140 / 179
邪馬台国の滅亡
大国主の思惑
しおりを挟む
大国主は大軍を率い、旧奴国の社に駐屯している。邪馬台国連合の解体は自明だが、邪馬台国をどうするかで悩んでいた。
吉野ヶ里に集約された邪馬台国軍はかなりの大軍であるとの情報が入ってる。各地に散らばっていた兵士を一箇所に集中し、邪馬台国連合の最大の食糧産出地域である。さすがはオモイカネである。ただでは引っ込まない。
戦いが長引けば、何が起こるかわからない。温存しておくつもりだったタカヒコの大和軍の一部出陣を命じた。
最強部隊のタケミナカタは今日にも合流する。さらに奴国はじめ、旧邪馬台国連合も服属の人質を送ってき出している。
出雲の優位は動かないが、最小被害で最大の戦果を得ないといけない。
「大国主さま」
アメノホヒが声をかけた。
「何だ、まだここに居ったのか、阿蘇に向かったのかと思っておったぞ」
「不戦にての勝利を得るためにまだ少しやる事が残っております。」
「まだ調略をかけるのか?」
「はい。狗奴国に。」
「立ち合いを依頼したのではないか?」
「いえ、まず狗奴国と邪馬台国を戦わそうと思っております。時を図ってこちらは進撃します。」
「狗奴国も外交官しか来ないのだろう?」
「あのキクチヒコがそんなことはしますまい。しかも欲しかった阿蘇です。近くまで大軍でやってくるのは自明の理」
「しかし、どうやって?」
「オモイカネ天孫族を完全に引き離します。そうすれば、オモイカネが邪馬台国を率いる筋合いはなくなる。オモイカネなきあとの邪馬台国なぞ赤子の手を捻るようなもの」
「それをキクチヒコにやらせると我らの利益がなくなるではないか!」
「いえ、我らは勝手に滅ぶ邪馬台国とは直接戦いません。ここから南下し、豊の国で大国主様の名をあげるために民に施しをしてまわり、宇佐、そして今は狗奴国の支配下にある天孫族の故郷である日向を落とします。」
「なるほど、お主も天孫族であったの」
「はい。日向は特別な地です。大国主様にとって出雲が特別な地であるように。」
と、アメノホヒは笑みを浮かべた。
大国主はアメノホヒの知謀に舌を巻いた。頼もしいと思う反面、敵にはしたくないなと感じたのであった。
「さて、私はタケミナカタ様の到着後、打ち合わせしてから、阿蘇へ向かいます。それまでにも日向へ調略の書を送らねばならぬので、これで失礼いたします」
「うむ、良くわかった。タギリヒメとトシロもこちらにいや、宗像に向かってきておる。私はここで暫く、周囲を睥睨して筑紫島の北部を抑えておこう。」
「よろしくお願いします」
恭しく礼をし、柏手を打ち、アメノホヒは大国主の宿舎から下がり、自らの執務室へと戻った。
吉野ヶ里に集約された邪馬台国軍はかなりの大軍であるとの情報が入ってる。各地に散らばっていた兵士を一箇所に集中し、邪馬台国連合の最大の食糧産出地域である。さすがはオモイカネである。ただでは引っ込まない。
戦いが長引けば、何が起こるかわからない。温存しておくつもりだったタカヒコの大和軍の一部出陣を命じた。
最強部隊のタケミナカタは今日にも合流する。さらに奴国はじめ、旧邪馬台国連合も服属の人質を送ってき出している。
出雲の優位は動かないが、最小被害で最大の戦果を得ないといけない。
「大国主さま」
アメノホヒが声をかけた。
「何だ、まだここに居ったのか、阿蘇に向かったのかと思っておったぞ」
「不戦にての勝利を得るためにまだ少しやる事が残っております。」
「まだ調略をかけるのか?」
「はい。狗奴国に。」
「立ち合いを依頼したのではないか?」
「いえ、まず狗奴国と邪馬台国を戦わそうと思っております。時を図ってこちらは進撃します。」
「狗奴国も外交官しか来ないのだろう?」
「あのキクチヒコがそんなことはしますまい。しかも欲しかった阿蘇です。近くまで大軍でやってくるのは自明の理」
「しかし、どうやって?」
「オモイカネ天孫族を完全に引き離します。そうすれば、オモイカネが邪馬台国を率いる筋合いはなくなる。オモイカネなきあとの邪馬台国なぞ赤子の手を捻るようなもの」
「それをキクチヒコにやらせると我らの利益がなくなるではないか!」
「いえ、我らは勝手に滅ぶ邪馬台国とは直接戦いません。ここから南下し、豊の国で大国主様の名をあげるために民に施しをしてまわり、宇佐、そして今は狗奴国の支配下にある天孫族の故郷である日向を落とします。」
「なるほど、お主も天孫族であったの」
「はい。日向は特別な地です。大国主様にとって出雲が特別な地であるように。」
と、アメノホヒは笑みを浮かべた。
大国主はアメノホヒの知謀に舌を巻いた。頼もしいと思う反面、敵にはしたくないなと感じたのであった。
「さて、私はタケミナカタ様の到着後、打ち合わせしてから、阿蘇へ向かいます。それまでにも日向へ調略の書を送らねばならぬので、これで失礼いたします」
「うむ、良くわかった。タギリヒメとトシロもこちらにいや、宗像に向かってきておる。私はここで暫く、周囲を睥睨して筑紫島の北部を抑えておこう。」
「よろしくお願いします」
恭しく礼をし、柏手を打ち、アメノホヒは大国主の宿舎から下がり、自らの執務室へと戻った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
42
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる