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疾風迅雷
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「何でお前はいつもそうなんだ?」
「お前は好きに動ける立場じゃないだろう? だから俺が一思いにやったんだ」
カーティス邸の襲撃未遂は西の隣国と通じた王弟が首謀者だった。
あまりに推測通りで笑ってしまったが、ことが起きるまで気付かなかったニコラスも自身の迂闊さを悔やんでいる。西の辺境伯はもっと大変ではあったが。
王弟は幽閉中で、外部との一切の接触を絶たせているからと油断した結果がこれだ。初めのうちだけでなく、最期まで自身が徹底的に管理すべきだった。今更だが。
「だからと言って、王まで処刑しなくても」
「お前を除いた全ての上位貴族家の当主が賛同したことだ。間違っても助けようなどと思うなよ、愛妻を含めた一族郎党を道連れにしたくないのなら」
王族の処遇を決める局面では、ミルズ公爵に発言権はない。ミルズ家の本当の役割を知る高位貴族家の当主たちが、そう決めた。
二年前に王弟の幽閉を決めた時もそうだ。
当時、事情を知らない伯爵家の当主たちは不思議そうな顔をしていたが、ニコラスと近しい間柄だから冷静な判断が出来ないと言われ納得した。だから今回は誰も気にせず話し合いはすぐに終わり、今に至る。
前回は王弟の幽閉に反対した数人の伯爵も、今回は無理だと匙を投げた。これを庇い立てすれば、自身のみならず、一族の破滅は目に見えているのだから。
以前から王弟は阿呆だ馬鹿だとは思っていたが、まさかアイツの幽閉に賛同した全員が標的だったとは。
大まかなところは察していたニコラスですら、予想を上回る救いようのなさに思わず言葉を失った程だ。
当然ながら最も恨まれているのはニコラスなのだが。
だからジュリアとカーティス家の面々を害するための劇物が用意されていたらしい。すぐに訪れる死が優しく思える程の苦痛に苛まれるように。
それが成功すれば、次はニコラスの姉妹と、彼女たちの家族。
周囲のみを標的にしたのは、ニコラス本人には手出しが出来ないから。それが一番の理由だが、親しい者が苦しむ姿を見る方が、より耐えがたい思いをするだろうという狙いもあったらしい。
確かにニコラスにはそれが何より堪えるだろう。本当に皆が無事で良かった。
幽閉中の王弟を自由に動き回らせていたのは王だ。そのために替え玉まで用意していたのだから、責任をとらせるのは当然のこと。
彼らのせいで、この国の機能が完全に麻痺するところだった。あり得ないことだが、万が一にも成功していたら、隣国は苦もなくこの国を手に入れていただろう。
王族が国家反逆罪とは恐れ入る。
おかげで王族全員を処刑すべきだとの主張も多かった。それを抑えたのだから、感謝されるならまだしも、恨まれる筋合いはない。そうニコラスは思っているし、周囲からもお人好しだと呆れられた。
「マイク、お前の立場でも連中の言いなりになる必要はなかったんだぞ」
むしろ駄目なことは駄目だと指摘し、諌めるべきだった。本当の意味で彼らを守りたいなら、それを怠るべきではない。
とは言え、己の立場も弁えず、何をしても赦して守ってくれる相手に甘え寄りかかるだけ。そんな者が玉座に座っていたこと自体がおかしかった。
「俺も首をすげ替えずに放置した責任があるけどな」
ニコラスがその気になれば、現王は王太子時代に廃位となっていただろう。
だが、いざという時に斬らせるための首が、あまりに善良であれば心が痛む。
そのような事態を招かないように鍛錬や情報収集は怠らないようにしているが、何事にも絶対という保証はない。情報を掴み損ねた今回がまさにそうだ。
だから全てにおいて辛うじて及第点のヤツを国の顔に据えてお茶を濁していた。もう同じ徹は踏まない。
「俺もおかしいとは思っていた。だがこれが我が家のあり方だから、と目を背けていたんだ」
物心つく頃から嫡男として洗脳に近い教育を受けていたミルズ公爵に、その呪縛を解くのは難しかった。
全てにおいて王族のために便宜を図り、彼らの意向に従う。それに反するようなら、倫理や道理は後回しにしてでも。
それが責任ある者として、正しいあり方だとは思えない。だけどそれが家の存在意義だという刷り込みには逆らえなかった。
「安心しろ、お前の息子はもっと冷めた目で王家を見ている」
今回のことも、ニコラスの予想に違わず真っ先に王弟を調べていた。父が王に絆されないよう、そのまま辺境伯邸にとどめてほしいとの伝言を受けとった時は笑ったが。
過去には彼にならジュリアを任せられると思ったことすらある。彼女も年の近い彼をさほど恐れていない。上手くいくのではないか。
そう思い彼に話を持ちかけると、呆れた顔で絶対にその話をジュリア本人にはするなと釘を刺された。自分には既に婚約者候補がいるから無理だ、とも。
勝手に思い込んだのは失礼だったと謝り、その話は終わった。
今にして思えば、ジュリアを他の誰かに委ねるなどあり得ない。
むしろ常にこの腕の中に囲い込んでいたいと願う程なのに。
初めて彼女に会った時には、こんな未来を想定していなかった。
いつか幸せな家庭を築く彼女を遠くから見守れたなら、嘲笑を甘んじて受けてまで、この縁談に頷いた意義がある。
そう思っていたのに。
今となっては彼女を腕に抱かずに眠れる気がしない。
警戒もせずにその身を自分に預け、安心しきった顔で眠るジュリア。
そんな彼女が隣にいないと、夜はどんなに長く空虚なものとなるだろう。
「あー、その、ニック。細君のことを思い浮かべるのは、出来れば後にしてくれると嬉しいんだが」
居心地の悪さに耐えきれず頼む。そうしないと、まるで艶話をしているかのような空気を漂わせる悪友を元に戻せなかっただろう。
「ああ、悪い」
「いや、幸せそうで何よりだ」
その幸せを踏みにじろうとした連中を赦せない。その暴挙に出るような下地を自分が作り上げ、何でも許されると彼らに勘違いさせたことを、決して忘れてはいけない。
ミルズ公は、長く縛り付けられていた鎖が崩れゆくのを感じていた。
「確かにありがたいことだ。お前が俺の呪縛を解いてくれたんだな」
「テリーの功績だから。孝行者の息子に感謝しろよ」
いつか全て聞いてみたい。息子が何を思い、動いたのかを。
きっと少し眉をひそめながら、仕方なさそうに話すのだろう。
「王家を存続させるのは分かった。だが誰を玉座に据えるつもりだ?」
ミルズ公爵家は、その一切に関われない。それは古くからのしきたりだ。
「王妹が例の公爵家に嫁いでいるだろう。跡取りも優秀だ」
「本気か?」
その公爵家は、ニコラスの元婚約者の生家である。
彼女の不貞を長らく見過ごし、事態が発覚してからも誠意の欠片も見せなかった父親が君臨していた曰く付きの家だ。少なくともニコラスにとっては。
なのにその家の者を、平然と次の君主に据えるつもりなのか。
「使える者を使わずしてどうする」
本来なら、ニコラスは彼女を女王に推したかった。それ程に優秀でその人柄も王の資質に恵まれていた元王女殿下だ。
もう少し兄たちと年齢が近ければ、きっと一度は王太女にという声も上がった筈。
彼女の嫁ぎ先の公爵家も、先代はやや難ありだったが、当代は何の問題もない。
彼は年の離れた姉の不始末についても聞かされており、非公式にだがニコラスに謝罪をしていた。未だに口を噤んでいてくれることへの感謝と共に。
ニコラスは彼らに思うところはない。
