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幼少期編
1話 相棒 <後編>
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前回のあらすじ
喧嘩して祭り楽しんで神社の秘密を探る
なんだ…あれ。
断ち切られた注連縄が巻かれていた木が白く輝き出した。
輝きが強くなるにつれ古い光が消えてゆき木の輪郭が消えてゆく。
やがて木があった場所には人影が見えてきた。
誰だアレ。
八岐大蛇なんて言うもんだからもっとでかい蛇がドーンと出てくると思ったら女の人がでてきた。
けどわかる。あれが八岐大蛇なんだな。
「今年の継承者はお前か?小僧。なんとちんちくりんなのが出てきたな?」
「んだとぉ?俺はクラスの中では背の順後ろから5番目だぞだぞおい!」
「スサノオとの契に従い私とお前は今から殺し合うこととなる。とはいえ私は封印だがな。覚悟はできているな?」
「自分から言っといて無視かよ!…まぁいいやお前なんか俺がばばーんと蹴散らしてやるぜ!」
「…随分と舐められたものだ。」
言い終わるが早いか、奴の体に異常が起きた。
体に至る箇所が隆起し、ぶくぶくと膨れ上がる。2分と経たずして八岐大蛇と呼ばれる由縁を思い知らされる。
緑色の鱗に8頭8尾の600尺ともなりそうな体には赤い液体がたれてかわいたようなあとが付いている。
そこに背負うように生えた大木。
化け物と言わざるおえない。
圧倒的威圧感…っ!!!
『かかってこい小僧。勝てなければ貴様もこの国も1人残らず殺してくれる。』
直感が、全身が、思考が、全てが。
奴は危険だと、今すぐ離れるべきだと言ってやがる…っ!!!
そんなやつと戦うつもりか?龍鬼。
親父さんは何考えてやがる?!
こんなやつに勝てるわけがねぇだろ。
自分の体の1.5倍位ある刀を握り奴と対峙する。
この刀は所有者を強化してくれるらしい。
恐らく、勝てる。普段なら今の俺では勝てないと感じる相手だ。雄士と一緒でも勝てないだろうな。
だが今は違う!普段から雄士と殴りあってるのも、多種多様な武道を極めて身体能力を高めているのも、全てこいつを倒すため!!
こいつを倒して…殺して…母さんに…
「うぉらァァァァァァァアアアア!!!!!」
まずは奴の懐に潜り込む。
一本づつその首を切り落としてやる!!!
『ふんっ』
「なんだと!?」
こいつ…この体格でなんて速さで移動してやがる…!!!
間合い詰めるどころか離れたぜ、クソ!
『これでもくらっておれ』
あいつは動いていない、何が来る…?!
「後ろに下がれ!!龍鬼!!!」
!!
あっぶねぇ…しっぽを地面から出してきて攻撃してくるとかわかるかよ!
あの声なかったら構えてたらそのまま打ち上げられてたな…
あれ?今の声ってオヤジじゃないような…?
「あそこに誰かいるぞ!」
「捕らえよ!!見られてしまった者を逃す訳にはいかない、近隣に要らぬ恐怖を与えてしまうだけではすまないぞ!!!」
「…まさかな」
まさかいるわけねぇよ。
客は1人残らず帰したあと結界を貼って入れないようにしてある。
あいつでも入ってこれねぇよ。
でも、ありそうなのが笑えてくるわ。
『ふん、邪魔が入ったが次は逃さん。』
「別に声がなくてもお前の攻撃なんて避けれたぜ!」
『口が減らない小僧だ、今に口も聞けなくしてくれる!!!』
やっべやっべやっべつい口出してバレちまった。
「いたぞっ!!捕まえろ!!!」
「あれを覚えたまま帰られては困るっ!!!」
現在警備員および雇われてる人達におわれております。かなりの時間。体力あるなぁ…
一気に出口まで駆け抜けてしまえば撒くのはラクだ一気に駆け抜け…っ?!
「あっぶえなんだこれ?!」
透明な壁みたいなのがある
まあ試しに触れてみてと…通れないな。
能力で破壊できないこともなさそうだけどあんなのがここから出ていったら不味いしそのための結界だろうな。俺のなんちゃって結界とはものが違う。
しかしだとしたらこれ出られねぇぞ?
…不味くね?この神社内部を結界貼ったまま見つかるまで探されたら地の利が向こうにある分不利…
「いた!正門前だ!!!」
「見つかったか…」
囲まれ…てるよね…
いっそ全員倒すか?その方が早…
その時鳴った音を俺は忘れないだろう。
ありえないほど巨大な落雷と悲鳴、絶叫。
あんなん起こせるの間違いなくあの化け物しかいねぇ…
不覚だ、落雷は刀で何とか防いだけどその拍子で手を離してどっか飛んでった。やらかしたぜ…
刀の力が無ければこいつに勝つことなんか不可能だ…いや、そもそも俺の力が足りてない…
刀に見合う実力がなかった。刀の力を最大限まで引き出せれば或いは、いや今更無いものをねだっても仕方ない。
こいつどうすっかなぁ…
…絶対殺さなきゃいけねぇのに…!!
『刀を失ったお前には何も出来んよ。この国諸共滅びよ』
「勝利様、このままでは…」
「至急、刀を探せ。見つけるだけで良い。絶対触るな!」
オヤジが探してくれるっぽいけど、それまでに俺が耐えられるかどうか…っ!?
『お前が再び刀を握ったところで私に勝てると思わんが…念には念をお前を殺して儀式を終わらせる!!』
「…させるわけないだろ」
『ほざけ、貴様に何が出来る。』
「お前を…殺せるっ!!!!」
『できるものならやってみろ!!!』
「大人しく捕まってもらおう、侵入者。」
「誰が捕まるかよ…」
しかしどうしたもんか、龍鬼がどうなったかも知りたいしこんなヤツらやっぱ吹っ飛ばして…
カンッ!!カラカラカラン…
なんだ…?!
「これ…龍鬼の持ってた…」
刀だ、正門から本殿はかなり距離あるしなんでこんなとこまでとこまでふっばされてくる?…まさか!?
「やられたわけじゃねぇだろうな!?龍鬼!!」
「なぜこの刀がこんなとこまで」
「さっきの雷で龍鬼様が…?」
くそ、そんなわけあるか。
俺が倒す前にてめぇがくたばるわけねぇよなぁ!?
とにかくこの刀をあいつの所まで…?!
「お、おいお前、それに触ってはならぬ!!」
忠告がおせぇわボケ
なんだこれ熱っ
全身がやけるように熱いっ!!
こんなん扱えるのか??
…龍鬼にできて…
…俺に出来ねぇわけねぇだろ…!!!!!!
『…ここまでのようだな』
「…」
もう、立ち上がることすらできない…
尻尾締め付けられたからだに力が入らねぇ…
てか感覚がねぇ…
「まだ刀は見つからんのか!!」
「…連絡はありません…」
『積年の契はここで終わりのようだ、スサノオ』
「…へっ何勝った気でいやがる…ゴハッ…まだ生きてるぞオラァ…」
『…?!…そう死に急ぐな、お前は味わって食ってやる
私も貴様を追うのに少々疲れたのでな。休憩してから後で食うとしよう。』
「ぐぁぁああっ!!!」
い、しき…が…と…だ……え………
「…………ぁぁぁぁぁああああああらぁぁぁぁぁっっ!!!!」
『?!やはり勘違いではなかった…!!』
ぐぁ!?…急に放された…なにが…
「くたばってんじゃねぇぞ龍鬼!てめぇ何勝手にくたばりそうになってやがる!!!」
「なぁっ!?…お前どうやって…」
「ぁぁぁぁぁああああああらぁぁぁぁぁっっ!!!!」
こんなもん能力で押さえ込んでやる!!
あいつは落雷受けて生きている!!
燃える程度で死ねるかボケがァァァァ!!!!
「ああああああああぁぁぁ…あぁ?」
徐々に能力と刀から流れ込んでくる力が馴染んでいく
気がつけば熱さも無くなってるわ…
「馬鹿な…呪いが止まるなど聞いたことがない。」
「なんだこれ…」
刀を持つ前より体が軽い。まるで身体能力強化をかけている時みたいだ…しかもいつもの並じゃない。
いや、こんなとこで油売ってる場合じゃなかった。
待ってやがれ龍鬼!いつもだる絡みしやがって!!てめえは俺がぶっ飛ばす!!!!
「あいつさっさとはっ倒すぞ龍鬼」
「あぁ…その前にそれ返してくんね?」
「やだ」
「…は?」
「だってこれなんか身体能力強化常時高出力で使えるもん」
「いや、それそもそも俺のだから返せよ!」
「お前みたいな身体能力バカなら避けれるだろ!」
「いやそういう問題じゃねぇよ?!」
『なにをごちゃごちゃ言うておる!!』
「「?!」」
「ほら!お前のせいで避け遅れたじゃねぇか雄士!!」
「知らねーよ避けれたからいいじゃねぇか!!」
『ふんっ』
「「どぁぁぁああ!!」」
『(なんでこやつらこんなとこで揉めておる…)』
「あれは俺の刀だ…!」
「いいや俺が倒すために使うんだよ…!」
『いい加減にせんかぁ!!!!』
「刀を触れたその瞬間
刀は持ち主に合わせて形を変える…骨から刀へ…
私の代もそうだった…」
「急にどうしたんですか?」
「しかし、さっきの継承式の際刀は一切形を変えなかった
もしかしたら…」
ふたりが刀に触れる刹那、刀は白く鈍く輝き世界を包み込む。
2人の手にはそれぞれ別の刀が握られていた
まるで2人の強い点を助長させるように…
「んだこれ、すっげぇ中途半端なサイズの…ナイフ?」
「でっけぇ!何だこの大剣!!!」
『やっとらしくなったな』
「「あ?」」
『かかってこい、2人まとめて相手してやる』
「もとよりそのつもりだ蛇魔人!」
「俺ら2人に勝てると思うなよ、俺たちは強いぜ!」
とはいえ俺もさっきの熱やら追いかけ回されてで体力があんま無いし、龍鬼も満身創痍。
正直勝ち方わからん
龍鬼に勝つ作戦が…あるわけねーわなアホだもん。
「おい雄士!お前今失礼なこと考えなかったか?!」
は?もしかして考えてることわかるんか?
らしい!なんかお前の能力が共有?されてる?
あいつは封印するために首を1本にして最後に背中の木に剣ぶっ刺す必要がある。
つまりあと7本斬りおとせと。
んなら俺が7本止めとくから1本速攻で斬りおとせ!
そんなこと出来んのか?
一瞬だけだ。時間にして3秒。それで斬りおとせ。
…了解…!!
「うらぁぁぁぁぁあ!!!!」
この刀?ナイフに謎に膨大な力があるから大量の物質化攻撃ができるようになったわ。こんなん見た事ねぇだろ蛇魔人が!
「これでも食らってなぁ!はぁっ!!」
『なんだこれは…ぐぅ、軌道が読めんっ!!』
思ったよりいいダメージ出てるな…!
今だぜ、これが最初で最後の隙だ!
へっ、やるじゃねぇか俺の次ぐらいに!
ぶっ飛ばすぞお前!?さっさと斬りおとせ!!
冗談、だっつうの…!!
「うらぁぁぁぁぁあ右の首、頂きぃぃぃぃ!!!」
『づぁぁぁぁぁぁああああああああぁぁぁ』
斬られて怯んでる今のうちにっ!!
「こっちにもいること忘れたかデカブツがァ」
能力で刀を足りない刃渡りを傘増ししてさらに振る速度にブーストかける!
これでもこの中途半端な刃渡りの刀でも切り落とせるだろ?!
「そぉれ!!!散髪の時間だ。斬るのは首だけど…な!!!!」
『ぐうぁぁぁぁぁああああああ!!!』
これで残り5本だ!
首が減った分戦いやすくなっただァあああんだこれっ!!
至る所が動かねぇ!!!
『ぐぁぁあァっはっははぁぁぁあ…
今頃貴様らの四肢の一部は動かんだろう?
