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君だけが ★
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カーティス邸への侵入事件の後、最初に軍を呼び寄せた時は、ニコラスは純粋に護衛だけをさせるつもりだった。特に何かを企んだ訳ではない。正直に言うと、少しばかり王家への示威も意図してはいたが。
だが流石に放っておけなくなった。
今すぐあの馬鹿兄弟を始末しないと、王族全員の血が必要となってしまう。
それは面倒、もとい寝覚めが悪い。
それに王家を丸ごと消滅させると、その後で血祭り、ではなく祭り上げる贄を決めるのも時間がかかってしまう。
無害な者は生かしておいて、雑事に利用する方が良い。
しかし最大の問題は、証拠が出揃った時点で、ニコラスの誕生日が近くなってしまっていたことだ。
今年はジュリアと本当の夫婦になって初めての誕生日。つまり可愛い妻が夫を祝うのを心から楽しみにしている。
楽しみだと口にする度に、背後に花が咲き乱れるような笑顔を見せてくれる程だ。
もし誕生日を共に過ごせないとなったらどうなるか。
きっと彼女は内心を押し隠して笑顔で見送ってくれる。それでも悲しい思いをさせたくない。
百億歩くらい譲って一時的に悲しませたとしても、彼女の願いは叶えたい。
よく考えなくても、王都は西の国境に近いではないか。だからこそ標的に近付きやすいと思い、隣国は阿呆な計画を実行したのだろう。
そして今は我が軍の一部が王都にいる。タウンハウスの守りに半数以上を残しても、西の隣国程度なら余裕だろう。
何故なら、どこの国でも主力となるのは騎馬部隊。それが敵方だけ機能しなくなるのだから。
グリフォンの血の影響か、自分を見たら敵の軍馬は挙って逃げ出してしまう。なのに味方の馬は何故か懐くという意味不明さではあるが、おかげでマトモな戦にならない。
きっと戻れる。敵を無力化し、後の処理は誰かに押し付け、もといお願いして、さっさと帰ろう。
こんな物騒な男がいない方が、きっと話し合いも上手くいく。時間がかかりそうなら、隣国の王侯貴族を鏖にするとでも言えばゴネる心配もないだろう。
人の心はあるのかと問い質したくなることを考えているニコラスだが、実際にはその脅し文句を使う必要はなかった。
殺気立つ彼を見ただけで、敵味方に関係なく、皆が一刻も早く帰ってほしいと望んだからだ。
喜び勇んで戻る彼の背中を見送った者たちは、急に呼吸がしやすくなったと驚いた。それ程の緊張を強いられていたらしい。
「普段の温厚な閣下はどこへ行ってしまわれたのか」
「諦めろ。以前から奥方絡みだと、子連れの母熊よりも見境がなかった」
肩を叩き合い、敵軍よりも恐ろしい相手が去った喜びを分かち合う彼ら。その勢いのままに戦後処理を進めたおかげか、全てが滞りなく片付いた。
これもある意味ではニコラスの功績と言える。
「ジュリア、帰ったぞ!」
周囲を恐怖のどん底に叩き込んだ勢いのまま王都に戻り、自邸に飛び込むニコラス。
途中からは馬を気遣い自分の足で走ったのだが、どの馬も彼に追い付けなかった。もはやいつ空を飛んでも不思議ではない。
「ニコラス?! 本物なの? 早かったのね」
「ただいま、ジュリア。
本物に決まってるだろう。一刻も早く君に会いたくて走ってきたんだ」
汚れきった身体で愛妻を抱きしめる訳にもいかないので、急いで湯浴みの準備をさせる。
だが喜びを爆発させるジュリアはお構いなしに飛びつき、困惑するニコラスを抱きしめ存在を確かめた。
「お帰りなさい! まさか本当に間に合うなんて!!」
「俺がジリーとの約束を破ったことがあったか?」
自信満々に問いかけるその言葉は、初めて結ばれた夜にも彼が口にしたもの。
その時のことを思い出し、思わず涙ぐむジュリア。
「ない、けど……流石に今回は無理だと思ってたから」
必ず誕生日までには帰ると約束してくれたが、自分を慰めるために言ってくれたのだと思っていた。そんな優しさを無駄にしないよう、笑って送り出したのに。
「俺は守れない約束はしない。君にだけは、絶対に」
だからこそ周囲に甚大な精神的被害を齎したのだが、それをジュリアは知る由もない。
「ねえニック、本当に入るの?」
「当然。疲れて帰ったから、可愛い奥さんに癒やされたいんだ」
恥ずかしがるジュリアに構わず手早く脱がせて抱き上げ、浴室に運ぶ。
最初は恥じらっても、興が乗ればジュリアは積極的になる。今となっては本人も充分すぎる程に自覚しているので諦めて黙った。
「それにしても俺の奥さんは全てが美しいな。開きかけの薔薇の蕾ですら恥じ入る程だ」
浴室で手早く自分の身体を洗った後に、石鹸をつけた手でじっくり妻の身体を洗いながら、感嘆のあまり言葉が溢れ出るニコラス。こんなにも美しい人間が存在して良いのかとすら思ってしまう。
「やめて、大げさ」
美貌を褒められるのは慣れているジュリアだが、先ほどの言葉は軽薄な男性が口にする口説き文句のようで嬉しくない。
きっと夫も、過去には他の女性にそう言っていたのだろうと思ってしまうから尚更。
「本心なんだが、やっぱり俺らしくないか。女性を口説いたことはないからな」
「口説いたことが、ない……?」
信じがたい思いで夫を見るジュリアだが、彼は嘘をついていない。過去の相手は向こうから勝手に寄ってくるばかりで、ニコラスが自ら口説くことがなかった。
そもそも一時的な遊びの相手を口説いてまで求めようと思ったことがない。
「考えたら今こうなっているのも、私が言い寄った結果ね」
「でも今は俺も心からジュリアを求めてる。
ジュリアだけなんだ。こんなにも愛しいと思うのも、誰にも渡したくないと願うのも。
君だけが俺を熱くする。君だけが特別なんだ」
そう言うニコラスはどこか苦しそうな顔をしている。もう何度も見た、まるで縋りつくようにジュリアを求める顔だ。
苦しい思いはさせたくないのに、その顔を見る度にジュリアの心は歓喜に打ち震える。こんなにも彼に求められているのだと。
あまりの愛おしさに彼に抱きつき、唇を重ねる。自分も全く同じ気持ちなのだと伝わるように。
「ニコラス、私もそう。こんなにも誰かを愛せるとは思わなかった」
口付けが深くなると同時に、胸を包み込む手の動きも変わっていく。
最初は優しく撫でるようだったのが、指が沈む程に揉み込みながら、先端を指先が掠める。
もどかしさに腰を揺らすジュリアを押さえ、下腹部に手を持っていこうとしたら彼女が少し屈み込んだ。
「ジュリア? 何を……っ!」
胸でニコラスの昂りを挟み込んでいる。柔らかく弾力に富んだそれに挟まれる快感もさることながら、視覚が与える刺激は凄まじい。
更に昂揚する彼自身に気を良くしたのか、切っ先に舌を絡めて新たな刺激を与え始めた。
「くっ……どこで、こんなことを」
「兵士さんたちの話が聞こえたの」
兵士たちの休憩中の猥談を聞いて実践したようだ。
勿論、ニコラスはこの行為は過去に経験済みだ。その時はそこそこ気持ち良いが、ありがたがる程のものかと不思議に思っていた。
なのに今与えられている快感は比べものにならない。
直接的な快楽だけでも桁違いなのに、視覚がもはや暴力的なまでの愉悦を与え続ける。
それと共に欲が膨れ上がる。
ジュリアに触れたい。思いきり啼かせ、ぐずぐずになった彼女に突き入れてかき回したい。
急き立てられるように彼女をバスソファーに座らせ、その前に跪いた。
「待って! 今日は私が」
「気持ちは嬉しいけど、俺も触れたい。ジュリアが気持ち良くなってくれると最高に興奮する」
それを聞いて黙る彼女の脚を掴み、既に蜜を垂らす秘所に口付けた。そのまま舐めとり、中に舌を侵入させる。ついでに既に顔を覗かせ始めた小さな芽を優しく撫でると脚が痙攣し始めた。
