薄く開かれる。その様を見ているだけで、こんなにも感動できるものだとジュリアは知らなかった。
何故、夫がいつも飽きもせずに見ているのか、今やっとその解を得たと彼女は思う。
「ジリー?! どうしたんだ!!」
そう言うなり飛び起きて顔を覗き込む夫に困惑するしかない。
彼女は今朝、彼が起きた瞬間に言いたかった言葉がある。だが勢いに呑まれ、それも引っ込んでしまった。
「え? 何が?」
「泣いてる」
そっと目元を撫でた指先で、掬いとった涙を見せる。
「俺が何か悲しませたのか? それとも君を困らせる不届き者がまだいるのか?」
矢継ぎ早に質問を投げかける彼の纏う空気が剣呑なものに変わっていく。
もう押されている場合ではない。
ジュリアの敵を認識したニコラスは、言葉を選ばずに言うなら歩く災禍だ。どこにどれだけの被害が及ぶか想像もしたくない。
ジュリアは急いで誤解を解くことにした。
「違うの! 貴方を見ていると、何故か感動して」
自分のせいで誰かが大変な思いをするのも嫌だし、ニコラスが自分を悲しませたというあらぬ思い違いをさせたくない。
夢中になって自分が感じたことを詳らかに言い募っている合間に、ふと気付く。彼の顔が赤くなっている。
「どうしたの? 顔が赤い」
「……反則だろう。可愛すぎ」
そのまま抱き込まれ、彼の鼓動の速さに驚く。
「ドキドキしてる」
「今更か? あんな可愛いことを言われたら当たり前だろう」
以前からジュリアに触れる時はこうだったと言われ、どうして気付かなかったのか疑問に思う。
「ジリーは俺以上にドキドキしてたからな」
「そんなことっ……あるかも」
ニコラスにただ一人の女性として触れられる。夢にまで見た状況に、おかしくなりそうな程の歓びを感じるのも無理はない。
今は彼の様子にどこか悪いのかと注意しているから気付けたのだろう。
「あーもう、可愛い。可愛いが完全武装して殴り込みにきた」
「何? それ」
少しばかり言動がおかしい夫に笑っていると、見惚れるまでに秀麗な顔が近付く。
そして慣れ親しんだ感触が唇に重なる。この流れは駄目なやつだ。
今日は二人とも仕事の予定はない。だからと言って、このままなし崩しに組んず解れつは困る。それで一日が終わってしまう。
「待って! ニック、今日は」
「分かってる。俺もそのために必死になったんだから」
笑いながらすぐにやめる彼の目は、いつもよりは凪いでいる。確かにそのまま貪るつもりではなかったようだ。
安心すると同時に、肩透かしをくらったような、期待外れのような気がしてしまう。
もう充分すぎる程に愛され、身体も満たされているのに。それでもまた求める貪欲さが自分でも理解できない。
彼の目を見て、その腕に抱かれると、全ての思考が溶かされる。そして自分の中にあるのは彼だけになっていく。
それを怖いと思わないどころか、堪らなく幸せだ。
ジュリアを見つめているニコラスは、込み上げる想いを堪えている。
愛くるしい妻に気持ちが抑えられない。自分の内から溢れる愛に溺れて、いつか窒息してしまうのではないかとすら思う。
愛らしい。
狂おしい程に愛しい。
何があろうと守りたい。
夫から溢れ出る金の光に満たされた部屋にも動じることなく、ジュリアは目を細める。
もう何度も見たから気にしていない訳ではない。最初の時からこれを怖いとも変だとも思わなかった。
「グリフォンの巣は黄金で出来ているのよね」
「確かにそう言われているな」
これは間違いなく自分を守りたいと願う夫の心の表れ。
だから自分がこの光に包まれていたいと思うのも、何も不思議ではない。
この安全な巣の中で、ひたすら彼に愛されていたいと希う。それは無理からぬこと。
あの夜、たとえ彼に拒絶されていたとしても、決して諦めなかっただろう。
彼と過ごして一年が経つ頃には既に分かっていた。この人しかいないと。自分の心を全て傾けて、恥も外聞もなく求めるべき相手だと。
まだ子供なのに何が分かるのか。
姉に言われるまでもなく自身がそう思い、何度も自問を繰り返した。
その度に心が訴える。この人だけだと。
そして求め続けた結果、この日を彼の正真正銘の妻として迎えている。
こんなに幸せで良いのかと怖くなる程だ。
「ジュリア、俺の妻になってくれてありがとう」
ジュリアを抱き寄せたまま、ニコラスが囁く。
「こちらこそ、私を受け入れてくれてありがとう。
他の人に嫁いでいたら、一体どうなっていたことか」
婚姻の当日から妻として閨に連れ込まれていたなら、自分の心はその時点で死んでいたのではないか。
今までは恐ろしすぎて想像すら出来なかったことだ。幸せになった今だからこそ、考える余裕がある。