おまけに夫妻の子は既に四人もいる。王家、公爵家ともに次代は安泰だ。
「それにしても、今更女王になれってのもキツくないか?」
「王の権限は更に縮小される。補佐も多いし、大丈夫だろう」
しばらくは外交も戦後処理だけになる。しかも、それは彼女の兄でもマトモに出来たとは思えない。なら誰がやっても同じだ。
「戦争もすぐに終わったしな」
「あれは戦争だったのか? 酷い有り様だったと聞いたぞ」
ニコラスは王族をまとめて拘束すると、即座に開戦を決定する当主たちに賛同した。王弟を唆したからには、隣国も覚悟は出来ているだろうと。
そのまま流れるように宣戦布告をし、呼び寄せていた私設軍隊を引き連れすぐに平定してしまった。あまりに一方的で、戦とは呼べなかったようだが。
そんな体たらくで、よくこの国を引っかき回そうとしたものだ。
そもそも戦場では、ニコラスと対峙すると敵方の軍馬が逃げ出すせいで、戦いにならないことが多い。
おまけに武器を手にしていない時の方が厄介な男だ。太刀打ちできる筈もないのに。
ニコラスが規格外だから。今回の騒動がすぐに片付いた理由を説明するには、この一言に尽きる。
しかし最大の理由は、彼が鬼気迫る形相で急いだから。
どうしてそこまで急ぐのか西の辺境伯が訊くと、奥方が彼の誕生日を祝うのを楽しみにしているからだと言われたそうだ。
「こちらの尻拭いをして下さってありがたいのですが、あの時だけは不安になりましたよ」
そう言われたミルズ公は笑うしかなかった。
今のニコラスは、ジュリアが望めば何でもしようとするだろう。
五年前には、まさか二人が結ばれる日が来るとは、夢にも思わなかった。
だが幸せな友人を見るのは嬉しいものだ。これからも仲睦まじくあり続けてほしい。
「誕生日は明日だったな、新婚夫婦を邪魔しないから安心してくれ。
少し早いが、誕生日おめでとう」
~~~~~~~~~
ブクマや評価、エールなど、本当にありがとうございます。
毎回書くのもくどいかなと控えていますが、いつも感謝しています。
「お前は好きに動ける立場じゃないだろう? だから俺が一思いにやったんだ」
カーティス邸の襲撃未遂は西の隣国と通じた王弟が首謀者だった。
あまりに推測通りで笑ってしまったが、ことが起きるまで気付かなかったニコラスも自身の迂闊さを悔やんでいる。西の辺境伯はもっと大変ではあったが。
王弟は幽閉中で、外部との一切の接触を絶たせているからと油断した結果がこれだ。初めのうちだけでなく、最期まで自身が徹底的に管理すべきだった。今更だが。
「だからと言って、王まで処刑しなくても」
「お前を除いた全ての上位貴族家の当主が賛同したことだ。間違っても助けようなどと思うなよ、愛妻を含めた一族郎党を道連れにしたくないのなら」
王族の処遇を決める局面では、ミルズ公爵に発言権はない。ミルズ家の本当の役割を知る高位貴族家の当主たちが、そう決めた。
二年前に王弟の幽閉を決めた時もそうだ。
当時、事情を知らない伯爵家の当主たちは不思議そうな顔をしていたが、ニコラスと近しい間柄だから冷静な判断が出来ないと言われ納得した。だから今回は誰も気にせず話し合いはすぐに終わり、今に至る。
前回は王弟の幽閉に反対した数人の伯爵も、今回は無理だと匙を投げた。これを庇い立てすれば、自身のみならず、一族の破滅は目に見えているのだから。
以前から王弟は阿呆だ馬鹿だとは思っていたが、まさかアイツの幽閉に賛同した全員が標的だったとは。
大まかなところは察していたニコラスですら、予想を上回る救いようのなさに思わず言葉を失った程だ。
当然ながら最も恨まれているのはニコラスなのだが。
だからジュリアとカーティス家の面々を害するための劇物が用意されていたらしい。すぐに訪れる死が優しく思える程の苦痛に苛まれるように。