「あっ、待って、もう……」
「今日は早いな、そんなに気持ち良い?」
「いいの、あっ! んんっ」
達した衝撃で震える彼女に休憩させることなく、今度は小さな芽を舌で攻め、内部に指を突き入れる。
「やあっ! もう、だめぇ」
「またイったな、今日は本当に早い」
指で腹の裏側を擦りながら手首を軽く捻ると、ジュリアの脚が跳ね上がる。そのまま声もなく達する姿に煽られ、膝を持ち上げるとそのまま貫いた。
「っ、おっきいい、あ、すごい」
「少し期間が空いたからやっぱり抵抗があるな」
だが蕩けきった顔の彼女を見て、遠慮は不要だと突き上げる。さっきも攻め立てた腹側を擦るように動くと、声が一段と浴室に響く。
「そこっ、もっとして、おねがい」
「ここ? そんなに気持ち良い?」
「いい、もう、どうなっても、いいくらい……あああっ!」
あまりの発言につい強く突き上げたせいか、すぐに達した彼女に更に煽られ、止まらず突き上げる。絞りとるような蠕きに堪らず熱を放つと、更に収縮が激しくなった。
即座にジュリアを立ち上がらせると壁に手をつかせ、後ろから貫く。その一瞬だけ背中が反り返り、すぐに弛緩する様に気付いた。
「もしかして、イった?」
腰を支えながら突くと、また声もなく反り返る背に口付けを落とす。
「やっぱりイったな、軽めだけど。挿れただけでイく程、今日はいっぱい気持ち良くなってくれたんだな」
「んああっ、まだ、イってるの」
実は知ってる。
声に出さずに返事しながら、お構いなしに突き入れた。
ほんの数日だけしか離れていないのに、もっと長い間会っていなかったように感じる。
こうして彼に抱かれていると、離れていた間の寂しさを埋めてもらっているようだとすら思う。
気持ち良い。心も身体も満たされる。
内部に飛び散る熱を感じながら次をねだるジュリアは、この時がずっと続けば良いと願っていた。
~~~~~~~~
読んで下さり、ありがとうございます。この話は次で最終話となります。
残り一話、お付き合い戴けますと幸いです。
だが流石に放っておけなくなった。
今すぐあの馬鹿兄弟を始末しないと、王族全員の血が必要となってしまう。
それは面倒、もとい寝覚めが悪い。
それに王家を丸ごと消滅させると、その後で血祭り、ではなく祭り上げる贄を決めるのも時間がかかってしまう。
無害な者は生かしておいて、雑事に利用する方が良い。
しかし最大の問題は、証拠が出揃った時点で、ニコラスの誕生日が近くなってしまっていたことだ。
今年はジュリアと本当の夫婦になって初めての誕生日。つまり可愛い妻が夫を祝うのを心から楽しみにしている。
楽しみだと口にする度に、背後に花が咲き乱れるような笑顔を見せてくれる程だ。
もし誕生日を共に過ごせないとなったらどうなるか。
きっと彼女は内心を押し隠して笑顔で見送ってくれる。それでも悲しい思いをさせたくない。
百億歩くらい譲って一時的に悲しませたとしても、彼女の願いは叶えたい。
よく考えなくても、王都は西の国境に近いではないか。だからこそ標的に近付きやすいと思い、隣国は阿呆な計画を実行したのだろう。
そして今は我が軍の一部が王都にいる。タウンハウスの守りに半数以上を残しても、西の隣国程度なら余裕だろう。
何故なら、どこの国でも主力となるのは騎馬部隊。それが敵方だけ機能しなくなるのだから。
グリフォンの血の影響か、自分を見たら敵の軍馬は挙って逃げ出してしまう。なのに味方の馬は何故か懐くという意味不明さではあるが、おかげでマトモな戦にならない。
きっと戻れる。敵を無力化し、後の処理は誰かに押し付け、もといお願いして、さっさと帰ろう。
こんな物騒な男がいない方が、きっと話し合いも上手くいく。時間がかかりそうなら、隣国の王侯貴族を鏖にするとでも言えばゴネる心配もないだろう。
