大陰史記〜出雲国譲りの真相〜

桜小径

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邪馬台国の滅亡

邪馬台国、最後の決戦

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アメノホヒは奴国の陣地に戻り、大国主、タケミナカタと協議した。

「吉野ヶ里を落とさねばなりません」

アメノホヒは阿蘇での会議の結果を二人に伝えた。吉野ヶ里の堅固さは日々、斥候が伝えているので二人にも緊張が走る。

「時間を掛ければなんとかなるだろう」

大国主は余裕だ。

タケミナカタはイライラして発言した。

「八千矛軍をもってすればどんな強固な城でも落とせる!」

「難しいでしょう。あの張り巡らされた環濠を抜くのには手間と犠牲がかかります」

「つまり、環濠さえどうにかすれば良いのだな?」

タケミナカタは考え込んだ。

環濠は城壁でもある。もたもたしていると矢の的になるしかない。オモイカネのことだから内部に仕掛けも施されているだろう。

「戦わすして勝つ」

大国主は一言だけ発した。

「私もその方法を日々考えておりますが、なかなか。平地で戦闘すればタケミナカタ様率いる八千矛軍の出番もありますが、このまま籠もられるとなかなか」

「おびき出す方法か?」

タケミナカタも考えこんだ。

「四面楚歌だ」

大国主はまたもや一言だけ発した。

「なるほど、項羽の最期を再現するわけですね?」

「うむ。何も真正面から突撃するだけが攻城戦ではあるまい」

タケミナカタは考え込んだ。

「あ!」

アメノホヒは何か閃いたようなタケミナカタに聞いた。

「何か戦法が見つかりましたか?」

「大和にあるヤマタノオロチを作ろう。あの強力な弩なら遠方からでも攻撃がかけられるのでは?」

「なるほど」

大国主はうなづいた。

オモイカネもアメノホヒもヤマタノオロチの事を知らない。タケミナカタがまさに超弩級の兵器の事をホヒに教えた。

アメノホヒはそんな事ができるのであれば、と賛成した。

「衝車なら今からでも作ることができるでしょう。ヤマタノオロチは彼の諸葛亮の木牛流馬の改造版ですな。製作の準備を始めます」

ヤマタノオロチは通常の弩の数倍の飛距離と破壊力がある。

確かにそれなら環濠を越えて攻撃することも可能であろう。

タケミナカタは大和のタカヒコにヤマタノオロチが作れる人間を寄越せと早船を出した。

「さて、ヤマタノオロチができるまで、遊んでるわけにはいかない。その吉野ヶ里の砦を見学してくる」

と、八千矛軍を率いて吉野ヶ里に向かった。

「では、私は吉野ヶ里に入ってない天孫族を味方につけるように動きましょう」

アメノホヒも大国主の下から飛び出した。

大国主は満足そうに二人の出発を見届けた。



その頃、タカヒコの要請を受けた紀伊国の王イタテが旅立ちの準備をし、タカヒコ、いや大物主に出発の挨拶にやってきた。

「イタテ様、この度は出雲のために手間をとっていただきありがとうございます。」

と、改めてイタテに礼を述べた。

「いえ、私などお役に立つかどうか」

イタテは頭を掻きながら返事をした。

「吉野ヶ里の防御は段違いと聞きます。衝車と、ヤマタノオロチが必要になるでしょう」

「?」

「攻城兵器です。大和にあります。それを作れる職人を同道してもらいたいのです。」

流石はタカヒコいや大物主である。情報と経験から大規模な攻城兵器が必要だと考えていたのだ。

「わかりました。」

イタテは答えた。大物主はイセツヒコに職人を引連れてイタテに同行するように命じた。

「イセツヒコ殿しか、この役目は果たせますまい。」

イセツヒコは即答した。

「わかりました。確かにヤマタノオロチと衝車があれば強固な砦も落とすのは可能になるでしょう。こちらでしか揃わない材料を持って筑紫に急ぎます」

「よろしくたのむ」

大物主はイセツヒコに託した。

流石は兄弟である。考えることは同じだ。

いよいよ、最後の決戦に向けて準備が整うとしていた。

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