「それを想像したら、存在していない相手だろうと始末したくなる」
抱き寄せる腕に力がこもり、声も低くなる夫。なのに全く怖くない。それだけ自分を求めて、誰にも渡したくないと願ってくれているのだから。
だけど過去の彼の言動に悲しんだのも事実だ。少しくらいは、その時の切なさを知ってもらいたい。
「でも貴方、私をテレンス様に嫁がせようと思っていたでしょう?」
「何故それを? テリーが……言う筈ないよな」
ミルズ公爵の嫡男にジュリアを娶る気はないか打診したことがある。
その時、決してジュリア本人には言うなと釘を刺されたのだ。彼が伝えたとは思えない。
「嫌でも分かるわ。私たちを二人きりで話させようとするんだもの」
テレンスとジュリアは一つ違いで、それぞれの学年で首席だ。入学前からの知り合いでもあり、よく話す機会がある。
だけどお互いにそんな気は全くなかった。ジュリアはニコラスしか見えていないし、テレンスは幼なじみの侯爵令嬢に夢中なのだから。
「ごめん。俺は本当に、何度も君を傷付けていたよな」
「私のせいだとは分かっているの」
年が近く、決まった相手がいない令息で、ジュリアがあまり怖がらずに話せる相手は殆どいない。彼女に幸せな婚姻をさせてやりたいと考えていた頃のニコラスなら、仕方のないこと。
ジュリア本人も分かっている。
そもそも男性恐怖症はまだ治っていない。平気な相手も増えたものの、初対面なら身体が震える。
顔を見られるようになっただけでも御の字だとニコラスは励ましているが、このままでは社交もマトモにこなせない。ニコラスの妻に相応しくないのは自分でもよく分かっている。
だけど誰にもこの場所を譲らない。彼が求めてくれるのだから、何を言われようが負けないつもりだ。
「そうは言うが、婦人は婚姻の有無に関わらず、女性同士の社交が殆どだろう。
そもそも自分の妻が他の男と話すのを嫌がる当主も少なくないぞ」
ミルズ公爵やカーティス侯爵はその代表例だ。
彼らの夫人は男性が苦手な訳ではないが、夜会などでも夫以外の異性とは殆ど話さない。挨拶も女性相手でなければ、それぞれの夫が対応してしまう。ダンスなど以ての外。
そしてニコラスはその二人に輪をかけて嫉妬深いと自覚している。ジュリアが平気だったとしても、きっと挨拶すらさせたくないと思っていただろう。
「言われてみれば、そうかも」
姉が親類縁者や使用人以外の異性と話すところを殆ど見たことがない。ミルズ公爵は、ほぼ親類のような特別枠だ。
ミルズ公爵夫人も社交界に君臨しているけれど、やはり公爵や夫妻の息子たち以外の男性と話している姿は記憶にない。
ジュリアは夜会などで一緒になった彼女たちの様子を思い返して納得する。
「君は既に俺の妻として事業に携わっている。その手腕は折り紙付きだ。
家政の取り仕切りも素晴らしい。何も問題ないだろう」
そもそも、ジュリアでなければ娶らない。
最初のきっかけは同情だが、今こうなっているのは、ニコラス自身が心から彼女を求めたから。
ジュリアがほしい。ジュリア以外は要らない。
それが偽らざる本音だ。
「誰が何と言おうと、君以外に俺の妻に相応しい女性なんていない」
そう告げながら力強く抱き込む夫の腕の中で、抱えきれない程の幸福に酔い痴れる。
そして起きた瞬間から言いたかった言葉を告げる。
「ニコラス・ワイルド辺境伯閣下。
ただ一人の、私の愛する旦那様。
この世に生まれ、私を受け入れ愛してくれてありがとう。
お誕生日おめでとうございます。
これからも私の夫でいて下さい」
大好きな笑顔と共に降ってくる唇を受け止めながら、本当の妻としてニコラスと共にある喜びを噛みしめた。
~~~~~~~~
この話はこれが最終話となります。
ブクマや評価、エールなど、言葉だけで伝わるとは思えない程に励みになっていました。本当に感謝しております。
この二人の馴れ初め話が中途半端なのですが、実は全然違う話を思いついて、今はそちらを書き始めています。
そちらはほぼ全話がR18になるのでお付き合い戴けないかもしれませんが、もし気が向いたなら覗いてやって下さい。
皆様が良い年末年始をお過ごしになられますよう願っております。
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◆◇◆◇◆◇◆
読んでくださり感謝いたします。
すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。
ゆっくり更新していきます。
誤字脱字も見つけ次第直していきます。
よろしくお願いします。
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