人の心はあるのかと問い質したくなることを考えているニコラスだが、実際にはその脅し文句を使う必要はなかった。
殺気立つ彼を見ただけで、敵味方に関係なく、皆が一刻も早く帰ってほしいと望んだからだ。
喜び勇んで戻る彼の背中を見送った者たちは、急に呼吸がしやすくなったと驚いた。それ程の緊張を強いられていたらしい。
「普段の温厚な閣下はどこへ行ってしまわれたのか」
「諦めろ。以前から奥方絡みだと、子連れの母熊よりも見境がなかった」
肩を叩き合い、敵軍よりも恐ろしい相手が去った喜びを分かち合う彼ら。その勢いのままに戦後処理を進めたおかげか、全てが滞りなく片付いた。
これもある意味ではニコラスの功績と言える。
「ジュリア、帰ったぞ!」
周囲を恐怖のどん底に叩き込んだ勢いのまま王都に戻り、自邸に飛び込むニコラス。
途中からは馬を気遣い自分の足で走ったのだが、どの馬も彼に追い付けなかった。もはやいつ空を飛んでも不思議ではない。
「ニコラス?! 本物なの? 早かったのね」
「ただいま、ジュリア。
本物に決まってるだろう。一刻も早く君に会いたくて走ってきたんだ」
汚れきった身体で愛妻を抱きしめる訳にもいかないので、急いで湯浴みの準備をさせる。
だが喜びを爆発させるジュリアはお構いなしに飛びつき、困惑するニコラスを抱きしめ存在を確かめた。
「お帰りなさい! まさか本当に間に合うなんて!!」
「俺がジリーとの約束を破ったことがあったか?」
自信満々に問いかけるその言葉は、初めて結ばれた夜にも彼が口にしたもの。
その時のことを思い出し、思わず涙ぐむジュリア。
「ない、けど……流石に今回は無理だと思ってたから」
必ず誕生日までには帰ると約束してくれたが、自分を慰めるために言ってくれたのだと思っていた。そんな優しさを無駄にしないよう、笑って送り出したのに。
「俺は守れない約束はしない。君にだけは、絶対に」
だからこそ周囲に甚大な精神的被害を齎したのだが、それをジュリアは知る由もない。
「ねえニック、本当に入るの?」
「当然。疲れて帰ったから、可愛い奥さんに癒やされたいんだ」
恥ずかしがるジュリアに構わず手早く脱がせて抱き上げ、浴室に運ぶ。
最初は恥じらっても、興が乗ればジュリアは積極的になる。今となっては本人も充分すぎる程に自覚しているので諦めて黙った。
「それにしても俺の奥さんは全てが美しいな。開きかけの薔薇の蕾ですら恥じ入る程だ」
浴室で手早く自分の身体を洗った後に、石鹸をつけた手でじっくり妻の身体を洗いながら、感嘆のあまり言葉が溢れ出るニコラス。こんなにも美しい人間が存在して良いのかとすら思ってしまう。
「やめて、大げさ」
美貌を褒められるのは慣れているジュリアだが、先ほどの言葉は軽薄な男性が口にする口説き文句のようで嬉しくない。
きっと夫も、過去には他の女性にそう言っていたのだろうと思ってしまうから尚更。
「本心なんだが、やっぱり俺らしくないか。女性を口説いたことはないからな」
「口説いたことが、ない……?」
信じがたい思いで夫を見るジュリアだが、彼は嘘をついていない。過去の相手は向こうから勝手に寄ってくるばかりで、ニコラスが自ら口説くことがなかった。
そもそも一時的な遊びの相手を口説いてまで求めようと思ったことがない。
「考えたら今こうなっているのも、私が言い寄った結果ね」
「でも今は俺も心からジュリアを求めてる。
ジュリアだけなんだ。こんなにも愛しいと思うのも、誰にも渡したくないと願うのも。
君だけが俺を熱くする。君だけが特別なんだ」
そう言うニコラスはどこか苦しそうな顔をしている。もう何度も見た、まるで縋りつくようにジュリアを求める顔だ。
苦しい思いはさせたくないのに、その顔を見る度にジュリアの心は歓喜に打ち震える。こんなにも彼に求められているのだと。
あまりの愛おしさに彼に抱きつき、唇を重ねる。自分も全く同じ気持ちなのだと伝わるように。
