大陰史記〜出雲国譲りの真相〜

桜小径

文字の大きさ
上 下
147 / 179
邪馬台国の滅亡

アメノホヒとオモイカネ

しおりを挟む
ついにアメノホヒが阿蘇にたどり着いた。

これから邪馬台国をどうするか?

和睦はあるのか?

オモイカネの責任は?


などなど、邪馬台国を維持するのに不可欠な議題が天孫族らと出雲、狗奴国らの倭国の有力者間で話し合われる。

天孫族はほぼ邪馬台国かその連合を形成する国の王である。伊都国がその代表であったが、今はもう無い。

半島や大陸から見れば伊都国=邪馬台国であるが、倭国の中では違う。

火神子と天孫族を中心とした国家群の代表であるのだ。

外国への政務こそ伊都国が担当していたが、それにしても火神子の最終許可が必要だった。

伊都国、最大の実力者であったタカミムスビはもう亡くなった。

その息子であるオモイカネが仕切っているが、彼は主である火神子を討った。

それは本来極秘事項になるべきであったが、阿蘇の噴火が呼び起こした混乱で、火神子の配下の巫女達により、その悪業の噂は倭国全体に広がってしまった。

出雲が伊都国に襲いかかった時、との勢力も援助を申し出なかった。

伊都国の突出は他の天孫族にとっては嬉しいことではなかったのであろう。

天孫族の故郷、日向も狗奴国に勝手に割譲してしまっている。

多くの天孫族はこれも不満なのだ。

オモイカネはまさに孤立している。

悪役を一手に引き受けているのだ。

そこへアメノホヒから頻繁に連絡が来ている。

表面上は敵対しているはずの二人の知恵者。

何か策謀を二人で行っているのは間違いない。

天孫族でアメノホヒとオモイカネの通交をしっているのは、長老のクマノクスヒだけだ。

飛地になった形の日向をよく守った王で実力も人望もある。

彼にしても二人が通交していることは知ってはいるが、具体的な話はオモイカネから報告を受けてない。

オモイカネにしても心苦しい選択を迫られており、クマノクスヒにさえ相談できる心理状態ではないのだろう。

アメノホヒもオモイカネも元は天孫族だ。王族になるのを拒否して、策謀家になったのだ。

相通じるものもあるだろう。

クマノクスヒからオモイカネには、民の安全を最優先にせよと命令が出ている。

兵士も民だ。

だからオモイカネも大きな反撃に出ないのだ。反撃を本格化すると、犠牲者がでるのは火を見るより明らかだ。

民を守るため、吉野ヶ里に深い環濠をほり、兵な民をあつめ、食料もできる限り運びこんでいる。

吉野ヶ里を攻略するには攻撃側もかなりの被害を見込まないといけない。

勢いに乗る大国主と膠着状態に持ち込んだのは、オモイカネの知謀でもあるのだ。

しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

水野勝成 居候報恩記

尾方佐羽
歴史・時代
⭐タイトルを替えました。 ⭐『福山ご城下開端の記』もよろしくお願いします。 ⭐福山城さま令和の大普請、完成おめでとうございます。 ⭐2020年1月21日、5月4日に福山市の『福山城築城400年』Facebookでご紹介いただきました。https://m.facebook.com/fukuyama400/ 備後福山藩初代藩主、水野勝成が若い頃放浪を重ねたあと、備中(現在の岡山県)の片隅で居候をすることになるお話です。一番鑓しかしたくない、天下無双の暴れ者が、備中の片隅で居候した末に見つけたものは何だったのでしょうか。 →本編は完結、関連の話題を適宜更新。

【完結】風天の虎 ――車丹波、北の関ヶ原

糸冬
歴史・時代
車丹波守斯忠。「猛虎」の諱で知られる戦国武将である。 慶長五年(一六〇〇年)二月、徳川家康が上杉征伐に向けて策動する中、斯忠は反徳川派の急先鋒として、主君・佐竹義宣から追放の憂き目に遭う。 しかし一念発起した斯忠は、異母弟にして養子の車善七郎と共に数百の手勢を集めて会津に乗り込み、上杉家の筆頭家老・直江兼続が指揮する「組外衆」に加わり働くことになる。 目指すは徳川家康の首級ただ一つ。 しかし、その思いとは裏腹に、最初に与えられた役目は神指城の普請場での土運びであった……。 その名と生き様から、「国民的映画の主人公のモデル」とも噂される男が身を投じた、「もう一つの関ヶ原」の物語。

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。 ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。 また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。 その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。 この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。 またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。 この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず… 大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。 【重要】 不定期更新。超絶不定期更新です。

いや、婿を選べって言われても。むしろ俺が立候補したいんだが。

SHO
歴史・時代
時は戦国末期。小田原北条氏が豊臣秀吉に敗れ、新たに徳川家康が関八州へ国替えとなった頃のお話。 伊豆国の離れ小島に、弥五郎という一人の身寄りのない少年がおりました。その少年は名刀ばかりを打つ事で有名な刀匠に拾われ、弟子として厳しく、それは厳しく、途轍もなく厳しく育てられました。 そんな少年も齢十五になりまして、師匠より独立するよう言い渡され、島を追い出されてしまいます。 さて、この先の少年の運命やいかに? 剣術、そして恋が融合した痛快エンタメ時代劇、今開幕にございます! *この作品に出てくる人物は、一部実在した人物やエピソードをモチーフにしていますが、モチーフにしているだけで史実とは異なります。空想時代活劇ですから! *この作品はノベルアップ+様に掲載中の、「いや、婿を選定しろって言われても。だが断る!」を改題、改稿を経たものです。

大東亜戦争を有利に

ゆみすけ
歴史・時代
 日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

処理中です...