大陰史記〜出雲国譲りの真相〜

桜小径

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邪馬台国の滅亡

邪馬台国連合解散

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沈黙を破ったのはオモイカネの一言だった。

「邪馬台国連合は解散しましょう」

鎮痛な表情でオモイカネはやっとそれだけ絞りだした。

「解散?」

会場は再びザワザワとした雰囲気にしはいされた。

オモイカネは、発言を続ける。

「もう既に吉野ヶ里以外、陥落し、解散したも同然です。邪馬台国の名はみんな使ってもらっていいが、今まで私達指導部が行ってきた事はもはやできない。各自の地域、集団で今後の方針は決めてもらいたい。出雲に着くも良い、狗奴国と同盟を結ぶのも良いでしょう」

議長のホホデミが顔を真っ赤にして叫ぶ。

「そんな勝手な!」

「勝手?ホホデミ様こそ、火神子様と並ぶ男王の地位におられて今日この時まで、何もなされてないではないですか!」

クマノクスヒが口を開く。

「まあ、そう言われると我々、天孫族は邪馬台国連合の行先というのをタカミムスビ様とオモイカネ殿に任せっきりになっていた。もちろん火の神のご加護の下。しかしタカミムスビ様らは火神子様の体制が続くのは無理だと判断され、実行に移した」

「勝手だ!火神子様を暗殺しておいてその言い分はどうだ!自分だけは邪馬台国連合の富を集めた吉野ヶ里にこもって生き延びるつもりか!」

「そうだ!」

「どう思われようと結構、ここで私を処分されるならそれも受け入れよう」

オモイカネは全員に向かって言い放った。

それをうけてアメノホヒが発言する。

「吉野ヶ里の要塞、オモイカネ様無しで動くのですか?ホホデミ様?」

ホホデミは苦虫を噛み潰したような表情で黙り込む。

アメノホヒは続ける。

「解散、良いではないですか?元々の姿に戻るということ。そもそも魏の国との通行が成立しなければ邪馬台国連合もできなかったはず。その魏の国もとうに滅び、後ろだてもありません。我々出雲と連盟されるも良いし、隣国の狗奴国とうまくやっていかれるのも良い。」

「しかし」

「しかしもクソもない!」

アメノホヒは叫んだ。

「もう無理なのです。筑紫島のほとんどを支配下に治めた邪馬台国連合はもう復活しません。続くのは我々、つまり天孫族の国だ。そうではないのですか?みなさん!」

「、、、」

誰もアメノホヒの言葉に返答できない。

ここまで黙って聞いていたイリヒコが発言を求めた。

「私は初代の火神子様に命じられ、日向の王子でありながら大和に入植されたイワレヒコ様の後継です。もし、火神子様が生きておられたとしても、邪馬台国にこだわるより天孫族という意識を持ち続けることを望まれたと推測します。」

ホホデミが問う。

「イリヒコ殿、どうしてそう思われる?」

「イワレヒコ様の故事です。火神子様は筑紫島にこだわってはらっしゃらなかった。大和へはイワレヒコ様、出雲へはアメノホヒ様にワカヒコ様も送られ、狗奴国とも交渉を頻繁に行われていたと聞きます。これは邪馬台国発展というより天孫族の発展を願われていたからではないでしょうか?邪馬台国の発展のみを願うならもっと領土を広げてもっと魏の国や半島諸勢力を後ろ立てに、倭国を蹂躙したと思いますが」

クマノクスヒが呟いた。

「国より人か」
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