それが成功すれば、次はニコラスの姉妹と、彼女たちの家族。
周囲のみを標的にしたのは、ニコラス本人には手出しが出来ないから。それが一番の理由だが、親しい者が苦しむ姿を見る方が、より耐えがたい思いをするだろうという狙いもあったらしい。
確かにニコラスにはそれが何より堪えるだろう。本当に皆が無事で良かった。
幽閉中の王弟を自由に動き回らせていたのは王だ。そのために替え玉まで用意していたのだから、責任をとらせるのは当然のこと。
彼らのせいで、この国の機能が完全に麻痺するところだった。あり得ないことだが、万が一にも成功していたら、隣国は苦もなくこの国を手に入れていただろう。
王族が国家反逆罪とは恐れ入る。
おかげで王族全員を処刑すべきだとの主張も多かった。それを抑えたのだから、感謝されるならまだしも、恨まれる筋合いはない。そうニコラスは思っているし、周囲からもお人好しだと呆れられた。
「マイク、お前の立場でも連中の言いなりになる必要はなかったんだぞ」
むしろ駄目なことは駄目だと指摘し、諌めるべきだった。本当の意味で彼らを守りたいなら、それを怠るべきではない。
とは言え、己の立場も弁えず、何をしても赦して守ってくれる相手に甘え寄りかかるだけ。そんな者が玉座に座っていたこと自体がおかしかった。
「俺も首をすげ替えずに放置した責任があるけどな」
ニコラスがその気になれば、現王は王太子時代に廃位となっていただろう。
だが、いざという時に斬らせるための首が、あまりに善良であれば心が痛む。
そのような事態を招かないように鍛錬や情報収集は怠らないようにしているが、何事にも絶対という保証はない。情報を掴み損ねた今回がまさにそうだ。
だから全てにおいて辛うじて及第点のヤツを国の顔に据えてお茶を濁していた。もう同じ徹は踏まない。
「俺もおかしいとは思っていた。だがこれが我が家のあり方だから、と目を背けていたんだ」
物心つく頃から嫡男として洗脳に近い教育を受けていたミルズ公爵に、その呪縛を解くのは難しかった。
全てにおいて王族のために便宜を図り、彼らの意向に従う。それに反するようなら、倫理や道理は後回しにしてでも。
それが責任ある者として、正しいあり方だとは思えない。だけどそれが家の存在意義だという刷り込みには逆らえなかった。
「安心しろ、お前の息子はもっと冷めた目で王家を見ている」
今回のことも、ニコラスの予想に違わず真っ先に王弟を調べていた。父が王に絆されないよう、そのまま辺境伯邸にとどめてほしいとの伝言を受けとった時は笑ったが。
過去には彼にならジュリアを任せられると思ったことすらある。彼女も年の近い彼をさほど恐れていない。上手くいくのではないか。
そう思い彼に話を持ちかけると、呆れた顔で絶対にその話をジュリア本人にはするなと釘を刺された。自分には既に婚約者候補がいるから無理だ、とも。
勝手に思い込んだのは失礼だったと謝り、その話は終わった。
今にして思えば、ジュリアを他の誰かに委ねるなどあり得ない。
むしろ常にこの腕の中に囲い込んでいたいと願う程なのに。
初めて彼女に会った時には、こんな未来を想定していなかった。
いつか幸せな家庭を築く彼女を遠くから見守れたなら、嘲笑を甘んじて受けてまで、この縁談に頷いた意義がある。
そう思っていたのに。
今となっては彼女を腕に抱かずに眠れる気がしない。
警戒もせずにその身を自分に預け、安心しきった顔で眠るジュリア。
そんな彼女が隣にいないと、夜はどんなに長く空虚なものとなるだろう。
「あー、その、ニック。細君のことを思い浮かべるのは、出来れば後にしてくれると嬉しいんだが」
