大陰史記〜出雲国譲りの真相〜

桜小径

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邪馬台国の滅亡

アメノホヒとオモイカネ

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ついにアメノホヒが阿蘇にたどり着いた。

これから邪馬台国をどうするか?

和睦はあるのか?

オモイカネの責任は?


などなど、邪馬台国を維持するのに不可欠な議題が天孫族らと出雲、狗奴国らの倭国の有力者間で話し合われる。

天孫族はほぼ邪馬台国かその連合を形成する国の王である。伊都国がその代表であったが、今はもう無い。

半島や大陸から見れば伊都国=邪馬台国であるが、倭国の中では違う。

火神子と天孫族を中心とした国家群の代表であるのだ。

外国への政務こそ伊都国が担当していたが、それにしても火神子の最終許可が必要だった。

伊都国、最大の実力者であったタカミムスビはもう亡くなった。

その息子であるオモイカネが仕切っているが、彼は主である火神子を討った。

それは本来極秘事項になるべきであったが、阿蘇の噴火が呼び起こした混乱で、火神子の配下の巫女達により、その悪業の噂は倭国全体に広がってしまった。

出雲が伊都国に襲いかかった時、との勢力も援助を申し出なかった。

伊都国の突出は他の天孫族にとっては嬉しいことではなかったのであろう。

天孫族の故郷、日向も狗奴国に勝手に割譲してしまっている。

多くの天孫族はこれも不満なのだ。

オモイカネはまさに孤立している。

悪役を一手に引き受けているのだ。

そこへアメノホヒから頻繁に連絡が来ている。

表面上は敵対しているはずの二人の知恵者。

何か策謀を二人で行っているのは間違いない。

天孫族でアメノホヒとオモイカネの通交をしっているのは、長老のクマノクスヒだけだ。

飛地になった形の日向をよく守った王で実力も人望もある。

彼にしても二人が通交していることは知ってはいるが、具体的な話はオモイカネから報告を受けてない。

オモイカネにしても心苦しい選択を迫られており、クマノクスヒにさえ相談できる心理状態ではないのだろう。

アメノホヒもオモイカネも元は天孫族だ。王族になるのを拒否して、策謀家になったのだ。

相通じるものもあるだろう。

クマノクスヒからオモイカネには、民の安全を最優先にせよと命令が出ている。

兵士も民だ。

だからオモイカネも大きな反撃に出ないのだ。反撃を本格化すると、犠牲者がでるのは火を見るより明らかだ。

民を守るため、吉野ヶ里に深い環濠をほり、兵な民をあつめ、食料もできる限り運びこんでいる。

吉野ヶ里を攻略するには攻撃側もかなりの被害を見込まないといけない。

勢いに乗る大国主と膠着状態に持ち込んだのは、オモイカネの知謀でもあるのだ。

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