私の首は一つ一つが呪いの血袋、切った時に血を浴びれば途端に動かなくなる。それでも戦えるか?貴様らは!』
「な…る…ほ…どなっ!血を浴びなきゃいいんだな。」
『?!』
「雄士お前どうやって動いて…」
「解呪した。」
「『は?』」
「さっき俺が刀持った時も呪いとやらに引っかかったんだけどよ、それ解呪するのと同じようにやっただけだ。」
『なんだとっ!』
「へっどーだお前の呪いは効かねぇぜ!」
「いやお前はナウでかかってるだろ…ほら、これで動けるだろ。」
「すごいです!すごいですよ!これなら八岐大蛇を倒…」
「いや、まだだ、天候操作を破ったわけじゃない。
さっきの雷は片鱗に過ぎない。」
「え、それってどういう…」
『まだだっ…嵐よ我が敵をなぎたおガファ…?』
「させねぇよ」
「呼ばせるわけないぜ」
ようやくこの刀が馴染んできたぜ…
ここからはどっちが多く斬るか勝負だ、雄士!!!!
望むところだ、負けるわけないがな!!!
『げぇぁぁあァァァァァァァァァ!!!』
「「残り三本っ!!!」」
「天候操作…させませんねあの二人」
「……させないにこしたことない…」
「いい加減ぐあぐあうるせえなこいつ」
「さっさとあと3本斬っちまって黙らせようぜ」
『『『小僧どもが!調子に乗るなぁ』』』
「「3つの首で同時に叫ぶなうるせぇ!!」」ズバズバ
「今までの苦戦なんだったんですかね?」
「…さぁ?…」
とはいえ、どうも八岐大蛇も様子がおかしい。
特に雄士くんが来てから、手を抜いているようにも見える。
龍鬼と雄士くんの2人がかりの連携に動揺しているとは思えない。かくなる上は…
「これで終わりだデカ蛇野郎!!」
『誰が野郎だ!私は女だ!!!!』
「最後の一撃ぃぃぃぃぃぃぃぃだァァァ!!!!」
もう動けねぇぜ…トドメはやる…ぶちかませ!!
「全てを斬りさけぇ!!!どぉるぁぁぁぁぁあ!!!!!」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「…んで説明求める権利あると思うんだよね俺。
だって刀持ってきたし半分ぐらい首切り落としたし。
だってのに……」
「なんで捕縛されてんだよおかしいだろぉぉぉぉぉぉ!!」
2話に続く
喧嘩して祭り楽しんで神社の秘密を探る
なんだ…あれ。
断ち切られた注連縄が巻かれていた木が白く輝き出した。
輝きが強くなるにつれ古い光が消えてゆき木の輪郭が消えてゆく。
やがて木があった場所には人影が見えてきた。
誰だアレ。
八岐大蛇なんて言うもんだからもっとでかい蛇がドーンと出てくると思ったら女の人がでてきた。
けどわかる。あれが八岐大蛇なんだな。
「今年の継承者はお前か?小僧。なんとちんちくりんなのが出てきたな?」
「んだとぉ?俺はクラスの中では背の順後ろから5番目だぞだぞおい!」
「スサノオとの契に従い私とお前は今から殺し合うこととなる。とはいえ私は封印だがな。覚悟はできているな?」
「自分から言っといて無視かよ!…まぁいいやお前なんか俺がばばーんと蹴散らしてやるぜ!」
「…随分と舐められたものだ。」
言い終わるが早いか、奴の体に異常が起きた。
体に至る箇所が隆起し、ぶくぶくと膨れ上がる。2分と経たずして八岐大蛇と呼ばれる由縁を思い知らされる。
緑色の鱗に8頭8尾の600尺ともなりそうな体には赤い液体がたれてかわいたようなあとが付いている。
そこに背負うように生えた大木。
化け物と言わざるおえない。
圧倒的威圧感…っ!!!
『かかってこい小僧。勝てなければ貴様もこの国も1人残らず殺してくれる。』
直感が、全身が、思考が、全てが。
奴は危険だと、今すぐ離れるべきだと言ってやがる…っ!!!
そんなやつと戦うつもりか?龍鬼。
親父さんは何考えてやがる?!
こんなやつに勝てるわけがねぇだろ。
自分の体の1.5倍位ある刀を握り奴と対峙する。
この刀は所有者を強化してくれるらしい。
恐らく、勝てる。普段なら今の俺では勝てないと感じる相手だ。雄士と一緒でも勝てないだろうな。
だが今は違う!普段から雄士と殴りあってるのも、多種多様な武道を極めて身体能力を高めているのも、全てこいつを倒すため!!
こいつを倒して…殺して…母さんに…
「うぉらァァァァァァァアアアア!!!!!」
まずは奴の懐に潜り込む。
一本づつその首を切り落としてやる!!!
『ふんっ』
「なんだと!?」
こいつ…この体格でなんて速さで移動してやがる…!!!
間合い詰めるどころか離れたぜ、クソ!
『これでもくらっておれ』
あいつは動いていない、何が来る…?!
「後ろに下がれ!!龍鬼!!!」
!!
あっぶねぇ…しっぽを地面から出してきて攻撃してくるとかわかるかよ!
あの声なかったら構えてたらそのまま打ち上げられてたな…
あれ?今の声ってオヤジじゃないような…?
「あそこに誰かいるぞ!」
「捕らえよ!!見られてしまった者を逃す訳にはいかない、近隣に要らぬ恐怖を与えてしまうだけではすまないぞ!!!」
「…まさかな」
まさかいるわけねぇよ。
客は1人残らず帰したあと結界を貼って入れないようにしてある。
あいつでも入ってこれねぇよ。
でも、ありそうなのが笑えてくるわ。
『ふん、邪魔が入ったが次は逃さん。』
「別に声がなくてもお前の攻撃なんて避けれたぜ!」
『口が減らない小僧だ、今に口も聞けなくしてくれる!!!』
やっべやっべやっべつい口出してバレちまった。
「いたぞっ!!捕まえろ!!!」
「あれを覚えたまま帰られては困るっ!!!」
現在警備員および雇われてる人達におわれております。かなりの時間。体力あるなぁ…
一気に出口まで駆け抜けてしまえば撒くのはラクだ一気に駆け抜け…っ?!
「あっぶえなんだこれ?!」
透明な壁みたいなのがある
まあ試しに触れてみてと…通れないな。
能力で破壊できないこともなさそうだけどあんなのがここから出ていったら不味いしそのための結界だろうな。俺のなんちゃって結界とはものが違う。
しかしだとしたらこれ出られねぇぞ?
…不味くね?この神社内部を結界貼ったまま見つかるまで探されたら地の利が向こうにある分不利…
「いた!正門前だ!!!」
「見つかったか…」
囲まれ…てるよね…
いっそ全員倒すか?その方が早…
その時鳴った音を俺は忘れないだろう。
ありえないほど巨大な落雷と悲鳴、絶叫。
あんなん起こせるの間違いなくあの化け物しかいねぇ…
不覚だ、落雷は刀で何とか防いだけどその拍子で手を離してどっか飛んでった。やらかしたぜ…
刀の力が無ければこいつに勝つことなんか不可能だ…いや、そもそも俺の力が足りてない…
刀に見合う実力がなかった。刀の力を最大限まで引き出せれば或いは、いや今更無いものをねだっても仕方ない。
こいつどうすっかなぁ…
…絶対殺さなきゃいけねぇのに…!!
『刀を失ったお前には何も出来んよ。この国諸共滅びよ』
「勝利様、このままでは…」
「至急、刀を探せ。見つけるだけで良い。絶対触るな!」
オヤジが探してくれるっぽいけど、それまでに俺が耐えられるかどうか…っ!?
『お前が再び刀を握ったところで私に勝てると思わんが…念には念をお前を殺して儀式を終わらせる!!』
「…させるわけないだろ」
『ほざけ、貴様に何が出来る。』
「お前を…殺せるっ!!!!」
『できるものならやってみろ!!!』
「大人しく捕まってもらおう、侵入者。」
「誰が捕まるかよ…」
しかしどうしたもんか、龍鬼がどうなったかも知りたいしこんなヤツらやっぱ吹っ飛ばして…
カンッ!!カラカラカラン…
なんだ…?!
「これ…龍鬼の持ってた…」
刀だ、正門から本殿はかなり距離あるしなんでこんなとこまでとこまでふっばされてくる?…まさか!?
「やられたわけじゃねぇだろうな!?龍鬼!!」
「なぜこの刀がこんなとこまで」
「さっきの雷で龍鬼様が…?」
くそ、そんなわけあるか。
俺が倒す前にてめぇがくたばるわけねぇよなぁ!?
とにかくこの刀をあいつの所まで…?!
「お、おいお前、それに触ってはならぬ!!」
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なんだこれ熱っ
全身がやけるように熱いっ!!
こんなん扱えるのか??
…龍鬼にできて…
…俺に出来ねぇわけねぇだろ…!!!!!!
『…ここまでのようだな』
「…」
もう、立ち上がることすらできない…
尻尾締め付けられたからだに力が入らねぇ…
てか感覚がねぇ…
「まだ刀は見つからんのか!!」
「…連絡はありません…」
『積年の契はここで終わりのようだ、スサノオ』
「…へっ何勝った気でいやがる…ゴハッ…まだ生きてるぞオラァ…」
『…?!…そう死に急ぐな、お前は味わって食ってやる
私も貴様を追うのに少々疲れたのでな。休憩してから後で食うとしよう。』
「ぐぁぁああっ!!!」
い、しき…が…と…だ……え………
「…………ぁぁぁぁぁああああああらぁぁぁぁぁっっ!!!!」
『?!やはり勘違いではなかった…!!』
ぐぁ!?…急に放された…なにが…
「くたばってんじゃねぇぞ龍鬼!てめぇ何勝手にくたばりそうになってやがる!!!」
「なぁっ!?…お前どうやって…」
「ぁぁぁぁぁああああああらぁぁぁぁぁっっ!!!!」
こんなもん能力で押さえ込んでやる!!
あいつは落雷受けて生きている!!
燃える程度で死ねるかボケがァァァァ!!!!
「ああああああああぁぁぁ…あぁ?」
徐々に能力と刀から流れ込んでくる力が馴染んでいく
気がつけば熱さも無くなってるわ…
「馬鹿な…呪いが止まるなど聞いたことがない。」
「なんだこれ…」
刀を持つ前より体が軽い。まるで身体能力強化をかけている時みたいだ…しかもいつもの並じゃない。
いや、こんなとこで油売ってる場合じゃなかった。
待ってやがれ龍鬼!いつもだる絡みしやがって!!てめえは俺がぶっ飛ばす!!!!
「あいつさっさとはっ倒すぞ龍鬼」
「あぁ…その前にそれ返してくんね?」
「やだ」
「…は?」
「だってこれなんか身体能力強化常時高出力で使えるもん」
「いや、それそもそも俺のだから返せよ!」
「お前みたいな身体能力バカなら避けれるだろ!」
「いやそういう問題じゃねぇよ?!」
『なにをごちゃごちゃ言うておる!!』
「「?!」」
「ほら!お前のせいで避け遅れたじゃねぇか雄士!!」
「知らねーよ避けれたからいいじゃねぇか!!」
『ふんっ』
「「どぁぁぁああ!!」」
『(なんでこやつらこんなとこで揉めておる…)』
「あれは俺の刀だ…!」
「いいや俺が倒すために使うんだよ…!」
『いい加減にせんかぁ!!!!』
「刀を触れたその瞬間
刀は持ち主に合わせて形を変える…骨から刀へ…
私の代もそうだった…」
「急にどうしたんですか?」
「しかし、さっきの継承式の際刀は一切形を変えなかった
もしかしたら…」
ふたりが刀に触れる刹那、刀は白く鈍く輝き世界を包み込む。
2人の手にはそれぞれ別の刀が握られていた
まるで2人の強い点を助長させるように…
「んだこれ、すっげぇ中途半端なサイズの…ナイフ?」
「でっけぇ!何だこの大剣!!!」
『やっとらしくなったな』
「「あ?」」
『かかってこい、2人まとめて相手してやる』
「もとよりそのつもりだ蛇魔人!」
「俺ら2人に勝てると思うなよ、俺たちは強いぜ!」
とはいえ俺もさっきの熱やら追いかけ回されてで体力があんま無いし、龍鬼も満身創痍。
正直勝ち方わからん
龍鬼に勝つ作戦が…あるわけねーわなアホだもん。
「おい雄士!お前今失礼なこと考えなかったか?!」
は?もしかして考えてることわかるんか?
らしい!なんかお前の能力が共有?されてる?
あいつは封印するために首を1本にして最後に背中の木に剣ぶっ刺す必要がある。
つまりあと7本斬りおとせと。
んなら俺が7本止めとくから1本速攻で斬りおとせ!
そんなこと出来んのか?
一瞬だけだ。時間にして3秒。それで斬りおとせ。
…了解…!!
「うらぁぁぁぁぁあ!!!!」
この刀?ナイフに謎に膨大な力があるから大量の物質化攻撃ができるようになったわ。こんなん見た事ねぇだろ蛇魔人が!
「これでも食らってなぁ!はぁっ!!」
『なんだこれは…ぐぅ、軌道が読めんっ!!』
思ったよりいいダメージ出てるな…!
今だぜ、これが最初で最後の隙だ!
へっ、やるじゃねぇか俺の次ぐらいに!
ぶっ飛ばすぞお前!?さっさと斬りおとせ!!
冗談、だっつうの…!!
「うらぁぁぁぁぁあ右の首、頂きぃぃぃぃ!!!」
『づぁぁぁぁぁぁああああああああぁぁぁ』
斬られて怯んでる今のうちにっ!!
「こっちにもいること忘れたかデカブツがァ」
能力で刀を足りない刃渡りを傘増ししてさらに振る速度にブーストかける!
これでもこの中途半端な刃渡りの刀でも切り落とせるだろ?!
「そぉれ!!!散髪の時間だ。斬るのは首だけど…な!!!!」
『ぐうぁぁぁぁぁああああああ!!!』
これで残り5本だ!
首が減った分戦いやすくなっただァあああんだこれっ!!
至る所が動かねぇ!!!
『ぐぁぁあァっはっははぁぁぁあ…
今頃貴様らの四肢の一部は動かんだろう?
私の首は一つ一つが呪いの血袋、切った時に血を浴びれば途端に動かなくなる。それでも戦えるか?貴様らは!』
「な…る…ほ…どなっ!血を浴びなきゃいいんだな。」
『?!』
「雄士お前どうやって動いて…」
「解呪した。」
「『は?』」
「さっき俺が刀持った時も呪いとやらに引っかかったんだけどよ、それ解呪するのと同じようにやっただけだ。」
『なんだとっ!』
「へっどーだお前の呪いは効かねぇぜ!」
「いやお前はナウでかかってるだろ…ほら、これで動けるだろ。」
「すごいです!すごいですよ!これなら八岐大蛇を倒…」
「いや、まだだ、天候操作を破ったわけじゃない。
さっきの雷は片鱗に過ぎない。」
「え、それってどういう…」
『まだだっ…嵐よ我が敵をなぎたおガファ…?』
「させねぇよ」
「呼ばせるわけないぜ」
ようやくこの刀が馴染んできたぜ…
ここからはどっちが多く斬るか勝負だ、雄士!!!!
望むところだ、負けるわけないがな!!!
『げぇぁぁあァァァァァァァァァ!!!』
「「残り三本っ!!!」」
「天候操作…させませんねあの二人」
「……させないにこしたことない…」
「いい加減ぐあぐあうるせえなこいつ」
「さっさとあと3本斬っちまって黙らせようぜ」
『『『小僧どもが!調子に乗るなぁ』』』
「「3つの首で同時に叫ぶなうるせぇ!!」」ズバズバ
「今までの苦戦なんだったんですかね?」
「…さぁ?…」
とはいえ、どうも八岐大蛇も様子がおかしい。
特に雄士くんが来てから、手を抜いているようにも見える。
龍鬼と雄士くんの2人がかりの連携に動揺しているとは思えない。かくなる上は…
「これで終わりだデカ蛇野郎!!」
『誰が野郎だ!私は女だ!!!!』
「最後の一撃ぃぃぃぃぃぃぃぃだァァァ!!!!」
もう動けねぇぜ…トドメはやる…ぶちかませ!!
「全てを斬りさけぇ!!!どぉるぁぁぁぁぁあ!!!!!」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「…んで説明求める権利あると思うんだよね俺。
だって刀持ってきたし半分ぐらい首切り落としたし。
だってのに……」
「なんで捕縛されてんだよおかしいだろぉぉぉぉぉぉ!!」
2話に続く
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