居心地の悪さに耐えきれず頼む。そうしないと、まるで艶話をしているかのような空気を漂わせる悪友を元に戻せなかっただろう。
「ああ、悪い」
「いや、幸せそうで何よりだ」
その幸せを踏みにじろうとした連中を赦せない。その暴挙に出るような下地を自分が作り上げ、何でも許されると彼らに勘違いさせたことを、決して忘れてはいけない。
ミルズ公は、長く縛り付けられていた鎖が崩れゆくのを感じていた。
「確かにありがたいことだ。お前が俺の呪縛を解いてくれたんだな」
「テリーの功績だから。孝行者の息子に感謝しろよ」
いつか全て聞いてみたい。息子が何を思い、動いたのかを。
きっと少し眉をひそめながら、仕方なさそうに話すのだろう。
「王家を存続させるのは分かった。だが誰を玉座に据えるつもりだ?」
ミルズ公爵家は、その一切に関われない。それは古くからのしきたりだ。
「王妹が例の公爵家に嫁いでいるだろう。跡取りも優秀だ」
「本気か?」
その公爵家は、ニコラスの元婚約者の生家である。
彼女の不貞を長らく見過ごし、事態が発覚してからも誠意の欠片も見せなかった父親が君臨していた曰く付きの家だ。少なくともニコラスにとっては。
なのにその家の者を、平然と次の君主に据えるつもりなのか。
「使える者を使わずしてどうする」
本来なら、ニコラスは彼女を女王に推したかった。それ程に優秀でその人柄も王の資質に恵まれていた元王女殿下だ。
もう少し兄たちと年齢が近ければ、きっと一度は王太女にという声も上がった筈。
彼女の嫁ぎ先の公爵家も、先代はやや難ありだったが、当代は何の問題もない。
彼は年の離れた姉の不始末についても聞かされており、非公式にだがニコラスに謝罪をしていた。未だに口を噤んでいてくれることへの感謝と共に。
ニコラスは彼らに思うところはない。
おまけに夫妻の子は既に四人もいる。王家、公爵家ともに次代は安泰だ。
「それにしても、今更女王になれってのもキツくないか?」
「王の権限は更に縮小される。補佐も多いし、大丈夫だろう」
しばらくは外交も戦後処理だけになる。しかも、それは彼女の兄でもマトモに出来たとは思えない。なら誰がやっても同じだ。
「戦争もすぐに終わったしな」
「あれは戦争だったのか? 酷い有り様だったと聞いたぞ」
ニコラスは王族をまとめて拘束すると、即座に開戦を決定する当主たちに賛同した。王弟を唆したからには、隣国も覚悟は出来ているだろうと。
そのまま流れるように宣戦布告をし、呼び寄せていた私設軍隊を引き連れすぐに平定してしまった。あまりに一方的で、戦とは呼べなかったようだが。
そんな体たらくで、よくこの国を引っかき回そうとしたものだ。
そもそも戦場では、ニコラスと対峙すると敵方の軍馬が逃げ出すせいで、戦いにならないことが多い。
おまけに武器を手にしていない時の方が厄介な男だ。太刀打ちできる筈もないのに。
ニコラスが規格外だから。今回の騒動がすぐに片付いた理由を説明するには、この一言に尽きる。
しかし最大の理由は、彼が鬼気迫る形相で急いだから。
どうしてそこまで急ぐのか西の辺境伯が訊くと、奥方が彼の誕生日を祝うのを楽しみにしているからだと言われたそうだ。
「こちらの尻拭いをして下さってありがたいのですが、あの時だけは不安になりましたよ」
そう言われたミルズ公は笑うしかなかった。
今のニコラスは、ジュリアが望めば何でもしようとするだろう。
五年前には、まさか二人が結ばれる日が来るとは、夢にも思わなかった。
だが幸せな友人を見るのは嬉しいものだ。これからも仲睦まじくあり続けてほしい。
「誕生日は明日だったな、新婚夫婦を邪魔しないから安心してくれ。
少し早いが、誕生日おめでとう」
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