「ニコラス、私もそう。こんなにも誰かを愛せるとは思わなかった」
口付けが深くなると同時に、胸を包み込む手の動きも変わっていく。
最初は優しく撫でるようだったのが、指が沈む程に揉み込みながら、先端を指先が掠める。
もどかしさに腰を揺らすジュリアを押さえ、下腹部に手を持っていこうとしたら彼女が少し屈み込んだ。
「ジュリア? 何を……っ!」
胸でニコラスの昂りを挟み込んでいる。柔らかく弾力に富んだそれに挟まれる快感もさることながら、視覚が与える刺激は凄まじい。
更に昂揚する彼自身に気を良くしたのか、切っ先に舌を絡めて新たな刺激を与え始めた。
「くっ……どこで、こんなことを」
「兵士さんたちの話が聞こえたの」
兵士たちの休憩中の猥談を聞いて実践したようだ。
勿論、ニコラスはこの行為は過去に経験済みだ。その時はそこそこ気持ち良いが、ありがたがる程のものかと不思議に思っていた。
なのに今与えられている快感は比べものにならない。
直接的な快楽だけでも桁違いなのに、視覚がもはや暴力的なまでの愉悦を与え続ける。
それと共に欲が膨れ上がる。
ジュリアに触れたい。思いきり啼かせ、ぐずぐずになった彼女に突き入れてかき回したい。
急き立てられるように彼女をバスソファーに座らせ、その前に跪いた。
「待って! 今日は私が」
「気持ちは嬉しいけど、俺も触れたい。ジュリアが気持ち良くなってくれると最高に興奮する」
それを聞いて黙る彼女の脚を掴み、既に蜜を垂らす秘所に口付けた。そのまま舐めとり、中に舌を侵入させる。ついでに既に顔を覗かせ始めた小さな芽を優しく撫でると脚が痙攣し始めた。
「あっ、待って、もう……」
「今日は早いな、そんなに気持ち良い?」
「いいの、あっ! んんっ」
達した衝撃で震える彼女に休憩させることなく、今度は小さな芽を舌で攻め、内部に指を突き入れる。
「やあっ! もう、だめぇ」
「またイったな、今日は本当に早い」
指で腹の裏側を擦りながら手首を軽く捻ると、ジュリアの脚が跳ね上がる。そのまま声もなく達する姿に煽られ、膝を持ち上げるとそのまま貫いた。
「っ、おっきいい、あ、すごい」
「少し期間が空いたからやっぱり抵抗があるな」
だが蕩けきった顔の彼女を見て、遠慮は不要だと突き上げる。さっきも攻め立てた腹側を擦るように動くと、声が一段と浴室に響く。
「そこっ、もっとして、おねがい」
「ここ? そんなに気持ち良い?」
「いい、もう、どうなっても、いいくらい……あああっ!」
あまりの発言につい強く突き上げたせいか、すぐに達した彼女に更に煽られ、止まらず突き上げる。絞りとるような蠕きに堪らず熱を放つと、更に収縮が激しくなった。
即座にジュリアを立ち上がらせると壁に手をつかせ、後ろから貫く。その一瞬だけ背中が反り返り、すぐに弛緩する様に気付いた。
「もしかして、イった?」
腰を支えながら突くと、また声もなく反り返る背に口付けを落とす。
「やっぱりイったな、軽めだけど。挿れただけでイく程、今日はいっぱい気持ち良くなってくれたんだな」
「んああっ、まだ、イってるの」
実は知ってる。
声に出さずに返事しながら、お構いなしに突き入れた。
ほんの数日だけしか離れていないのに、もっと長い間会っていなかったように感じる。
こうして彼に抱かれていると、離れていた間の寂しさを埋めてもらっているようだとすら思う。
気持ち良い。心も身体も満たされる。
内部に飛び散る熱を感じながら次をねだるジュリアは、この時がずっと続けば良いと願っていた。
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読んで下さり、ありがとうございます。この話は次で最終話となります。
残り一話、お付き合い戴けますと幸いです。
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