133 / 179
邪馬台国の滅亡
狗奴国の準備
しおりを挟む
狗奴国でも邪馬台国攻撃の準備が着々と進められていた。
人質に出していたハヤトが帰還して、大いに盛り上がりを見せている。
兵たちや平民たちを尻目にキクチヒコとヒルコは密談をしていた。
「ヒルコ殿、あの男はタヂカラヲ将軍だったのですな」
「ええ、まあイリヒコに協力していたので、折をみてと思ってたのですが」
と、こころにもない事をヒルコはキクチヒコに言う。
「まあ良いでしょう。ヒルコ殿のお陰でこの日向も無傷で手に入れることができ、心配だったハヤトも帰還した。これでチャラということにしておきましょう」
「ありがとうございます。」
「結局、邪馬台国は滅亡ですかな?」
キクチヒコは今後の展望をヒルコに問いかけた。
「まあそうなるか、吉野ヶ里あたりのみを支配する弱小国になるでしょう。糸島を簡単に出雲に渡したが失策ですな。あそこは邪馬台国が魏国を後ろ盾にしていたころからの半島や大陸との玄関口。それを抵抗らしい抵抗を見せずに吉野ヶ里に籠るとは、下策でしょう。」
「オモイカネらしくないですな」
「タカミムスビ殿はじめ長老からオモイカネ世代への引き継ぎがうまくできてなかったのでしょう。」
「それは私らも一緒、制度を決めているわけではないからな」
キクチヒコは独言っぽくつぶやいた。
「そのあたりですな」
ヒルコは言った。
「出雲や大和くらいでしょう。世代がかわっも政策を続けていけるのは。彼の二国にはスクナヒコナの叡智が託されてる。それは『国家』というものを治める知識の源泉です。」
「狗奴国にもそれが必要だと?」
「いえ、倭国が一つになる時が近づいているということです。それも大和を中心に」
「出雲ではなく?」
「ええ、あそこも狗奴国や邪馬台国と同じようにしがらみが出来過ぎております。スクナヒコナの叡智をもってなんとか抑えているが、同じように世代が変われば衰えるでしょう」
「なぜ、大和だけが衰えないのですか?」
「あそこは、最初っからスクナヒコナの叡智を元に作った国ですから。元々あった勢力が勉強したわけではない。だからイワレヒコ、イリヒコらは一旦は異物として追い出された。彼らを追い出したのは大和という国、それをまもるためです。」
「ふうむ、わからんな」
キクチヒコは考えこんでしまい、ヒルコと別れた。
大和は出雲の分国として始まった国ではあるが、始まったときから、スクナヒコナの法を利用して動かされている。
そこが違うのだ。
諸子百家などの古典から得られる法をもつ国なのである。
人質に出していたハヤトが帰還して、大いに盛り上がりを見せている。
兵たちや平民たちを尻目にキクチヒコとヒルコは密談をしていた。
「ヒルコ殿、あの男はタヂカラヲ将軍だったのですな」
「ええ、まあイリヒコに協力していたので、折をみてと思ってたのですが」
と、こころにもない事をヒルコはキクチヒコに言う。
「まあ良いでしょう。ヒルコ殿のお陰でこの日向も無傷で手に入れることができ、心配だったハヤトも帰還した。これでチャラということにしておきましょう」
「ありがとうございます。」
「結局、邪馬台国は滅亡ですかな?」
キクチヒコは今後の展望をヒルコに問いかけた。
「まあそうなるか、吉野ヶ里あたりのみを支配する弱小国になるでしょう。糸島を簡単に出雲に渡したが失策ですな。あそこは邪馬台国が魏国を後ろ盾にしていたころからの半島や大陸との玄関口。それを抵抗らしい抵抗を見せずに吉野ヶ里に籠るとは、下策でしょう。」
「オモイカネらしくないですな」
「タカミムスビ殿はじめ長老からオモイカネ世代への引き継ぎがうまくできてなかったのでしょう。」
「それは私らも一緒、制度を決めているわけではないからな」
キクチヒコは独言っぽくつぶやいた。
「そのあたりですな」
ヒルコは言った。
「出雲や大和くらいでしょう。世代がかわっも政策を続けていけるのは。彼の二国にはスクナヒコナの叡智が託されてる。それは『国家』というものを治める知識の源泉です。」
「狗奴国にもそれが必要だと?」
「いえ、倭国が一つになる時が近づいているということです。それも大和を中心に」
「出雲ではなく?」
「ええ、あそこも狗奴国や邪馬台国と同じようにしがらみが出来過ぎております。スクナヒコナの叡智をもってなんとか抑えているが、同じように世代が変われば衰えるでしょう」
「なぜ、大和だけが衰えないのですか?」
「あそこは、最初っからスクナヒコナの叡智を元に作った国ですから。元々あった勢力が勉強したわけではない。だからイワレヒコ、イリヒコらは一旦は異物として追い出された。彼らを追い出したのは大和という国、それをまもるためです。」
「ふうむ、わからんな」
キクチヒコは考えこんでしまい、ヒルコと別れた。
大和は出雲の分国として始まった国ではあるが、始まったときから、スクナヒコナの法を利用して動かされている。
そこが違うのだ。
諸子百家などの古典から得られる法をもつ国なのである。
1
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
水野勝成 居候報恩記
尾方佐羽
歴史・時代
⭐タイトルを替えました。
⭐『福山ご城下開端の記』もよろしくお願いします。
⭐福山城さま令和の大普請、完成おめでとうございます。
⭐2020年1月21日、5月4日に福山市の『福山城築城400年』Facebookでご紹介いただきました。https://m.facebook.com/fukuyama400/
備後福山藩初代藩主、水野勝成が若い頃放浪を重ねたあと、備中(現在の岡山県)の片隅で居候をすることになるお話です。一番鑓しかしたくない、天下無双の暴れ者が、備中の片隅で居候した末に見つけたものは何だったのでしょうか。
→本編は完結、関連の話題を適宜更新。

【完結】風天の虎 ――車丹波、北の関ヶ原
糸冬
歴史・時代
車丹波守斯忠。「猛虎」の諱で知られる戦国武将である。
慶長五年(一六〇〇年)二月、徳川家康が上杉征伐に向けて策動する中、斯忠は反徳川派の急先鋒として、主君・佐竹義宣から追放の憂き目に遭う。
しかし一念発起した斯忠は、異母弟にして養子の車善七郎と共に数百の手勢を集めて会津に乗り込み、上杉家の筆頭家老・直江兼続が指揮する「組外衆」に加わり働くことになる。
目指すは徳川家康の首級ただ一つ。
しかし、その思いとは裏腹に、最初に与えられた役目は神指城の普請場での土運びであった……。
その名と生き様から、「国民的映画の主人公のモデル」とも噂される男が身を投じた、「もう一つの関ヶ原」の物語。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記
颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。
ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。
また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。
その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。
この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。
またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。
この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず…
大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。
【重要】
不定期更新。超絶不定期更新です。
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる